goo blog サービス終了のお知らせ 

ニュースサイト 宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

吉川沙織さん、“まだ見ぬ働く仲間”へ「3年は新卒扱いを」実現 NTT労組出身 

2010年03月09日 23時59分59秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導

(このエントリーの初投稿日時は2010-12-30 21:27:06)

[写真]民主党参院議員の吉川沙織さん。
 
 就職活動を続けながら、年越しとなる、大学生、雇用保険受給者、それ以外の求職者も多いでしょう。

 僕自身、ちょうど1年前は、いろいろと大学生と話す機会があって、こちらも若返りました。ところが、最近はあまりそういった機会に気乗りしないです。あまりにも、今の大学生の現状が、悲惨に思えるからです。学費のみならず、生活費も含めたアルバイトに明け暮れながら、大学に通っている若者に対して、「そもそも何で大学に進うのか?」という本質的な疑問を、彼ら彼女らの眼前で感じてしまいます。

 「新卒一括採用・年功序列・終身雇用」1940年体制によって、わが国は経済復興を遂げてきました。私のサラリーマン経験からしても、ある一定のマニュアルに従いモノをつくる企業では、この方式は正しいと思います。そのため、人件費が固定化し、新卒採用の対象となる大学4年生・高校3年生が景気による人件費抑制の調整弁にされがちでした。しかし、1997年年の瀬からの「失われた13年」により、就職が決まらないまま大学・高校を卒業してしまい、その後、アルバイトという職歴しかなく、新卒採用にも中途採用にも応募できずに、30代後半に入ってしまった人が続出しているのが2010年の現状です。

 私は以前から、日本の大学進学率は高すぎると感じていました。自民党政権時代に国会議員が自ら学校法人の理事長を務めることが多く、「電車で通えるアメリカの大学」なんてものもありましたが、そういった文教族の罪は深い。10年前に、横浜市営バスで「大卒不可」という採用ポスターを見たときは驚きましたが、大卒を隠して、高卒として応募する人も少なくないようです。

 国会開催中は慌ただしくて、書きたい事が書けないまま、時が過ぎていくことがままあります。ことし3月9日の参・予算委員会での吉川沙織(吉川さおり)さんの質問も取り上げたかったのですが、衆院で予算が通過してホッとしていたのと、後半国会の下準備をしている時期で、タイミングを逸してしまったので、第174通常国会カテゴリーの最後の1本として、ことしを振り返る、という口実のもと、アップしたいのです。

 吉川沙織さんは、昭和51年(1976年)生まれで、参院民主党では最年少の議員です。2007年の第21回参院選「逆転の夏」で30歳で初当選。ちなみに参議院議員と知事は30歳以上で立候補でき、その他すべて25歳以上となります(公職選挙法第10条)。吉川さんは「逆転の夏」で全国比例30万6577票で2位当選。当確ラインは6万~7万票でしたが、当時の執行部が立候補者一覧を50音順でつくったので、名前が「よ」で、全候補者の最後に掲載されたという幸運もありました。公募新人ですが、元々NTTの社員で、NTT労組などがつくる産別「情報労連」の組織内です。ことしの半数改選(第22回参院選)では、参院民主党の当選者が少なかったこともあり、参院民主党に限れば、引き続き最年少となりました。枝野幸男幹事長の下、3ヶ月間、党副幹事長も経験しました。

 で、吉川質問が異例だったと思うのは、労組出身議員はある程度、自分の労組や業界に関する質問をすることが多く、それはそれである程度いいのですが、吉川さんは、「まだ見ぬ仲間」「未来の仲間」に関する質問でした。つまり、今就活している、求職している人への質問だけで、予算委デビューを終えたのです。これは異例のことだと思うし、彼女自身が就職を巡る不条理に出会って、社会への関心を高めてことで、「政治家・吉川さおり」を誕生させたのだと思います。

 情報労連のNTT労組は、以前の電電公社→NTTへ民営化していくプロセスのなかで、少しずつ労組の性格が変わってきました。そのため、民社協会の「旧同盟系」、古賀伸昭・連合会長(パナソニック)や大畠章宏・経産相(日立製作所)らの「旧中立労連系」とは違い、情報労連は連合内では「旧総評系」に位置づけられます。旧総評系は、自治労、日教組の公務員系労組(春闘がない)が中心です。NTTドコモのショップや明細書を見ていると、もっとも民間企業らしい会社にも思えますが、実はNTTドコモ労組は「旧総評系」ということになります。輿石東・参院議員会長(日教組)と同じ旧総評系に、最年少でNTTドコモのはたらく仲間からの支援も受ける吉川議員がいるなんて、参議院というのは、やはり面白いなあ、と感じる次第です。

 就活生(大学4年生、大学3年生)がどれだけ、このブログを読んでくれているか分からないし、時間と心の余裕がなくて、最後まで読み通せないかも知れないので、吉川さんの議事録は大幅に短縮させてもらいました。そしてこの3月の吉川質問にあった「就活に失敗しても、卒業後3年間は新卒扱い」は8月30日に菅直人官邸のプロジェクト・チームで正式決定しました。

 職が決まらないまま年を越す君へ。テレビや新聞では報じられないけど、日本の国会にはこういうお姉さんがちゃんといるんだから、社会に対してなげやりにならないで、あごを上げて、2011年も胸を張って、前に進んでいこうよ。

[第174国会 参・予算委員会第8号会議録・(2010年3月9日)から引用はじめ]

 ○吉川沙織君 民主党の吉川沙織です。予算委員会では初めて質疑に立たせていただくことになります。どうぞよろしくお願いいたします。  

  
[画像]参・予算委員会で質問する吉川沙織さん、2010年3月9日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ

私、実際に就職氷河期を体験して会社員をしていたという経験もございますことから、若年者雇用の問題について質問を今までさせていただきました。ですから、同世代の多くが職に就きたくても就けないまま社会に出ざるを得なかった世代の代表として、最近の政府の対応策を中心に、新卒者支援、既卒者支援の観点からお伺いしたいと思います。(略)

(略)

○厚労政務官(山井和則君) 吉川委員にお答え申し上げます。就職氷河期の世代の代表として非常に重要な御質問をいただき、ありがとうございます。(略)

(略)

○吉川沙織君 (略)今、山井政務官から御答弁いただきましたとおり、内定を得ることができた学生は4月から新しいスタートを切ることができるわけですが、そうでない学生生徒さんにとってはそうではないわけです。そのためにわざわざ留年するケースもあるぐらいです。ですから、ここからは、日本の採用、雇用慣行について、就職協定と新卒一括採用の在り方の観点からお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず文部科学大臣にお伺いいたします。私は、先ほどから申し上げておりますとおり、今から12年前の平成10年(1998年)に就職活動をいたしました。実はその前年に就職協定が廃止をされ、その廃止直後、つまり私の1年上の先輩は協定が廃止直後のときに右往左往しながら就職活動をされたわけです。その翌年に私自身は就職活動をして、もう先輩の時点で早期化の傾向があって、1年違うだけでも更にその早期化の傾向は顕著になりました。現在は、早かったら3年次に入った途端就職セミナー等があって実質的な就職活動に入るなどしており、学生が学生の本分たる学業に専念できないような実態がございます。就職協定に代わって倫理憲章というものがあるのは十分に承知いたしておりますが、拘束力を持ってないんじゃないかと思います。(略)

○文部科学大臣(川端達夫君) お答えいたします。御指摘のとおり、昭和28年から平成8年までは就職協定というのがございました。解禁日は8月1日前後、選考、採用の内定日は10月1日ということでありましたけれども、企業側から、就職協定との実態の乖離、通年採用やインターネットの利用など雇用状況が変化した、規制緩和などの理由に協定を見直したいという申入れがありました。(略)最終的に、平成9年度は協定を締結せずに、御指摘にありましたように、大学側は申合せ、企業側は倫理憲章を定めるということで今日に至っております。

 申合せというのは、学校推薦は7月1日以降しかやらない、正式内定日は10月1日以降、倫理憲章、企業側、日本経団連でございますが、正式内定日は10月1日以降というのが一応決められておりまして、その精神は、おっしゃいましたように、秩序ある就職活動を担保することと学生はしっかりと学業に専念できるようにということでありますが、実際は、今、多分大学の3年の春から、資料請求に始まり、秋口から3年いっぱいぐらいまで、(略)この倫理憲章や申合せに全く想定をされていない企業説明会への出席という形が行われて、その春から人事面接、そして内々定という概念で運営をされているのが実態でありまして、実際には相当早い時期から、こういう倫理憲章や申合せの対象外であった企業説明会という、広報活動と称しているんですが、への出席ということで学生が相当早い時期から授業に出られないということで、結果的には学業に専念できないから、企業が受け取る学生の質もそれだけ分ディスターブされているという部分では学業に影響を与えているのではないかということ。

 あるいは一部には、この企業倫理は関係ないと、倫理憲章は関係ない、我々はそんなの従うつもりもないというふうな企業があります。そして、いわゆる申し上げました内々定ということ、内々定なんだと、内定は10月1日だけれども内々定をしているだけなんだと。こういう理屈で、実際上は非常に実態が乖離してしまっていて弊害が出ている(略)。粘り強く、大学の本分である学生が勉強をするということと、それから、しっかり勉強をして社会に役立つ人材になるということが、社会に役立つ就職をすることの作業によって支障を受けているということは本末転倒になっているということ。何とかこの部分を工夫をすることはいろんな角度で検討をしているところでありますが、またいろんなお知恵も御示唆をいただければ有り難いと思っています。

○吉川沙織君 (略)やっぱり企業の採用活動は4年次の学生を対象とすべきであり、学生や若者がその年齢にふさわしい時間の過ごし方を得るようにするためにも、是非議論だけでも始めていただきたいんですが、川端大臣、いかがでしょうか。 

○文部科学大臣(川端達夫君) 就職協定の問題と同時に、新卒者が就職するという、私はいろんな議論を、前のもフォローし、また経営側と議論したときに、採用側としては通年で採用するんだと、人材がそういうものだというふうなことの論理がある一方で、実際は新卒者と卒業してしまっているいわゆる就職浪人した部分では非常にハンディが付いてしまうという実態が生じているという部分では、割にある意味で企業の背に腹は代えられないという部分はそれなりに経済環境では分かるんですが、やはり人を自分の人材として活用するということへの基本的な理念というものをもう一度しっかり持っていただきたいなというのが正直なところであります。(略)

○吉川沙織君 (略)そして、日本の雇用慣行として今申し上げた就職協定と、あともう一つ、新卒一括採用がございます。日本の雇用慣行では、まだまだ新卒一括採用が一般的である状況と言えます。しかしながら、学校を卒業して社会に出ようとしたときに、日本社会、経済の状況が悪ければ、どんなに働きたいと願い、どんなに働く意欲を持っていても、企業がその門戸を大幅に狭めている若しくは採用凍結をしている、そういう状況があれば、食べていくために職に就けないまま非正規という形で社会に出ざるを得ない状況があります。私自身は運よく正社員として職を得ることができましたけれども、同世代の多くが非正規という働き方で30代半ばを迎えているような状況にあります。また、正社員として働いたことがない人を一般的な企業はやっぱりなかなか正社員として迎え入れられないというような状況もあります。もちろん、政府においては緊急雇用対策で4月就職以外の道を選択の支援として取り組まれていることは存じ上げておりますが、新卒の対象を例えば卒業してから3年程度というふうに広げる措置などを講じる必要もあると考えますが、厚生労働大臣、いかがでしょうか。

○厚生労働大臣(長妻昭君) 今おっしゃられた、その新卒一括採用ということで日本のある意味では慣行として定着をしている部分があるんですけれども、(略)企業が新規卒業予定者の採用枠に既に卒業された方が応募できるように募集条件を設定してくださいということはかねてより指針で呼びかけているところでございますけれども、なかなか進んでいないのも実態でございます。(略)

(略)

○吉川沙織君 (略)若年者雇用問題においては、私世代はまだ親御さんと同居しておる、親御さんの下で生活をしているから、まだその問題が余り顕在化されていないというような状況もあります。ただ、この問題を放置し続けますと、今質問させていただいたように税収減にもつながりますし、年金は今納めている世代が先輩方に届く仕組みですから、その社会保障の根幹を揺るがしかねないということにもなりますので、是非、企業に若者を一定程度強制的に雇用してもらう仕組みですとか、あと優遇税制、これ自見議員、先日御指摘なさっていましたけれども、優遇税制を設けることで企業にインセンティブを付与することは一考に値すると考えられます。

 若年層における格差の拡大は、いずれ日本全体の格差を拡大させることになります。何より若者が将来に希望や夢を描けない社会は本当に絶望的でありますので、是非、厚生労働大臣、リーダーシップを発揮して、政治主導で若い世代が明日に夢や希望を持てる社会を現政権においてつくっていかなければならないということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

[引用おわり、山井和則・厚生労働政務官、川端達夫・文部科学大臣、長妻昭・厚生労働大臣の肩書きはすべて第174通常国会当時]

【吉川質問の全文は以下のリンクで】
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/174/0014/17403090014008c.html

【その後、菅首相がまとめた「新卒者雇用に関する緊急対策について」(2010年8月30日)】
 ↓下のリンク先は、PDFファイルで、全文を読めます。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sinsotsu/taisaku.pdf

[抜粋引用はじめ]

新卒者雇用に関する緊急対策について
平成22年8月30日
新卒者雇用・特命チーム

(前略)

Ⅱ.新卒者雇用に係る緊急の取り組み
(略)

3.インターンシップ・トライアル雇用の推進
(略)
【具体策】
卒業後3年以内の既卒者に係るトライアル雇用を行う企業への奨励金の創設
卒業後3年以内の既卒者を正規雇用へ向けて育成するため、有期で雇用し、その後正規雇用へ移行させる事業主に対し、ハローワー
クにおいて奨励金を支給する。
(略)

全都道府県労働局に新卒者等が利用しやすい専門のハローワークを設置し、関係機関が連携したワン・ストップ・サービスを推進する。
○ 国及び地域における広報の強化5.既卒者の新卒枠での採用促進~ 新卒枠を卒業後3年間に拡大新卒採用枠で既卒者を採用した企業は約5割にとどまっている現状
を踏まえ、少なくとも卒業後3年間は、新卒一括採用の門戸が開かれよう、緊急に施策を講じる。
【具体策】
○ 「青少年雇用機会確保指針」の改正
雇用対策法に基づく「青少年雇用機会確保指針」を改正し卒業後3年間は新卒として応募できるようにすることを盛り込み、既卒者の新卒枠での採用が促進されるよう経済団体等に要請する。
○ 卒業後3年以内の既卒者を採用する企業への奨励金の創設卒業後3年以内の既卒者も対象とする新卒求人を提出し、既卒者を正規雇用する事業主に対し、ハローワークにおいて奨励金を支給
する
。[抜粋引用おわり]

【関連エントリ第45回衆院選「政権交代の夏」での吉川沙織さん】
【選挙珍プレー】応援弁士(吉川沙織32歳)は候補者(森山浩行38歳)のファンだった!

【このエントリーのトラックバック先】
就職活動ということで、以下のトラックバックを送りました。
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1415448/36995731
http://www.zkaiblog.com/trackback/koumuin/32758


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岡田外相の密約調査終わる ... | トップ | 3月10日付紙面は「密約」... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。