【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

政府、64法案・10条約を提出へ、解散で廃案の水道法・精神保健法案再提出、特区法改正案懲りずに今年も、働き方改革関連法案は2月下旬提出

2018年01月18日 22時37分53秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]内閣法制局が入っている建物、2015年、筆者・宮崎信行撮影。

 官房副長官は、きょう、衆参の議院運営委員会理事会に出席し、働き方改革関連法案など64法案と10件の条約の承認案を提出したいと説明しました。例年通り、「通常国会召集日の2日前」に、「第196回国会 内閣提出予定法律案等件名・要旨調」を提出しました。

 3か月前の衆議院解散で廃案になっていた、「水道法改正案」「精神保保健福祉法改正案」は、厚労省が再提出。与党国対が促す提出締め切りの3月9日(金)の定例閣議よりも前に内閣が決定し、国会に提出されるはこび。

 ちょうど1年前に「有識者が3月にとりまとめをするので、(きょねんの)6月までに出せるか微妙だ」と政府が説明した、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」は2月下旬に提出される見通し。早ければ、3月中旬にも審議入りすることになりました。

 おととしの年末、与党内の足並みの乱れがでたカジノでは、「IRカジノ実施法案(特定複合観光施設区域整備法案)」が3月上旬に提出される見通し。

 きょねんの予算委と世間を最も騒がせた、「国家戦略特区法改正案」は目安を過ぎる3月中旬に出てくるとされており、道路運送車両法の特例などを盛り込むようです。もちろん成立すれば「特例の方が合法だ」ということになります。

 当ブログがここまで書いてきた内容の修正でいうと、まず、すでにエントリーは消してありますが生活保護法の抜本改正法案を出ません。これは私の勘違いでした。それは出ませんが、別に、「生活困窮者自立支援法及び児童扶養手当法の改正案」が2月上旬に提出されます。

 それと上述の精神保健福祉法改正案については、私の見通しと違い、再提出のはこび。そして、PFI法改正案(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案)は、水道法改正案に先立ち、2月上旬に提出され、政府は、年度内に成立させてほしいとする「※こめじるし法案、または、日切れ法案とも」に指定して、2月上旬に提出することになりました。繰り返しますが、水道法改正案を政府は再提出します。

 「著作権法改正案」「医師法改正案」「文化財保護法改正案」「医療法改正案」「第8次地方分権一括法案」「地域経済活性化支援機構法改正案」なども、当ブログの既報通り、第196回国会に提出する、と政府が明示しました。当ブログで既報で既に関心が高い、「HACCPハサップの法制化(食品衛生法改正案)」は3月上旬に提出。当ブログ既報の「卸売市場法改正案」も3月上旬に提出されます。ただ、きょう提出したペーパーの「要旨」で政府は、許可制から認可制への格下げを示しました。当ブログも含めて一部報道された廃止法案ではなく改正法案。

 法務省関連では、衆議院解散で廃案になり再提出が遅れるだろう、としていた、「人事訴訟法改正案」「商法改正案(ひらがな商法)」「家事事件手続法改正案」は再提出が明示されました。それよりなにより、「民法18歳成年法案(民法の一部を改正する法律案)」が2月下旬に初めて国会に提出されることになります。なお、18歳成年法案に関連して、他の法律(例えば競馬法)などの法整備が報じられましたが、きょうのペーパーになく、18歳成年法案が成立すれば、その後に、各省が関連法案を検討することになりそうです。

 「消費者契約法改正案」は、当ブログで先の国会に昨秋前倒しされるかもと報じましたが、当初の予定通り来週からの国会で提出されます。

 経産省。新聞や当ブログが報じた(1)JIS日本工業規格を日本産業規格にすることと(2)不競法の改正(3)特許法の改正ーーは、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」というタイトルの束ね法案に一本化され、2月下旬に提出。

 関心が高い、飲食店の受動喫煙防止の「健康増進法改正案」は2月下旬。きょねんのリストに載っていたのに、自民党部会を通らずに唯一政府が提出をあきらめた法案でした。

 新聞などで報道された、「道路法改正案」は2月上旬、「都市再生特別措置法改正案」も2月上旬に提出予定。数年来の懸案だった「所有者不明土地の円滑化等に関する特別措置法案」は、3月上旬に閣議決定へ。

 環境省の「気候変動適応法案」は、事前報道の印象では、意欲的な大型法案のようで、2月下旬に決定。

 税法では、先月決定の税制改正大綱は「所得税法等の一部を改正する法律案」として2月上旬に提出。ただ、「出国税改め国際観光旅客税法案」は別の法案として、同じく2月上旬に決定し、政府は年度内成立を求めました。

 給与法案では、外務省の「在外公館給与法改正案」が2月上旬に提出されます。法務省の「裁判所職員定員法改正案」は10人程度純減になるようです。

 条約の承認案は10本で、例年より少なめで、二国間租税条約などが多くみられます。

 さて、きょねんは「検討中」に共謀罪法案が入っており、実際に提出され会期末最大の攻防となりました。件名・要旨調は27・28ページに4法案及び1条約あります。「包括的・先進的TPP協定の承認案」は、3月上旬にも11か国が署名するのではないかとされていますが、カナダが出るとか、アメリカが入るなど情報が錯綜しています。この国内実施法案も検討中に入っていますが、アメリカが入らない限り、ISDS条項などのルール分野は凍結されるとみられます。仮に署名し、条約・法案が提出されても、おととしの秋のTPP国会のような混乱は無いと思われます。

 とはいえ、ここまで「第196回国会内閣提出予定法律案等件名・要旨調」をもとに書いてきましたが、なんといっても、憲法改正発議案です。これは、議員提案として、3月下旬以降に、提出されるとみられます。

 法案数は、64本と少なめ。ただその内数として、「※法案」が20本で、これは逆に多めです。先の衆院選で、与党が両院の安定した議席を継続させたことから強気な国会運営で、統一会派をめぐって召集前後まで混乱する野党の足並みの乱れをついて、冒頭から流れが与党に向かうことも予想されます。ただ、こういう予想はたいてい外れるのが、通常国会5カ月間の面白いところであり、それが世論の反映です。

 週明けの召集までに「第196回国会のカテゴリー」の手直しもしていきます。既に忘れている人の方が多いでしょうが、第48回衆院選でできた直近の民意が迎える初めての通常国会となります。筆者としても例年通り、あるいは例年以上に、法案の流れを注目して、このブログをつづっていきます。

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2018年、宮崎信行。

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