【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[訃報]森本晃司さん、新進党国対代理で住専予算修正、羽田内閣の建設大臣で通行料上げやめさせる

2015年12月20日 00時08分56秒 | その他

[写真]森本晃司さん、国会議員要覧平成3年2月版、国政情報センター。

 森本晃司さんが、複数の報道によると、平成27年2015年12月18日(金)出張中の東京都内のホテルで亡くなっていたそうです。73歳。ご冥福をお祈りいたします。

 森本晃司さんは、公明党衆議院議員を経て、第80代羽田孜内閣で建設大臣。このとき、首都高速道路公団の通行料の引き上げを大臣裁定による政治主導で止めさせました。憲政史上最も偉大ながらも、自社さ・民主の風の4会派の闇討ちで、わずか2か月間で退陣させられた羽田内閣の数少ない政策面での成果となりました。

 その後、再び政権の座をめざし、二大政党「新進党」の立党に参画。

 国対委員長代理にあたる、「新進党副院内幹事」になりました。

 以下は、当時の衆議院事務総長、谷福丸さんのオーラルヒストリー「議会政治と55年体制 衆議院事務総長の回想」(信山社)。口語部分をやや文語的に直させていただきます。370ページから376ページを要約させていただきます。

 「平成8年度予算には、6850億円を住専処理、債権処理に措置する予算を計上した。議運は、野党は、公明党、当時新進党だったか、森本晃司さんという人が筆頭理事。3月1日、自民党が「4日に分科会の報告を受けて締めくくり総括質疑、採決をする」というのを決めちゃったんだよね。3日の夜、森本さんが来たのを覚えているよ。委員長席に委員長を座らせないように、委員長席に座り込むというわけよ。そうしたらもう3日の夜から座り込みして。自民党もどうしようもないわけだよ。それで6日ぐらいになったらお互い言いたい放題のことになって。9日になって、村岡自民党国対委員長が来て、「とにかくお前(事務総長)は管理責任があるから、おまえも退去命令を出してこい」と。そうしたら、森本さんが気を使ってくれたんだと思うんだよ、ちょうど3階の記者クラブまで出てきて、そこで承るみたいな感じになった。そこに自民党の議員もいっぱいいるわけだよ」

 ここまでは谷さんの回想。この先は私の記憶。谷事務総長が「私は先生が(新進党の)責任者だと思って言っているんですよ」と言うと、森本さんは「何を言っているんだ(国対委員長代理だから当たり前ではないか)!」と強い語調で言い返しました。

 この場面、有名な福留功男アナウンサーが「新進党の人のあの怒鳴り方はなんですか」とコメントしていました。その1年前には「森本大臣の英断には拍手を贈りたい」と言っていたのに・・・

 もう一度谷さんの回想。「終わって帰ったら、森本さんが飛んできて、「奈良の事務所に抗議の電話がわんわんかかっている」と言うんだ。だから私も申し訳なかったんだけど、おわびで取り返せる話じゃないから。結果的に、あの人は次の選挙でおっこちゃったんだよ。そういうことがありました。それまでは「新進党ごもっともだ」という雰囲気だったんだけど、あれで風向きに変化があったのかもしれぬ。お詫びで取り返せる話じゃないから。なんか森本さんが悪役になったような感じになって」 

 さて、平成8年度予算は、与党側が発議する形式で、住専への税金投入6850億円は削除されました。その後、今日にいたるまで、国民の代表者による国権の最高機関「国会」が政府編成の予算を修正したのは、これが最後となっています。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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