【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

安倍首相「KC130輸送機の岩国移転」を強調、やはり、ガイドラインで「武器弾薬提供」解禁の布石か

2014年09月04日 11時41分50秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[写真]第2次安倍第1次改造内閣のねらいを記者会見する安倍晋三首相(自民党総裁)、2014年9月3日(水)、首相官邸ウェブサイトから。

 安倍首相は、きのう2014年9月3日(水)の内閣改造で、菅義偉・内閣官房長官に対して、「沖縄基地負担軽減担当大臣」の補職辞令を新しく交付しました。

 その後の記者会見で次のように語りました。

 「先月、KC-130空中給油機15機全機について、山口県岩国基地への移駐が完了しました。沖縄の負担を分かち合う決断をしてくださった岩国市民を始め、関係者の皆様に心から敬意を表する次第であります。
 今後も沖縄県外における努力を十二分に行い、目に見える負担軽減を行ってまいります。そのために、新たに、沖縄基地負担軽減担当大臣を設けることとしました。菅官房長官には、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、これまで以上に全力で当たってもらいたいと考えています

 米海兵隊の普天間基地にあった、KC―130空中給油機部隊15機全機を岩国基地に移したことを強調。これは、菅沖縄負担軽減担当相も記者会見で強調しました。

 この「KC-130」というのは、空中給油機能を除けば、C-130輸送機です。だから、「空中給油機」といっても、「C-130輸送機」 であることには変わりないようです。

 ということは、今月末を予定している、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインで、現行の「武器弾薬を除く」を削除し、「周辺事態における後方支援地域での武器弾薬の補給」が可能になる布石ではないでしょうか。現在も油や食料は補給できます。周辺事態とは地理的概念ではなくことの性質によりますから、例えば、イラク、アフガニスタンに向かう、アメリカ海兵隊のKC-130輸送機に、武器弾薬も無償で補給できるようになるのではないでしょうか。そうなると、離島である普天間基地ではなく、本州にある岩国基地がその最大の拠点になるでしょう。防衛産業の、神奈川の工場からも、愛知の工場からも、高速道路をトラックで運べば岩国に行けます。船でも行けます。付加価値の高い武器なら、羽田空港から岩国錦帯橋空港まで運ぶこともできます。そこで、周辺事態が長期化した場合には、武器弾薬を際限なく日本の税金から無償提供し続けることになりかねません。

 岩国は首相の実弟、岸信夫さんの選挙区、三沢基地は江渡聡徳・防衛大臣の選挙区、厚木基地は甘利明・経済再生相の選挙区です。

 もちろん、補給基地を本州の岩国に移転すれば、普天間基地の存在価値はなくなるので、一部訓練などを辺野古新基地に移して、普天間基地は廃止になるでしょう。沖縄本島において、普天間が基地でなくなり、地主の自由になれば、すさまじい再開発特区になり、道路を広げて、産業を誘致し、住みやすい住宅をたくさんつくれ、大バブルになるでしょう。正直、私も移住を考えちゃうかもしれません。

 しかし、岩国で武器弾薬を補給できるようになれば、戦争というのは長期化させたい悪い奴がいるので国費負担増は年間1兆円になっておかしくありません。それで儲かるのは、三菱重工、川重、IHI、日産自動車、石川製作所などごく一部の会社です。戦車を提供するにしても、しょせんは1000社、日本全国でたったの1000社が潤うだけです。残り1億人の所得税・法人税負担はとてもきついものになります。

 普天間基地の完全除去にめどが立つと同時に、岩国から際限なく武器弾薬が提供される可能性が高まりつつあります。

 まずは、今月末の「ガイドラインの中間報告」なるものが、いったいどういうものなのか。

 政府は、臨時国会を前倒し召集して、議事録に残る場で答弁すべきです。

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2014年8月25日付(岸田外相留任へ、の報道、2014年9月20日前後のガイドライン中間報告で「武器弾薬の提供」解禁布石か) 

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