【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

農林中金理事長の参考人質疑を聞いてきました

2008年10月31日 23時53分36秒 | 第170臨時会(2008年9月~12月)麻生兵糧攻め

【衆院財務金融委員会 2008-10-31 農林中金理事長への参考人質疑

 民主党は政府提出の「金融機能強化法案」で農林中央金庫(農林中金、農中)を国の資本参加の対象に入れることに疑問を呈しています。

 きょうは農林中金の上野博史理事長(元農水事務次官)らを招いて参考人質疑が行われました。

 民主党では古本伸一郎(ふるもと・しんいちろう)さん(愛知11区)が質問に立ちました。

 JAバンクのトップに位置する農林中金は、日本最大の投資銀行(Invest Bank)です。

 そのトップの年収は4100万円。民主党の資料要求で明らかになりました。

私の感想
 「欧米の投資銀行を考えれば、もっともらってもいいくらいだ」と思っていましたが、傍聴席で「こんな人によく頭取(理事長)がつとまらない」と印象が変わりました。

 古本さん「農林中金の融資の割合は何割か?」

 この質問に上野理事長は答えられない。農水官僚として国会答弁は手慣れているはずなんですが。後ろの随行者にたずねた上野さんは答弁席に立ち、

 「約10兆円です」。

 古本さんは割合(%)を聞いていたのですが・・・。トヨタ・イケイケ体質の古本さんなので、怒り出すかと思いました。が、民主党は金融不安の解消を最優先にしているため、審議を急いでいるので、次の質問に。

 「逆に投資に回しているのはいくらですか?」

 上野理事長はまたしても答えられず、随行者に助けを求めました。

 「約36兆円です」。

 農林中金の2008年3月決算の連結バランスシートによると、資産の部計が61兆855億円に対して貸出金は9兆8539億円(16%)、有価証券が36兆2420億円(59%)となっています。

 古本さんは法案全体に関する意見を聞くために同席していた第二地方銀行協会会長に対して、会長が経営する銀行について同じ質問をしたところ、パッとそらんじました。見事!・・・いや当たり前です。

私の感想
 この程度の数字を答えられないような人が農林中金の61兆円の資産を動かして、役員報酬を4100万円も得ていていいんでしょうか!


 古本さんは「預貸金利ざやはいくらか?」という質問をしました。古本さんがかみ砕いてくれたところによると、「銀行が100円の収益をあげるために、いくら貸し出せばいいか?」という指標だそうです。

 第二地方銀行協会会長の銀行は「0・65%」=「つまり100円の収益をあげるためには2万円を貸し出せば稼げる」(古本さん)。

 続いて上野理事長が答えました。

 「0・01%です」。

 古本さんは「農中の場合は100円を稼ぐのに100万円貸さないと利益が出ないというシステムだ。第二地銀が利益を出すのに切々と努力しているのに・・・」

 私の感想
 融資をしないでため込んで、海外に投資するくらいなら、その資産を農協組合員に還元すればいいのに!



【衆院財務金融委員会 2008-10-31 一般質疑】


 午後は中川金融相(財務相)、内閣府副大臣、農水省副大臣らに対しての質疑応答です。

 いったん農林中金問題を離れます。まず、松野頼久(まつの・よりひさ)さん(熊本1区)の質問で重要な答弁がありました。中小企業への貸しはがしの原因になっていると民主党が指摘している金融庁の監督指針と金融検査マニュアルについて、金融庁検査局長は「来週(11月3日週)にも改定する」と確約しました。

 農林中金問題に戻ります鈴木克昌(すずき・かつまさ)さん(愛知14区)の質問で、農水省経営局長は「保有する外国債は米、独、仏の順で発行額が多い」として、「資産運用総額のうち、ドル建てが26兆円」と答弁しました。

 午後2時59分。細野豪志(ほその・ごうし)さんの質問に対して中川金融相(元農相)が驚きの答弁。

 「農中がどのくらいの証券化商品を持っているのかは、私には分からない」。

 細野さんは「個別の農協を金融庁は検査できない」として、農協の監督官庁が都道府県であるので、農中→JA信農連→JA農協と流れていく中で、金融以外の事業の損失への補てんに使われる可能性などのモラル・ハザードを指摘しました。

 細野質問に農水省は答弁できず、審議がストップする事態になりました。当ブログの予想通りになりました。中川金融相は「もう少し、政府として整理して(後日)お答えします」と了解を得ました。

 細野さんは農林中金の理事長が全員農水省事務次官OBだとして「農林中金とは、農水省が大物事務次官を送り込んで10年間理事長をやらせるという組織だ」としました。

 散会(4時1分)の30分前に細野さんが発した言葉がすべてを集約していました。

「JAバンクにお金が集まるのは、

農協が国からの補助金の受け皿だからだ!」


審議のもようのビデオ

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm?ex=TD

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◎ねらいは農協はずしの「農民分権」だった!農業者戸別所得補償法案で直接支払い 篠原孝・前ネクスト農相



JA農林中金理事長の報酬は4100万円 歴代全員が農水省事務次官

 JAバンクの親玉にあたる農林中央金庫の上野博史理事長の報酬が4100万円に上ることが分かりました。 


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