【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【国会傍聴記】「ニッポンはおカネがあるのに」亀井久興・国民新党幹事長

2007年10月10日 09時08分10秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

(投稿日時 2007-12-03 14:45)

 さあ、これは2ヶ月前のだいぶ古い傍聴メモから起こしました。
 当日は国会議事堂で傍聴していたのですが、時間の関係から、帰りにラジオ中継で聞いていた部分です。
 年末はいつも慌ただしいのですが、今年は例年以上。自分も国会も社会も世界も。
 それがなぜかと考えると、やはり社会の血液であるマネーの配置がおかしい。

 そのことを国民新党幹事長の亀井久興さん(島根2区比例)が質問の形でとつとつと語りました。
 国民新党の基本姿勢は「郵政民営化凍結」です。下町の太陽は10/1付エントリをはじめ「郵政民営化はすなわち金融改革だ」との姿勢をとっていますが、亀井質問もこれを裏付けてくれる内容です。

 衆院事務局が作成した会議録を取捨選択して、お伝えします。

【国会傍聴記 2007-10-10 衆院予算委員会・基本的質疑】

亀井(久)委員 

(前略)

 ですから、私は、やはり需要をふやしていく、そしてGDPを大きくして、一人当たり国民所得をふやし、可処分所得をふやして、その個人消費の旺盛な力によって景気回復をさせるというのが本筋だというように思うんですね。

 今、可処分所得が、この六年間で十八兆円、毎年三兆ずつ減っているんです。その分皆さんは貯金を取り崩すしかしようがないから、個人貯蓄が十八兆、それとちょうど見合いの数字だけ減っているんですね。かつては、日本というのは貯蓄大国と言われた。その日本が、今や貯蓄率は一・八%まで落ちてしまった。貯蓄が全くゼロという、そういう世帯が全世帯のもう四分の一ということですね。

 こういう中で自民党政治がなぜ続いていったかといえば、やはり私は、一億総中流社会をつくったからだと思うんですよ。私はよく円盤形社会と言っておりますけれども、あなたはお金持ち、あなたは貧乏ですかということを聞くと、そんな金持ちじゃないよ、だけれども、そんなひどい貧乏じゃないな、まあ、中の下ぐらいですかな、まあ、ほどほどのところですかな、多くの人がそういう返答をされる。そういう社会というのを自由主義、市場経済を通じてつくったということが、日本の保守政治の誇るべきことだったと私は思いますね。その中間所得層が今どんどんどんどん下に落ちていくという危機感を持っているわけですね。

 それで、とにかく一年間額に汗して働いても年収が二百万にいかないという、そういう人が、もう一九・何%、二〇%近くある。これは私は、日本の保守政治がせっかくつくり上げていったものをこの六年間で完全にそれを崩し始めている、そういうことだと思います

 私はやはり、一億総中流社会というのはその中間層が大宗でございますから、その人たちが可処分所得をふやして思い切ってお金を使える、そういう状況をつくり出さない限り、今の経済の立て直しというのは不可能だというように思います。

 それから、財政のことについていいましても、財政再建、財政再建と言われるけれども、今、国が抱えております借金、これは八百三十六兆(円)と言われておりますけれども、しかし、国が持っている金融資産というのは五百八十兆(円)あるわけですから、その金融資産というものを引いてみれば二百五十六兆ですよ、純債務というものは。

 これは、OECDの国と比べてみても、GDPの五〇%ぐらいですから、そんなにびっくりするようなことではない。しかも、外国から金を借りているんじゃなくて、国内でそれをきちっと消化しているわけで個人金融資産はまだ千六百兆(円)あるわけですからね。

 だから、外国の私の友人等に言わせますと「日本はどうなっているの、自分でお金を持っているのに、そのお金を自国の経済のために使わないでアメリカの国債を買ってみたり外貨準備でドルを支えてみたり、ちょっとおかしいんじゃない」、「もうちょっと国内でその個人金融資産がうまく回るような、そういう政策をとるべきじゃない」のということを言われるわけですね。私は、まさにそのとおりだと思うんです。

 ですから、経済財政運営の基本が間違ってきたのではないか。いざなぎ景気を超える景気拡大が続いているといっても、あれは計算上のトリックみたいなもので、デフレのときに実質経済でもって表示をしたらばプラスになるのは当たり前なんですよ。それは、名目成長率からGDPデフレーターを引くわけですから、マイナスからマイナスでプラスになっちゃう。プラス八・五%の実質成長だなんて、そんなばかなことないですよね。

 ですから、もしそうだったら、何で消費税の増税だとか、増税の議論が出てくるのか。あのイザナギ景気のときには、二・五倍日本の経済規模が大きくなり、毎年減税をやったのに二・四倍税収がふえているんです。そういう流れをつくり出すということを真剣になってお考えをいただいて、思い切った政策転換をやっていただきたい、そのことを私の意見として申し上げまして、私の時間が参りましたので、終わります。



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