ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

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岡田克也さんが初のQT 武器も後方支援か、首相ポツダム宣言認めず?、首相、安保国会冒頭からつまづき

2015年05月20日 17時30分05秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 沖縄は梅雨入り、東京も紫陽花が咲き始め。

 第189通常国会は残り26営業日となりましたが、戦後最大の法案「安全保障法制2法案」(189閣法72・73号)をめぐって、事実上の初戦。

 QT党首討論(国家基本政策委員会両院合同審査会)が開かれ、安倍首相は「我々の提出する法律(案)に関する私の理解は正しいと思う。なぜなら私は総理大臣だから」と語ったほか、ポツダム宣言を認めない、という戦後日本の歩みを根底から覆す珍答弁を繰り出しました。

【平成27年2015年5月20日(水)QT、両院・国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)】

 今国会初めてのQTで、岡田克也民主党代表は「月に1回やると約束してほしい」と切り出しました。=以下画像はすべて、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット=

 

 岡田さんは「戦後70年間日本が平和だったのは、一つは日米同盟による米国の抑止力、もう一つの平和憲法だ。自衛隊のがんばりや運もあった」との認識を示すと、安倍晋三首相(自民党総裁)は同調しました。

 岡田さんは「その平和憲法がゆらぐのではないかとの疑念について説明してほしい」「安保法案に盛り込まれた後方支援は戦闘ではないのか。現に戦闘行為が行われている現場以外で、米兵を輸送すれば、地元の人は、(米軍などの戦闘と)一体とみるだろう」としました。

 安倍首相は「後方支援は2つの法案、(周辺事態法あらため)重要影響事態安全確保法(をつくる改正条項を盛り込んだ一括法案)と平和支援法案だ。イラク(戦争における人道復興支援活動)で、私たちは実際に後方支援を経験したが、迅速性に問題があり、武器の携行についても問題になった」ことが安保法制再整備のひとつの要因だとしました。

 そのうえで、「戦闘に巻き込まれることは、なるべくないところで、行動する」とし、「非戦闘地域」あらため「現に戦闘行為が行われている現場以外」は、「戦闘に巻き込まれることがなるべくないところ」という認識(「5・20安倍答弁」)を示しました。

 岡田さんは「武器弾薬も運ぶんですよ」と語りましたが、これに対する安倍首相の答弁はありませんでした。今後、委員会でも議論されるでしょうが、1997年日米防衛協力のための指針(ガイドライン)で禁止されていた「武器弾薬の提供」が、2015年ガイドラインで解禁されたとの政府見解があると考えられます。これまでは、「弾薬の提供」は報道されていましたが、当ブログは「武器の提供」も解禁されたのではないかとの見解を、4日付エントリー記事で、示しましたが、これが正しい可能性が出てきました。





 安倍首相は「米軍と一緒に大規模空爆をすることはない」と語りました。岡田さんは「大規模空爆はないかもしれないが、集団的自衛権を行使するならば、相手国(日本でも米国でもない国、いわば「敵国」)の領土領海領空で武力を行使するのではないか」と問いました。安倍首相は正面から答えず、「日本が緊迫している状況で米艦が攻撃を受けている場合は、(現行の武力攻撃事態対処法の)武力攻撃予想事態として(自衛隊の防衛出動を)待機してもらうが、(現行の武力攻撃事態対処法では日本領域外で)武力行使ができないので、(武力攻撃事態対処法を改正し、武力攻撃事態の後に新設する)存立危機事態になって自衛隊が米艦を(日本領域外で)守ることができれば、日米同盟が強くなり抑止力が高まる」と答弁しました。岡田さんは「(法案では)相手国の領土領海領空に行かないと、集団的自衛権を行使できないのではないか」とし、「総理の今の答弁の通りなら、政府案は修正すべきだ」と求めました。





 安倍さんは、首相として、「我々の提出する法律(案)に関する(私の)理解は正しいと思いますよ、なぜなら私は内閣総理大臣ですからと語り、その後、自民党総裁として「自民党の議員が静かに岡田さんの話を聞いているんですから、民主党の議員も静かにするように、安住さん(安住淳・衆院側野党筆頭理事)指導してくださいよ」と語りました。

 自民党と安保法制が一蓮托生と強調した発言。

 この後、安倍首相は長広舌を続けたため、同期の小此木八郎・衆院側与党筆頭理事から身をもって、発言を制される場面がありました。小此木さんは同期なら、法案そのものを制するべきではないのか。



 続いて、維新の党の松野頼久代表が「きのう代表に選出されたばかりだ」と登場。

 安保論議で、岡田さんの後に松野さんが登場するのは、昨年7月14日の閉会中審査のいわゆる「岡田・安倍ホルムズ海峡問答」以来10か月ぶり。



 松野さんは「岡田代表とのやりとりを聞いていたが、安保法制は国民のみなさんには分かりにくいのではないか。巷間聞くところだと、(仮に延長されるとして)8月までの今国会で安保法制を通すようなことはないでしょうね」と念を押しました。

 松野さんは「日本の安保環境が一変するターニングポイントとなる法案であり、我々は野党だが、後世に残るような議論をしたい」と語りました。



 日本共産党の志位和夫委員長は「安倍総理は、ポツダム宣言は認めるのか」と問いました。

 ここで、驚くべきことに、安倍さんはポツダム宣言(1945年7月26日署名、8月14日我が国受諾)を認める、とは答弁せず、志位さんは「これは驚いた。認めるとおっしゃらない」とし、「安保法制(再整備法案)の撤回を求める」と語りました。





 安倍首相がポツダム宣言を認めると言わなかったことは、(前憲法下の)昭和天皇のご聖断や、鈴木貫太郎首相の命がけの政治決断を無にしかねない暴論であると同時に、我が国の主権の存立基盤を崩しかねない暴論であり、今後、この発言の政府見解が求められることになりそうです。


【同日 官報】

 天皇陛下が3本の法律を公布されました。

 「改正水防法」(189閣法18号)は、平成27年5月20日法律22号に。2か月以内の政令で定める日に施行。
 「政投銀完全民営化先送り法」(189閣法13号)を平成27年5月20日法律23号として公布され、ただちに施行。
 「気候変動枠組条約にもとづき緑の気候基金に拠出する法律」(189閣法12号)を、平成27年法律24号として公布なさいました。ただちに施行されました。

【同日 参議院本会議】

 「商工中金完全民営化先送り法」(189閣法17号)が賛成198、反対17で可決し、成立しました。公布日に施行。
 「LRTなど地域公共交通の官民ファンド法」(189閣法19号)が賛成225、反対12で可決し、成立しました。公布日から3か月以内の政令で定める日に施行。


 これに先立ち、「防衛装備庁を設け、文官統制を廃止する、防衛省設置法改正案」(189閣法33号)が趣旨説明され、代表質問がありました。

【同日 衆議院内閣委員会】

 「マイナンバー法改正案(189閣法34号)」が自公民3党の賛成で可決しました。銀行通帳にマイナンバーを入れて、適正な課税が可能になります。次の改正では、ぜひ、「給付つき税額控除」に進むよう、自民党の政策展開を強く求めます。附帯決議つき。

【同日 衆議院経済産業委員会】

 「電力システム改革プログラム第3弾の電気事業法・ガス事業法改正法案」(189閣法29号)が連休前の4月21日(火)からのロングラン審査を終え、採決されました。

 民主党の中根康浩筆頭理事は、さすがは岡崎の人(愛知12区総支部長)らしく、粘り強く、採決の日を迎えて明るい表情。

 

 まず、民主党が修正案を提出。その後、維新の党も修正案を提出。採決の結果、両修正案とも否決されました。政府原案は共反対、自公民維の賛成多数で可決しました。神山洋介さんが提出した附帯決議がつきました。

【同日 衆議院外務委員会】

 「特許法条約の承認を求める件」(189条約5号)「商標法のシンガポール条約の承認を求める件」(189条約6号)が全会一致で承認されました。

【同日 衆議院法務委員会】

 理事に、漆原良夫前公明党国会対策委員長が選任されました。野党の、山尾志桜里、井出ようせい、両理事の猛攻に耐えかねた与党国対が、残り1か月の逆転を目指して、なんらかの配置換えをしたのではなかろうか、と私は推測しました。ところが聞くと、遠山清彦さんが「我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」の理事(委員?)になるための人事異動のようです。ただ、同委は日切れ法案の一つがいまだに審議入りしていないので、漆原理事は、まず「民法債権編抜本改悪法案」(189閣法63号)を政府に撤回させて、そのうえで、他の法案の今会期中の成立を期すべきでしょう。

 一般質疑が行われました。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 渡辺博道委員長が職権で委員会立てをする暴挙。

 「労働者派遣法改悪法案」(189閣法43号)の審査が続きました。

【同日 衆議院国土交通委員会】

 一般質疑の後、「道路運送車両法に関する独立行政法人統合法案」(189閣法46号)が審議入りました。これも、岡田克也担当相が執筆させた「独立行政法人通則法」にもとづく、独法改革の一環の法案です。

【同日 衆議院文部科学委員会】

 一般質疑の後、「小中一貫教育を推進する学校教育法改正案」(189閣法49号)が趣旨説明されました。

【同日 衆議院地方創生に関する特別委員会】

 「第5次地方分権一括法案」(189閣法51号)「地域再生法改正案」(189閣法53号)「特区法改正案」(189閣法65号)が審査されました。

【同日 参議院国家基本政策に関する特別委員会】

 QTに先立ち、小川勝也委員長が、儀間光男さんを理事に選任しました。

【同日 参議院国の統治機構に関する調査会】

 中間報告書のとりまとめに向けて、議員同士の話し合い。来夏の最終報告書は会期末の混乱で本会議報告できないかもしれないし、出ても、改選・非改選・引退に限らず、第24回参議院議員通常選挙で忙しくて読む時間がないですから、中間報告書こそ、最終報告書だ、というような意識でつくってほしいと考えます。

【同日 参議院国民生活のためのデフレ脱却および財政再建に関する調査会】

 中間報告書づくりのための議員同士の討論がありました。

以上



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