
[写真]左上から時計回りに民主党改革本部の「規約」委員長の川端達夫さん、「綱領」委員長の直嶋正行さん、委員長代理の長妻昭さん、「代表選挙管理規定」委員長の鉢呂吉雄さん
岡田克也幹事長は2011年1月31日の記者会見で、「民主党改革本部」を設置し、自ら本部長に就任することを発表しました。まだ手元にペーパーがないので、正式名称などは未定稿ということで、後で時間があれば、手直ししたいと思います。
民主党改革本部は、本部長に岡田克也さん、副本部長に仙谷由人代表代行、輿石東参院議員会長が入ります。オール民主党の意見集約が可能となりました。このほか、副本部長には、党副代表(石井一、山岡賢次、直嶋正行、鉢呂吉雄、岡崎トミ子、石毛子各議員)の6人が参加します。衆参といわゆる「グループ」も横断的。そして、岡田さんの本気さを感じさせるのは、川端達夫さん、玄葉光一郎さん(政調会長兼大臣)も入れた布陣です。当選回数・年齢とも上でありながら、第45回衆院選で「岡田代表-川端幹事長」として玉砕してくれた川端さん。そして、仮に第46回総選挙で民主党が下野した場合、第47回総選挙での与党復帰(政権交代)に向けて、おそらく代表を含めた有力ポジションで与党をめざす有力候補(そのころには50歳代前半)である玄葉さんを入れたことで、岡田さんは、10年、20年の長い目で、この国に政権交代可能な政治を定着させようとしているという確かな志を感じとりました。
党改革本部には、規約改定委員会、綱領策定委員会、代表選検討委員会(正式名称は不明)の3つの委員会を設けます。
まず、政権交代による「与党らしい規約」ですが、これは野党時代から川端達夫さんが規約改定委員長だったのですが、2009年9月に川端さんが文科大臣として入閣後、空席でした。これについては、「与党らしい規約を」と唱えていた岡田幹事長が、総選挙で大勝したのに、直後に、幹事長を更迭されるという鳩山由紀夫代表の理解不能な人事で、小沢一郎氏が幹事長に。小沢氏は、おそらく確信犯的に後任をおかずに「幹事長命令」を連発し、ボタンをかけちがえたまま1年半もの時間を浪費しました。
ちなみに川端さんが組織内の「UIゼンセン同盟」は2年連続で数万人の組合員数増に成功しています。これは派遣社員の組織化に成功しているからです。日本最初の労働組合としての矜持を感じます。小沢幹事長は、「100万人組合員がいるゼンセン同盟が参院選で20万票しか出せないのはサボっているからだ!」「自治労と日教組を見習え!」という趣旨のことを言っていたようですが、中小・零細企業、派遣社員、パートなど「非正規雇用」(あまり好きな言葉ではありませんが、)を網羅している「ゼンセン」が、春闘がなく政治に専念できる「日教組・自治労」の公務員労組に比べて、組合員を政治・選挙に動員しづらいのは当たり前。むしろ、労働運動の地平を広げるゼンセン同盟の自由と友愛の挑戦を、民主党は応援すべきです。川端さんは2009年5月の代表選でも、岡田候補に投票しています。
「与党らしい規約」については、昨年9月17日の岡田幹事長復帰記者会見で筆者(宮崎信行)の質問について、岡田さんは次のように答えました。
[民主党本部幹事長会見録から引用はじめ]
【幹事長】代表選挙管理規程については先ほどお答えしたつもりであります。党規約につきましては私が幹事長のときに、川端さん、委員会から提言をいただきまして、あとは党として、それを常任幹事会とか、そういうところでどう議論するかというところで幹事長が変わったということであります。あのときの提言をそのままでいいのかということをもう一度吟味する必要があると思いますが、いずれにしても、規約の改定というのもひとつ検討課題だと思います。いろいろな課題が山積しておりますので、まずこの国会で、ねじれの状況の中でどのように物事を進めていくかということのほうが、優先課題であります。そういう意味では、優先順位をつけながら、物事を進めていかなくてはいけないとそんなふうに感じているところでございます。
[引用おわり]
というわけで、「幹事長が変わった」ことで空白期間ができてしまったわけで、民主党も早く「人治」から「法治」にガバナンスを切り替えなくてはいけません。
次に「代表選挙管理規程」の検討委員会。これは、岡田さんの持論「与党の党首すなわち総理の任期は、衆院選から次の衆院選までにすべきだ」という改定が眼目になります。私も全く賛成です。これについては、岡田さんは以前から、たびたび言及していますし、著書でも触れています。この委員会は、自分の選挙も代表選挙も巧者で知られる、鉢呂吉雄さんが委員長に。おそらく菅直人代表・総理の今の任期(2012年9月まで)を延長して、2013年8月までに必ずある第46回衆院選の結果が出るまで、ということになるでしょう。具体的には、来年の党大会を待たずに、臨時党大会で決定する格好になると思います。自民党では、中曽根康弘首相(総裁)が2期4年の任期を延長して、続投した例があります。しかし、これと違い、あくまでも「政権交代可能な政治を担う民主党」としての理念を具体化する改定です。
これは逆に言えば、岡田さんが第1次与党期(2009年夏~)のうち、第46回衆院選(2013年8月までのいつか)の前に、代表・総理の座を襲う考えがないことの証明でもあります。政治家・岡田克也の第一目標は政権交代可能な二大政党+αデモクラシーを日本に根付かせること。天下をとるのは2番目。育ちのいい岡田さんらしく、菅代表・総理が岡田さんに全幅の信頼を寄せて、党を任せているのも、野党時代にもコンビを組んでいて、その「志」を知っているからでしょう。一つ問題は、党員・サポーター集めのセールスポイントが無くなることです。しかし、昨年9月の代表選を見ていると、民主党員・サポーターというのは、「代表選に投票したい」というよりも、「日本政治において今民主党はどうあるべきか」を優先するオピニオン・リーダーが多いようです。ただ、組織拡大で、いろいろな人が増えてきますから、配慮が必要でしょう。
そして、岡田さんがこれまで、「優先順位が低い」、さらには「(菅さんとの育った)世代の差かな」と、必要性がないとしていた、「党綱領策定委員会」も民主党結党後初めてできます。これは昨年来、民社協会が提言してきましたので、民社協会から直嶋正行さんが委員長になります。民主党議員には、最後まで物事を見届けない中途半端な連中が多く、昨年9月の代表選では、負けた候補者の陣営が閉会前に退席し、先日の両院議員総会では地方選のガンバロー!3唱が議題として残っているを知らずに、勝手に退席し始めた小沢系議員を「後ろの人座ってください!」「まだ終わってません!」と大声で叱り付けました。このようなときに退席するような議員は、トヨタの工場で働いたり、トヨタのクルマを運転するのは止めてほしいですね。民社協会は「原子力」に関して、政策面での自信があるので、これをうまく使って、旧社会党出身者も納得できる綱領をつくろうという考えがあるように、私は見ております。
そして、この党綱領に関しては、昨年2月5日の予算審議で、ライバル・自民党の長老である伊吹文明さんと、当時の民主党代表の鳩山由紀夫さんに次のような興味深い“禅問答”がありました。
[画像]自民党長老の伊吹文明・衆院議員(NHKさん映像から)
[第174通常国会 衆・予算委 2010年2月5日の議事録から一部引用]
○伊吹委員 あなたが言っておられること、マニフェストに書いてあることとおやりになっていることは、かなり私は違うと思いますよ。
それで、では、簡単なことを聞きましょう。総理、入学試験は認める、必要なものだと認めますか。あるいは、特許権というものの権利を認めてあげるということはいいことだと思いますか。あるいはまた、ユニクロの安売り商法というのはどういうふうにお考えになりますか。
○鳩山内閣総理大臣 入学試験、何の入学試験かわかりませんが、入学試験というものによって、ある意味でその試験によって、その成績で、当然、倍率が高いときに結論を出すというやり方は、私は十分考えられるものだと思っております。特許権というものも現実にあるわけでありますので、知的財産権の議論というのはいろいろあろうかと思っておりますが、特許権も当然存在を認めるべきだと思います。
あと何でしたか、忘れましたが……(発言する者あり)ユニクロの安売りですか。ユニクロの安売り、その安売り商法で、これは経済にのっとってユニクロが商売されているわけでありますから、それを一概に悪いとかいいとか言うべきものではありませんし、消費者が選んでいるわけですから、よろしいんじゃないでしょうか。
[一部引用終わり]
財務大臣、党幹事長も務めた自民党長老の実に味わい深い質問でした。「ユニクロの安売り商法?」なんだそれ?と私も思いました。伊吹さんの質問はどういう意味か。
入学試験→学校の入学者を、試験で選ぶのは、学力による差別ではないか?
特許権という権利を認める→特許権を持った人は独占的な生産活動で富を得られるが、持たない人はその技術を使うことができず生産もできないし、あるいは学者も学術研究ができない。
ユニクロの安売り商法→消費者に恩恵はあるが、同業他社(とくに中小企業)の経営は厳しくなるし、また、ユニクロの周辺で働く様々な人の収入が下がるし、海外生産で産業空洞化が進めば、国民所得が減りかねない。
で、伊吹さんが言いたいのは、党綱領がないと、こういった3つの社会的問題への「民主党としての答え」が出せないだろう。とこういうわけです。私はこれは、憲政史に残る名問答だと考えます。
党綱領策定委員会は、直嶋委員長に加えて、委員長代理に長妻昭さん、事務局長に近藤洋介さんが就きます。長妻さんと近藤さんは記者、さらに言えば、ともに日経グループの僕の先輩です。イデオロギーが終焉した今こそ、日本と民主党を元気にする党綱領を書いてほしいと思います。やりがいのある仕事ですね~~!
たとえば・・・
「私たちは3000の島々からなる列島の夏にはえる入道雲のような大きな志とそのつきぬける青空のようにクリーンな志で、政権交代可能な民主政治を実現する。政策を競い、常に国民の声を聞き、既得権益者の雑音を排し、この国を内にも外にも前に進めていく勇気に満ちている。マニフェストを明確に打ち出し、その正否は総選挙における国民の信にすべてゆだねる。私たちの進む道の答えは常に国民の中にある。与党の日も、野党の日も、その議論と振るまいに責任を持ち、健全なるデモクラシーの発展のためにすべての力を結集し、行動する。それが民主党である」
なんていうのはどうでしょうか(^_^)v
◇
きょうから衆院予算委員会が始まりました。野党時代の2009年国会の予算審議は、一般質疑も含めて民主党質疑完投を果たしました。2010年国会では、与党としての予算審議ということで、戸惑うこともありました。ことしは予算案よりも予算関連法案がカギとなり、予算委よりも財金委が友達も多いし、財金委をウォッチしようかな、とも思っています。しかし、正直言って、3月末にどうなるか。不安です。はっきり言いますが、不安です。
ドン底の国民生活を考えれば、単年度主義とはいえ、平成23年度(2011年度)予算をしっかり仕上げないといけませんが、やはり筆者も人間ですので、新しいこと、前向きなことに興味があります。ということで、未来志向で、民主党改革本部と、3委員会の動きも取材し、お伝えしていこうと考えております。もちろん、意見もバンバン書かせてもらいます(^_-)
「党綱領をつくれ」と言って、実際に委員長になった、民社協会国会議員団長の直嶋さんが離党することなんてありえないですよね。川端規約委員長も、あるいはグループは違いますが鉢呂「代表選」委員長もしかり。これだけでも「民主党が分裂するんじゃないか」という不安をこのブログに送って下さる方(複数名いらっしゃいます)に対して、「絶対、大丈夫です、安心して下さい!」と言える。まあ、仮に党綱領策定委員長が突然離党していったら、もうどうしょうもないと民主党をあきらめます(笑)
予算委では、総理大臣の菅さんは、馬淵澄夫さんの質問に、「ボリビアの大統領から『(わが国は)日本のようになりたいんだ』と言われました。京都大学にも2人の大学生が留学しています」として、予算委の常連ながら与党としては初めて質問に立った馬淵さんに「激励のご質問ありがとうございました!」と答弁しました。この菅さんの質問を空元気だ、と言う人。だったらどうするの? 何か対案は出せるの?
僕自身、ちっぽけなつまらない人間ですが、子孫に美田を残したい、りんごの木を残したい。岡田本部長とともに、僕も頑張ります!
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