【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

西松事件初公判で、天の声明かされる 問われる民主党の危機管理

2009年06月19日 11時38分43秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 きょうは、西松建設元社長の初公判の傍聴に出かけたのですが、天候のせいだか、世の中の暗さのせいだか、何だかぼーっとしていて、傍聴券の抽選時刻が「9時20分」と手帳に書いてあったのに、「9時50分」と朝から勘違い。9時23分に東京地裁に着いたら、整理券の配布が終わり、模造紙に書かれた当選番号を一喜一憂する傍聴希望者をなんとも複雑な気持ちで見ました。ずいぶんスーツ姿が多かったです、ゼネコン関係者でしょうか?

 私がきょうの初公判に注目していたのは、冒頭陳述で隠し球が出てくることです。これは西山記者事件のときに、佐藤道夫検事(前民主党参院議員)がやった方法です。このときは、西山記者(男性)と外務省事務官(女性)の不適切な関係を明かし、世論を大逆転させました。この佐藤さんの方式を特捜はとると予想していました。佐藤さんはご健在なのですから、民主党の現職議員も先輩を呼んで、勉強会や食事会をやればいいと思うのです。危機意識の無さ、想像力の不足、先輩を大事にしない、企画力の無さといった点で私は民主党に物足りなさを感じています。

 「あまり深く関わるなという天の差配だな」と思い、帰宅し、衆院総務委の川内・松野・原口質問を聞いておりました。なお、日本郵政公社時代の不動産売却の責任者は誰になるのか?という松野頼久さんの質問に日本郵政が答えられず、一部の質問時間が後日に持ち越されました。衆院総務委には法案が残っておらず、7月28日までに郵政問題で議論をするためには、様々な理由で委員会を設定しなければいけません。原口一博・筆頭理事(ネクスト総務相)の手腕が問われますが、きょうはまずは成功したと言えるでしょう。いずれにしろ、今国会中に、ふたたび、郵政に関する一般質疑が開かれることが確実になりました。解散しない限りは。

 さて、やはり検察側は小沢事務所が、岩手、秋田両県の公共工事で、東北地方の談合組織に“天の声”を出していた、との隠し球を出してきました。時事通信のメール速報、フジなどが伝えています。私は具体的な事業名などは知りませんが、小沢事務所が“天の声”を出していたことは、遙か昔から知っていました。それでも3月3日の強制捜査は総選挙を間近に控えた国策捜査だと断じ、必死に小沢さんを守りました。ところが、小沢さんが説明をしようという姿勢を示さないことから、「小沢と心中できないのが本音だ」として、説明責任と言うよりも、その努力をすべきだと主張。しかし、小沢さんは代表辞任を選びました。

 それにもかかわらず「小沢信者」からの猛攻撃を浴びたことは大変残念であり、私としても、思うところは多々あります。天の声は公訴時効が成立していると思いますが、冒頭陳述で述べるのは自由だし、世間というのは時効で納得してくれません。裁判は社会の対象ですが、選挙は世間の対象です。また、大久保秘書がダミー団体が実質は西松建設であることを知っていたとする供述調書があるそうで、これは大久保秘書は署名しているはずです。どう考えても、小沢代表では第45回総選挙を戦うことはできなかったのは明白です。

 西松事件のTV報道で恐怖心を持ち、初めて政治に興味を持ったという方も多いようです。小沢信者もいいですが、民主党支持者とか、政権交代応援団、二大政党論者はどんどん増えてほしいと思います。小沢さんは政治家ですから支持の対象であって、信仰の対象ではありません。英雄待望論というのは、昔からありますが、デモクラシーには馴染まない。小泉ブームの二の舞になります。

【追記 2009-6-19 13:00】
 掲示板を見ていたのですが、「天の声」という言葉が一般的でないようです。公共工事の談合で、チャンピオン(落札本命企業)を決定することを天の声と言います。ともに隠語です。談合決別宣言後は使われていない言葉だと思います【追記終わり】

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