【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

柳田稔さん、「岡田克也代表のもと、政権交代ある二大政党政治をめざす」 参院本会議

2015年01月28日 19時59分09秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年1月28日(水)参議院本会議】

 第1ラウンドで、平成26年度補正予算案の財政演説に対する各党代表質問、第2ラウンドで平成25年度決算の全般質疑が行われました。

 今通常国会の参議院トップバッターは、民主党の柳田稔さん。

 柳田さんは1990年衆議院初当選組の「岡田世代」で、民社党を代表して田原総一朗さんの朝まで生テレビで、政治改革の理想を説きました。

 柳田さんは、「民主党は総選挙で党勢回復したが、いまだ道半ばだ。党員・サポーターに開かれた代表選で選ばれた岡田克也代表のもと、政権交代ある二大政党制をめざす」と宣言しました。岡田代表は、まもなく衆議院議員として迎える永年在職表彰=辞退=について、「いずれにしても、志を持ちながら途中で政治生命を絶たれた仲間はたくさんおります。私は幸せだったなと思っています」 と先週の記者会見で語っています。民社党として再選して細川・羽田内閣に参加し、参議院での議席回復した柳田さん。2012年通常国会で、民主党席の委員長が、「岡田国務大臣」と指名することが多い中、柳田・参議院予算委員長だけは、「岡田副総理」「岡田副総理」と呼び続け、同期の背中を押す姿を感じました。

 柳田さんは、このほか、広島県選出ということもあり、岡田さんと取り組んできた核の先制不使用や、核不拡散について説明したうえで、「核兵器廃絶に向けての安倍内閣の取り組みと意欲は希薄だ」と指摘しました。今週のNHK日曜討論で、安倍晋三首相の発言を岡田克也代表が批判した「戦後70年談話(安倍談話)」(8月か)については、総理の答弁は一定の範囲内に戻りました。

 この後も、世代間格差、子どもの貧困、年金へのマクロ経済スライドの発動。そして、積極平和主義の転換など、「くらし」と「安保」という旧民社党の二大看板を岡田民主党にひきつぐ質問演説を展開しました。柳田さんは20年以上、浪人中もずっと走り続けてきたんだな。民社党らしい勉強家だなということをうかがい知ることができました。

 当ブログでは何度も言及していますが、1990年の民社党のポスターは、「暮らし上向き実感したい 生活先進国をめざす 民社党」。
 岡田克也さん、増子輝彦さん、金子徳之助さん(金子恵美代議士のお父さん)の3人が初当選した1990年自民党(小沢一郎幹事長)は、「世界のあこがれ 自由な日本」。
 仙谷由人さんらが初当選した1990年日本社会党は「激サイティング社会党 やっぱり消費税は廃止だ」。

 この3つの党の初当選組が民主党にいるわけです。しかし、選挙の評価は相対的なものに過ぎません。山口那津男さんが初当選した1990年公明党は「福祉と平和の新時代」でしたが、ご存じのとおり、公明党は「平和」の看板を降ろし捨て去り、戦争加担政党に成り下がりました。

 ◇

 このあと、平成25年度決算について、麻生太郎財務相が説明。代表質問が行われました。民主党の相原久美子さんは「通常国会冒頭に審議入りできたことについて、すべての関係各位に感謝します」と語りました。相原さんへの答弁の中で安倍首相は「私たちの政権がめざしているのは、トリクルダウンではなく経済の好循環だ」と答弁しました。また、国の予算決算では「項」までの開示にとどまっている予算書・決算書について、「目」の開示について、麻生財務相は検討しているとしながらも、引き続き慎重な姿勢をみせました。

【同日 衆議院予算委員会】

 参議院本会議散会後、平成26年度補正予算案について、麻生財務相から趣旨説明を受けました。あすから、基本的質疑。

【同日 参議院予算委員会】

 補正予算案の趣旨説明を受けました。衆議院から送付後に、いきなり基本的質疑からスタートすることになります。

【同日 参議院決算委員会】

 平成25年度決算について、麻生財務相と河戸会計検査院長から説明を受けました。質疑は後日。

【同日 参議院国家基本政策委員会】

 民主党の小川勝也委員長が開会を宣言。党首討論を衆議院側と合同審査会で開く手続きをとりました。

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国家戦略特区法改正案、今国会に再提出へ 「公証人特区」は「民法連帯保証改正法案」とのかねあいで削除を

2015年01月28日 06時10分21秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 NHKの報道の報道によると、政府(内閣府)は、先の臨時国会(第187秋の臨時国会)で、衆議院地方創生に関する特別委員会(鳩山邦夫委員長)で提案理由説明された10日以後に衆議院が解散されたことにより審議未了廃案になった国家戦略特区法改正法案(旧187閣法31号)について、追加して、今国会に提出する方針を固めたようです。

 追加されるのは、当ブログが一貫して応援している山中伸弥先生のiPSを血液などに応用しやすくする特区などのようです。

 それと、日経によると、27日、官邸で国家戦略特区諮問会議(安倍議長)というものがあったそうです。今国会ではiPSのほか、首都圏の公園を活用した保育所設置特区、そして、自治体のサービス分野の随意契約によるベンチャー支援特区というものができるようです。民主党政権の途中から、私は「なんでも入札にすればいいというものでもないのだな。随契よりも、むしろ、入札して、1者応札の方が問題のことも多いな」という「与党センス」を持ちました。とはいえ、自治体の随契でベンチャー支援特区ってものすごく筋が悪いように思います。

 新しいものだけでなく、未成立の、先の臨時国会に提出された法律案に盛り込まれた特区のメニューは次のアドレスをみてください。

 http://www.cao.go.jp/houan/doc/187-2gaiyou.pdf

 このうち、私は、(4)の公証人が公証人役場外で会社設立の定款の承認ができる特区ーーに大反対しています。これは、この国会に提出しようとして法務省民事局が書いている、民法債権編抜本改正法案(未提出)で、「債務の連帯保証」について、公証人による公正証書が必要だーーという改正案が盛り込まれる見通しだからです。おそらく、金融機関に公証人が出張できるスペースができるのではないでしょうか。内閣府と法務省の連係プレーというのは考えにくいのですが、誰かが操っているように感じます。

 安倍晋三首相(自民党総裁)は、先の臨時国会の所信表明演説で「次の国会も、更にその次も、今後、国会が開かれるたびに、特区制度の更なる拡充を、矢継ぎ早に提案させていただきたいと考えております」 と語っていました。この表現について、少し違うのではないか、と思いましたが、たしかにその通りだったようです。

 もちろん、全国一律の規制緩和・規制強化が本来あるべき姿でしょうが、日本の現状では特区ということでしかたないでしょう。ただ、おとといのエントリーにも書きましたが、今国会から、参議院で「地方創生」「消費者問題」が一つの特別委員会に再編されており、会期末に近づくと、参議院での出口がきつくなるかけひきもありそうです。


内閣官房・内閣府スリム化の国家行政組織法などの改正法案、今国会に提出へ、「新8号館」節度ある活用を

2015年01月28日 05時52分15秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 きのう、平成27年2015年1月27日(火)、菅義偉・内閣官房長官は記者会見で、「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて閣議決定を行いました」「先週、与党から内閣官房・内閣府のスリム化に関する提言をいただいており、政府としてもこの提言を尊重し、閣議決定を行ったものであります。今後、今通常国会に関連法案を提出するなど、所要の作業を進めてまいります」と語り、

 第189回通常国会に、内閣官房・内閣府スリム化のための国家行政組織法などの改正法案を提出することを明言しました。

 閣議決定文書は、次のアドレスで、これに基づき、法律案が執筆され、提出されます。

 http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2015/__icsFiles/afieldfile/2015/01/27/minaoshi.pdf

 上のアドレスのPDF文書が、私が使っている無料のアクロバット・リーダーではコピーアンドペーストできないので、要約のみ書きます。

 内閣官房で廃止されるのは、4つで、「郵政民営化委推進室」「社会保障改革担当室」「原子力規制組織等改革推進室」「法曹養成制度改革推進室」。このうち「社会保障~~」に関しては、平成24年社会保障と税の一体改革推進法による時限が来たから廃止になるようです。

 内閣官房にある、「知的財産戦略推進事務局」と「総合海洋政策本部事務局」は内閣府に移るようです。この背景には、首相官邸の向かい側、国会記者会館隣の、内閣府本府ビル(旧総理府ビル)の隣に、中央合同庁舎8号館「内閣府」ビルが出来たからでしょう。14階建てのようです。(参考文献「官庁フロア&ダイヤルガイド」国政情報センター編、刊行)。

 内閣府ビルが出来たからといって、内閣官房で存在の期限を迎えた、サンセット方式の部署、必要のない部署が何でもかんでも今後、内閣府に移れるわけではありません、ピシャリ。 

 閣議決定に戻って、「遺棄化学兵器処理対策室」、「道州制特区担当」、「地域活性化担当」、「宇宙開発戦略本部事務局」は、内閣官房の部署は廃止され、内閣府のみとなります。おそらく、これまでも併任辞令が出ている職員が多かったでしょうから、あまり実態に変わりはないのかもしれません。

 内閣府から各府省に移すものもいくつかあります。そのうち、「自殺対策」は、これは、4号館の6階にあったと思いますが、新8号館の8階に移っていたようです。これが、厚生労働省に移ることになります。ここは、現在の厚労事務次官がちょっと前まで内閣府の事実上の局長にあたるポストにいたんだろうと思います。

 ちなみに、霞が関の局(大臣官房含む)の数は、国家行政組織法の第23条で「97」と決まっているのですが、私は、例えば120とかそのくらいにしていいと考えます。いずれにせよ、設置根拠は法律によることを徹底してほしいところ。

  交通安全対策は、内閣府に残したうえで、国家公安委員会と国土交通省に一部機能を移すようです。おそらく、中央省庁再編前は、4号館、旧総務庁にあった部局だと考えますが、けっこう、天下国家を論じる、建設官僚、プロパーも多かったですよ。今はどういう状況か分かりませんが、交通事故死者の減少という政策効果を達成しているわけです。こういうところで、大いに天下国家を論じる時間と機会も各省採用の官僚に与える度量も必要でしょう。

 その他詳しいことは、PDFを見てください。私としては、枝葉も含めて、大いに法案に賛同したいところです。いずれにせよ、総理大臣と法律にもとづき、柔軟に内閣官房と内閣府は模様替えをできることが何よりも大事です。 

 内閣委員長は、衆議院が自民党、参議院が民主党ですが、秋の臨時国会から衆参とも内閣委員会は良好な運営が続いており、法律案のスムーズな審議は確実なところと思われます。