【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【後期高齢者】廃止法案、参院委で質疑(午前の部)

2008年06月05日 14時48分34秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

【参院厚生労働委員会 08-6-3 】


 民主党など4党提出の「後期高齢者医療制度廃止法案」の質疑がようやく始まりました。

 3日午前は民主党議員が質問し、発議者(民主党・日本共産党・社民党・国民新党)が答える形式です。

10時開会。

 トップバッターは小林正夫さん。民主党全国比例で東京電力出身。

  
[画像]質問する民主党の小林正夫さん(比例)

【法案提出の目的は「高齢者が安心できる制度でない」から】

 法案の目的について、参院民主党政審会長代理の大塚耕平さんが答弁。

 
[画像]答弁する民主党の大塚耕平さん(愛知)

 「高齢者が安心して医療を受けられる内容になっていない」として、廃止を目指す考えを明示。

 「税金や予算のムダ遣いを正さないまま医療にかける予算を削り、財政負担を減らすために高齢者に負担を課すのは順番が間違っている」と政府を批判しました。

 小林さんが「4月15日の天引きで分かった問題点を6月13日の天引きで直すのはさすがに難しい」と述べると、発議者の大塚耕平さんは、「間違った金額での天引きは6月13日までに解決して欲しい」と述べました。

 保険料が一部世帯で上がることは報道の通りですが、どれだけ上がるかについて、厚生労働省の水田保険局長が答えられません。

 水田保険局長は「質問通告がなかった」「手持ちの資料がない」「電卓がない」などと屁理屈を述べて、岩本司委員長からも注意を受けました。

 ただ、「東京23区で上がるということは間違いない」とだけは何とか答弁しました。

 数字が多いので、ホワイトボードなどを使って質疑をしたらいいのに、と思いました。とはいえ、どうせ数字が手元にないのではどうにもなりません。

 以下は午後10時47分過ぎの質疑。

 保険料の支払いについてですが、お年寄り本人での支払いが難しい場合、息子・娘が肩代わりしているという世帯が多いと思います。3月31日までの老人保険制度(老健)では、この支払額を、息子・娘など生計を一にしていれば、社会保険料控除額に合算できたようです。

 が、“後期高齢者”医療制度では、この控除ができなくなるという。本人名義で年金から天引きするので、世帯内のお金の動きを把握することができないからだと私は推測します。

 ここで国税庁が「一般的には」と断った上で答弁。

 年金天引きをやめ、窓口で保険料を支払うと、社会保険料控除の対象になるとのことです。

 
 これは窓口で支払った場合は納付書の半券=領収書が残るからだと私は思います。

 小林正夫さんは、このことを「親孝行禁止制度だ」と断じました。

 この国税庁の答弁からすると、年金天引きをやめ、窓口で支払うと、
所得税・住民税が減税になる世帯が出てくる可能性があります。


 “後期高齢者”の問題点がまた一つ浮き彫りになりました。

 10時56分からは、津田弥太郎さん(民主・比例)が質問。

 この質疑のあとに提出する予定だという出身産別から寄せられた5万2000人の緊急署名を持ち上げ、この問題への関心の高さを強調しました。 

 「後期高齢者終末期相談支援料」については、人気マンガ「ブラックジャックによろしく」に問題提起や冷静な議論があると指摘し、「舛添厚労相は読んだことがないそうなので、お届けする」としたうえで、4月以降の「同支援料」の算定実績を質しました。

 11時44分休憩。

法案の内容は、5月23日付エントリをご覧ください。
民主党ら4党、“後期高齢者”医療制度廃止法案を参院に提出

法案の趣旨説明のようすは5月30日付エントリをご覧ください
“後期高齢者”廃止法案が参院で審議入り

 午後は自民党の質問ですが、参院では民主党の法案に対して、自民党の質問者がどうしようもない質問を繰り返す場面が目立っています。議員提出法案への質問は官僚に作ってもらえないからです。

 農業者戸別所得補償法案では「こんな法案、ばらまき政策だ。民主党は散々批判してきたばらまきをやろうとしている。でもこの程度のばらまきは大したばらまきじゃないんだ!」というチンピラ同然の質問をした事務次官出身の自民党議員もいました。

 自民党の質問者に注目しましたが、元厚労相の尾辻秀久議員会長、日本医師会出身の西島英利さんらが登場。

 妥当と言えば妥当ですが、議員会長本人が直々に登場するとは自民党の人材不足は深刻のようです。



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