【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

偽りの豊饒

2008年09月20日 03時30分00秒 | 農業
 山形県の「さくらんぼテレビジョン」がつくった「偽りの豊饒~コメ農家に迫る廃業の危機」という映像ドキュメンタリーが、フジテレビジョンの「第17回FNSドキュメンタリー大賞」に選ばれたようで、7月の土曜日の深夜3時半というえらく深い時間に放送されました。

 大変よくできたドキュメンタリーで、農業経験がない私にも現代の農業者(農家、農民)がかかえる苦労を目で感じることができました。

 録画していた番組内容から、私が驚いた部分をご紹介します。

 登場人物は日本有数の米所、山形県鶴岡市の高橋さんです。



 農業だけでくらしていくのが苦しいという高橋さん。

 カメラが写した高橋さんのJAバンク(農協金融)の通帳をみて我が目を疑いました。



 高橋さんの通帳は一番上の残高が「マイナス1,866,812円」となっています。これをみると、これは総合通帳で、定期預金を担保に普通預金残高の不足分を融資されているのかと思いますが、違うようです。


 高橋さんが「営農口座はマイナス300万円まで下ろせる」と言うようにJAバンクでは農業者向けに「営農ローン」という商品をほとんどの単位農協が持っていて、無担保で農業者に貸し付けているのです。


 「俺の通帳はマイナス280万円」と語る高橋さん、ピンチですね。


 高橋さんは農閑期は東京に出て、タクシー運転手として働いています。


 まじめな高橋さんは、短期間とはいえ良い歩合を得ているようです。生活の足しだけでなく、営農ローンの返済も早く進むといいですね。


 廃業に追い込まれた農業者は「自分の子どもにも農業をやれとは言えない時代」。私には農業者はJA全農・農協=農業協同組合グループの“奴隷“のように思えるのですが。農地解放前の小作人さんもこんな感じだったんではないでしょうか?


 地方局の勇気ある告発。フジはもっと視聴率の高い時間に放送してほしかったです。
 大変考えさせられました。



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