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宮崎信行の国会傍聴記 ニュースサイト

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

◎米軍に「武器と弾薬」日米同盟ガイドライン再改定、自公閣議決定道開く 第188通常国会で周辺事態法改正

2014年08月20日 04時19分50秒 | 第189回通常国会2015年安保国会


 日米同盟(日米安全保障条約)の実戦での日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの別表に「武器・弾薬を除く」と書かれている「後方地域支援活動」について、国会閉会中の来月9月に日米が合意する「2014年再改定ガイドラインの中間報告」で解禁される見通しとなりました。これは先月2014年7月1日(火)の自民党と公明党による閣議決定による「憲法解釈の再整理」で初めて可能になったものです。政府は来年5月ごろ、第188通常国会に、周辺事態法の改正あるいは廃止・新法などの法律案を提出するはこびとなりました。

 きょう2014年8月20日付読売新聞が1面トップで報じました。

 やはり国会閉会中だった1997年9月23日に橋本龍太郎首相(自民党総裁)が米国に出向き署名した現行の1997改定ガイドラインにつ次のように書いてあります。 「後方地域支援 補給 自衛隊施設および民間空港・港湾における米航空機・船舶に対する物資(武器・弾薬を除く。)および燃料・油脂・潤滑油の提供」と書きこまれ、明白に「除く」とされています。

 この1997年(平成9年)ガイドラインを国内法にした「周辺事態法(平成11年5月28日法律60号)」では、第3条(第2項)に「後方地域支援」として、「別表第一を参照すべし」となっています。別表第一では「補給 給水、給油、食事の提供ならびにこれらに類する物品および役務の提供」「備考 一、物品の影響には、武器(弾薬を含む)の提供を含まないとする」と明記されています。

 ではなぜ、弾薬と武器の提供ができるようになるか。そのからくりは、自民党の高村正彦座長、公明党の北側一雄副座長がまとめた与党協議による、2014年7月1日の閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」にあります。

 閣議決定文のPDF4ページに

政府としては、いわゆる「武力の行使との一体化」論それ自体は前提とした上で、その議論の積み重ねを踏まえつつ、これまでの自衛隊の活動の実経験、国際連合の集団安全保障措置の実態等を勘案して、従来の「後方地域」あるいはいわゆる「非戦闘地域」といった自衛隊が活動する範囲をおよそ一体化の問題が生じない地域に一律に区切る枠組みではなく、他国が「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所で実施する補給、輸送などの我が国の支援活動については、当該他国の「武力の行使と一体化」するものではないという認識を基本とした以下の考え方に立って、我が国の安全の確保や国際社会の平和と安定のために活動す他国軍隊に対して、必要な支援活動を実施できるようにするための法整備を進める」

 このようにあります。「他国軍隊に対して」「現に戦闘行為をおこなっちる現場ではない場所で」「補給などの」「支援活動をする」わけですから、武力行使の一体化論とは別にして、日本国内の自衛隊駐屯地、基地などで、米軍に対して、弾薬、武器を提供することは日本国内法上合法だと、という解釈が、「7月1日の閣議決定で、再整理」されたわけです。

 陸上自衛隊が使用する弾薬のメーカーは、コマツ、IHIエアロスペース、ダイキン工業、石川製作所、旭精機、日本工機などがつくっています。コマツは主に戦車用の弾薬です。一般の弾薬は石川製作所がトップメーカーです。石川製作所というと、「なんか聞いたことあるな」という印象でしょうが、たぶん誰も知らない会社だと思います。

 日本自衛隊から米軍への弾薬の提供は無償で行われ、日本国民の税金で購入するものと考えられます。もともと弾薬の購入には、平成26年度一般会計予算でも、国庫債務負担行為が設定されており、概念的には、複数年度予算による大量調達が財政技術的に可能となっています。

 現行の1997年ガイドラインは、前日に佐藤孝行国務大臣の辞表をとった、橋本龍太郎首相が1997年9月23日にニューヨークで署名。第141臨時国会は1997年9月29日に召集され、6月18日から100日間夏休み(参院選など無し)から空けています。「100日間閉会&国政選挙無し」はことし2014年はそれ以来となり、政治状況は非常によく似ています。橋本内閣は翌年の参院選に向けた強気の複数擁立と経済対策(破綻処理など一見成功に見えたが、実際には庶民のくらしは苦しくなっていたことを見誤った)失敗を受けて、翌夏の参院選に結党直後の民主党に大敗し、退陣しています。

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