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宮崎信行の国会傍聴記 ニュースサイト

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

◎大串博志さんらのオープンな民主党農政の「直接支払い」法案に理解広がる 衆農水委

2014年04月02日 17時06分50秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[画像]答弁する民主党の大串博志さん。

【2014年4月2日(水)衆・農林水産委員会】

 農業者戸別所得補償法案など農政改革6法案(政府提出2法案、民主党など提出4法案)の審査が午前9時から午後4時まで行われました。来週8日(火)も引き続き、二大政党案を並べて審査することになっています。提出者に名を連ねていない、維新の会の村岡敏英さんが「私たちが仲立ちします」との発言も飛び出し、コメ主食用米をはじめとする農業の直接支払いの恒久法制化に向けて、第186通常国会は農政の歴史的転換点になる可能性が出てきました。

 民主党の大串博志さんが質問席に。


[画像]質問する民主党の大串博志さん。

 政権交代後の平成25年度予算、26年度予算での「農業者戸別所得補償」について、林農相が経緯を説明しました。

 「(2012年12月の)選挙後の予算は、すでに営農者が準備していたので、そのままのしくみを維持して、経営所得安定対策(に名称を変更して)存続し、新しい日本型直接支払のための調査費を計上した。その後で、自民党の農業改革プロジェクトチームで議論してきた」と経緯を説明しました。

 質問席の大串さんは、「その過程が国民に開示されるべきであって、農家には、猫の目農政と言われるんです。どのような政策が出るかより、過程の透明性が優先されるべきなんです」とバッサリ。まさに自民党農政を根底から否定したともいえ、民主党との「DNAの違い」が審査スタートと同時に明らかに。

 民主党の鷲尾英一郎さんが「猫の目農政で変わってしまうから、農家は経営判断ができない」と問うと、林農相は「経営判断というが、中長期的な経営判断ができるように今回の法案を出して法制化をお願いしている」とけむに巻きました。


[画像]答弁する鷲尾英一郎さん。

 民主党の寺島義幸さんが「地元では『減反が廃止になって、(1万5000円から)7500円になるのか』とさんざん聞かれるので、(野党とはいえ)一生懸命説明しているけれども、なかなか説明できない」とし、「私は政策とはシンプル・イズ・ベストだと思っている」と主張し、ここでも自民党との根底からの違いを見せました。


[画像]質問する寺島義幸さん。

 民主党の玉木雄一郎さんは「地元では、『じゃあ玉木さん、何をどれくらい作ればいいの?』と聞かれるので、『(政府与党の案は)4つの政策の柱があるのでそれをつかんでください」と(野党ながら)言っているが、もっとていねいに情報発信してほしい」と農相に迫りました。

 ちなみに、自民党が「日本型直接支払」と称して、法案に入れ込んでいるのは、次の4本柱です。
 
 (1)農地維持支払・多面的機能をさせる共同活動の支援(農地のり面の草刈り、農道の路面維持など)。
 (2)資源向上支払(水路、農道、ため池の補修など) 
 (3)中山間地など直接支払(中山間地と平地の生産費の差額を現金交付)。
 (4)環境保全型農業直接支援(カバークロップの作付への現金交付) 。

 となっています。ちなみに、米への直接支払(Direct Payment)は法案の中にはありません。

 玉木さんは「これが本当に直接支払ならば、法律(案)に書き込むべきだ」としました。


[画像]答弁する玉木雄一郎さん。

 とにかく、「とことんクリーンでオープンな民主党」という路線が徹底されていました。

 答弁席でもハッキリしていました。

 維新の村岡さんが「あまり違いがないと思う」との感想を述べました。私はそんなことはないと思います。ただ、村岡さんはこの後、「両方与党を経験したのだから、選挙目当てでなく、農家のためにやってほしい」。これはまったく同感です。

 二大政党案の違いを問われて、林農相は「民主党のみなさんと思いは同じ」と答弁しましたが、この後、大串さんは「先の見える農業ということで対案を示していきたい」と民主党路線の徹底を宣言。ここで上に書いた、村岡さんの「私が仲立ちします」との発言が飛び出しました。

 維新で関東・埼玉県選出の鈴木義弘さんは「棚田というのはもともとあったわけでなく、この先も米作ができるとは思えない」ときっぱり。政府提出法案の説明資料では、棚田・段々畑の例として載っている写真は、山口県長門市。安倍首相、林農相ともに地元となっています。

 結いの党の林宙紀さんは「私は先週の本会議で玉木議員に質問したが、『補償そのものに規模集約の機能がビルトインされている』との答弁をもらったが、私が聞きたかったのは生産調整(減反)という要件を外しても規模が拡大できるのかということを聞きたかった」と指摘。玉木さんは答弁席で「厳しいご質問ありがとうございます」と語り、民主党政権下で集落営農が大幅に増えた(13000→14700)ことを明言しました。林さんは選挙時はみんなの党でしたが「我々も選挙のときは、バラマキだ、バラマキだと申し上げたが、少し反省しないといけないかもしれない」と率直に述べました。
 
生活の党の畑浩治さんも共同提出者とはいえ、質疑のなかで、「現状は今の戸別所得補償でいくのが正しい」とおそらく地元の声をそのまま反映しました。

 当然ながら、きょうのところは質疑は終局せず、来週火曜日にも審査が続くことになりました。

 私見ですが、自民党農林族はこういうことを続けていると、成仏(じょうぶつ)できないと思います。

 林議員のように「反省している」と述べるように、過ちをあらたむるにはばかることなかれ、の姿勢で、二大政党がしっかりと協議して、なるべく全会一致にちかい修正ができることを期待しています。

 第186通常国会の静かな構造改革が衆議院農林水産委員会を舞台に始まりました。


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