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ミステリ感想-『誰も僕を裁けない』早坂吝

2016年04月05日 | ミステリ感想
~あらすじ~
高校3年生の戸田公平はドラマチックな出会いをした令嬢と一夜を過ごした直後に逮捕された。
一方、援交探偵・上木らいちのもとには、住み込みでのメイドの仕事が持ちかけられる。
高額のバイト料を期待して屋敷に向かうが、当の依頼者は不審な様子で、しかも間もなく殺人事件が起こる。


~感想~
「社会派エロミス」の名乗りに恥じない、水と油のような社会派・エロ・ミステリの三身悪魔合体に成功。
のみならず館・密室・アレ等々本格ミステリのあらゆる要素をぶち込み、この作者に期待するエロトリックやエロ伏線も備えと万全の構え。
中盤で作中人物に「本格のルールが現実社会のルールをも侵食、両者が混然一体となるような、そんな作品を書きたい」や「この館は◯るんじゃないか」と語らせ、存分にハードルを上げ、手の内も明かしたうえで、荒業ではあるもののハードルをやすやすと飛び越えたのはお見事という他ない。
トリックで驚かせ、物語を読ませ、下ネタで噴き出させる、3月にして早や今年度ベスト3は間違いないと思わせる、傑作社会派エロミステリである。


16.3.29
評価:★★★★☆ 9

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