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ニュースサイト 宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

第2次補正予算案が審議入り 「復旧から復興へ間断なく」

2011年07月15日 17時37分50秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]財政演説にのぞむ財務大臣の野田佳彦さん、衆院本会議、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 政府は平成23年度第2次補正予算(案)「復旧テコ入れ補正」を2011年7月15日(金)国会に提出しました。衆参本会議で財政演説と代表質問があり、財務大臣の野田佳彦さんは「復旧から復興へ間断なく」震災対策をする補正だとして、「被災地のためにも関連法案とともに一刻も早くご審議をお願いします」としました。

 平成23年度第2次補正予算書はすでにpdfで公開されています。
 一般会計書は http://www.bb.mof.go.jp/server/2011/pdfhdocs/201121002Main.html
 特別会計書は http://www.bb.mof.go.jp/server/2011/pdfhdocs/201122002Main.html

 です。政府関係機関予算書への補正は今回はないようです。

【歳出は復旧テコ入れの大幅増額】

 歳出の増額補正としては、被災者支援関係経費が3774億円(中小企業、水産業関係施設、医療福祉施設の経営者などへの二重債務対策で774億円、被災者生活再建支援金補助金のかさ上げ(補助率の引き上げ)のために3000億円)を計上しました。また、今年度の予備費は、閣議決定による予算執行でほとんど底を尽きかけていると思いますが、「東日本大震災復旧・復興予備費」として、0・8兆円が追加されました。原賠法による関係経費が2754億円(政府補償契約にもとづく補償金支払いに1200億円、放射能モニタリングの強化に235億円など)盛り込まれています。この中には、現在衆議院で審議中の閣法83号「原子力賠償スキーム法案」の成立の見切り発車として、「原子力損害賠償支援機構(仮称)への出資金」が70億円盛り込まれています。予算というのは、国会が政府に対して歳出の限度額を定めるものですから、予算という「見積もり書」が法案よりも早く成立する運びとなります。この「機構」には交付国債2兆円分を渡します。交付国債とは、「機構」が現金に変えたいときに現金化できるものですので、この2兆円は予算総額には含まれていません。しかし複数年度で見ると、この2兆円は国庫から現金で支出することになりますから、国民負担です。こういった点にもご注意いただきたい。交付国債の償還財源のための利子負担として、今次補正にはとりあえず200億円が計上されています。

[追記 2011年7月19日午前8時]
 「被災者生活再建支援金」の補助率の引き上げのために、政府は15日、「特別の財政援助及び助成に関する法律の改正案」(177国会閣法86号)を提出しました。[追記おわり]

 なお、「機構」への出資金70億円と「利子負担」200億円の合計270億円は、一般会計から繰り出して、特別会計書の「エネルギー対策特別会計(経産省と文科省と環境省の共管)」に繰り入れています。これも含めて「交付国債2兆円」の「それから」は、毎年の特別会計書の「エネルギー対策特会」をみていくとチェックできるしくみになりそうです。私は財務省の、こういう担当府省に“押しつける”やり方は好きですが、こういうところから、財務省の悪口を言う他省庁の官僚も多いようです。

【1次補正につづき、2次補正も国債発行は無し】

 1次補正(5月2日成立)では、歳出を3・7兆円分を減額補正(議員歳費の減額22億円、当初予算では基礎年金財源に充てることになっていた税外収入=旧鉄建公団の溜まり金の国庫への返納など=の転用1・2兆円など)することで、4・0兆円の東日本大震災関係経費をつくりだし、それを増額補正しました。よって、歳入では、国債の追加発行はなく、当初予算の赤字国債充当事業1・2兆円を建設国債に振り代えただけ(予算の歳出入総額は変わらない)でした。

【前年度決算剰余金を活用、いわば内部留保を取り崩し】

 2次補正の歳入は前年度決算の剰余金を活用します。すでに財務省は7月1日に平成22年度決算概要を発表しました。歳入ではリーマンショックの反動で、法人税収が1・5兆円上ブレし、所得税も0・2兆円上ブレしました。これに伴い、赤字国債の発行を2兆円取り止めたので、良し悪しは別として単年度予算としてはあくまでも歳入減となります。が、歳出で不用額が2・1兆円(天下り凍結に伴う退職手当の余りを含む)出ましたので、さしひき、2兆円の剰余金がでました。このうち、0・5兆円は地方交付税のさだめで地方交付税交付金財源としなければならないのですが、これがそのまま今次補正の地方交付税交付金の増額補正に使われています。ちなみに参本での菅直人首相の答弁によると、900億円が普通交付税でそれ以外の0・4兆円が特別交付税だそうです。そして、交付税0・5兆円を除いた、平成22年度決算の純剰余金の1・5兆円がまるまる今次補正の歳入の増額補正に使われます。このため、今次補正の歳出入総額は1兆9988億円になります。これは企業会計の複式簿記でいえば、前年度に積み増した内部留保を、非常時ということで、とりあえず崩して運転資金に充てているというイメージです。言葉は悪いですが、“自転車操業”ともいえますので、底打ち感がようやく出てきた日本経済の成長と、それにともなう国庫の安定した収入増(まずは課税ベースの拡大、そして税率上げ)が必要不可欠となってきました。

【一般会計総額は当初の92・3兆円から補正後94・7兆円と健全性を保つ】

 そして、歳出の減額補正による財源捻出がないため、今次補正では、歳入の増額補正は当初予算にまるまる増額補正したことになりますから、これで平成23年度一般会計の歳出入総額は94兆7155億円となりました。当初予算は92・3兆円→1次補正後92・7兆円→2次補正後94・7兆円ということになります。これについては、財政の健全性が保たれながら、歳出を確保しており、評価できます。

【予算の思想は「信無くば立たず」「まずは身を切る」】

 この民主党政権や財務省主計局の「予算の思想」は「信なくば立たず・まずは身を切る予算」といえます。1次補正での国会議員の歳費の削減は総額で見ると、たったの22億円です。そして、2次補正でも、国債発行(建設国債と赤字国債)も増税もありません。それでいて、交付金を含めて6兆円、交付国債を含めれば8兆円を震災復旧・原子力災害補償に振り向けたという風に見て取れます。もちろん3次補正は大幅な復興事業が盛り込まれますし、復興基本法(施行済み)にもとづき、復興債も発行されるでしょう。藤井裕久さんの口癖を、野田佳彦さんが体現しているという気もします。

【財政法6条の特例と、財政法4条の特例】

 なお、決算剰余金を丸々使っていますが、財政法6条では、半額を国債償還にあてなければならないことになっています。そのため財政法6条の特例としての法的措置が必要になってきます。そもそも当初予算(3月29日)の歳入を確保する「特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)」(177国会閣法1号)が衆院委員会段階に留め置かれたままです。こちらは財政法4条の「特例」です。この置き石をなんとかどけないといけないのですが、審議日程としては、来週22日(金)と想定されている第2次補正予算成立後に持ち越されそうです。

 [追記 2011年7月19日 午前8時]
 政府は15日、「平成22年度決算剰余金の処理の特例に関する法律案」(177国会閣法87号)を国会に提出しました。[追記おわり]

 また当ブログは最近のエントリーで「日本国憲法83条の財政民主主義を尊重しよう」と主張していますが、15日の参本ではみんなの党を代表して質問した柴田巧(しばた・たくみ)さん=比例代表(元富山県議)が、今次補正の予備費の0・8兆円積み増しについて、「予備費は当初予期していなかったことに対応するため、国会での承諾は、事後承諾でいいことになっている」として、「(発災から4ヶ月以上経った今では)震災対策はけっして予期していないことではない」として、財政民主主義の観点から異論を唱えました。私としても同感で、3次補正以降は、もう少しその辺の配慮をもって、編成して欲しいと考えます。


[画像]財政演説に対する代表質問に立つ、柴田巧さん(みんなの党)、2011年7月15日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 最後にひとつだけ付けくわえると、昨年度決算で、赤字国債の発行を2兆円取り止めたことは前述しましたが、おそらくこの影響で国庫から日銀への納付金が2841億円余りました。昨年度は野田佳彦財務相も為替介入に踏み切っていますから、この納付金のあまりは、赤字国債の発行を2兆円取り止めたことによって生じたのではないかと勘ぐっています。オンライン、ペーパレスの時代に、日銀納付金は高過ぎやしないかという気がします。これでは「日銀貴族」ではないでしょうか。私は国債の日銀引き受けには反対していますが、こういった日銀貴族の実態を透明化する動きが与野党内にあれば、応援したいと思います。

 補正予算案は、3連休明けの7月19日(火)に衆院予算委員会で基本的質疑、7月20日(水)に締めくくり質疑と採決を経て、衆本で可決。7月21日(木)に参院予算委員会で基本的質疑、7月22日(金)に締めくくり質疑と採決を経て、参本で可決・成立するものと思われます。この後の日曜日(7月24日)の正午に地上波アナログテレビ放送が終了しますので、この衆参予算委の基本的質疑が最後の地上波アナログでのNHK国会中継になるものと考えられます。

 平成23年度第2次補正予算書(一般会計、特別会計とも)は、すでに財務省のホームページから、PDFファイルですべて手に取ることが出来ます。これは与野党衆参議員の全室に配布されたものとまったく同じ物です。とくに補正審議はあっという間に終わってしまいますから、一般会計、特会ともその日のうちにインターネットに上げる財務省を大いに評価したいし、政権交代後の財務省政務三役の姿勢はもっと知られて良いと考えます。

http://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxss010bh23.html

 また、平成22年度決算概要(見込み)については、
http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/account/fy2010/index.htm で情報をとることができます。

【追記 2011年7月15日 午後9時】

 最初に更新したときに、旧鉄建公団の溜まり金について、「2・4兆円」としていましたが、「1・2兆円」に訂正しました。また、1次補正後の一般会計の歳出入総額を「94・7兆円」としていましたが、「92・7兆円」でした。とくに1次補正後の歳出入総額については、文章の前後の文脈がつながらなくなるミスで、失礼しました。【追記おわり】


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