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ミステリ感想-『新しい十五匹のネズミのフライ』島田荘司

2017年04月20日 | ミステリ感想
~あらすじ~
シャーロック・ホームズのもとを訪れた赤毛の男。
赤毛の男を援助する「赤毛組合」から、簡単な作業をするだけで大金をもらっていたが、ある日突然、組合は消滅してしまったと言う。
謎めいた事件の裏の裏に潜む真実とは?

2015年このミス18位、文春7位


~感想~
信者の癖に今さら読了。ただのホームズパスティーシュではなく島田ワールドにおけるホームズ譚。「占星術殺人事件」で「まだらの紐」を糞味噌にこき下ろしたあのホームズの、である。
中盤からはパスティーシュの枠に留まらない、wikiで著名なシャーロキアンとして紹介されている御大ならではの、とある趣向も凝らされている。
御大訳による「赤毛組合」を丸々収録、というだけでもその熱意のほどが知れるだろう。

2015年現在にわざわざ御大がホームズ物を書く意味はあるのかという疑問は尽きないが、最近の御手洗シリーズよりもっと御手洗シリーズしている内容で、「赤毛組合」を発端にホームズを襲う奇禍、ワトソンの孤独な奮闘と恋愛、怒涛の謎解きに意外な決着と、過不足ない仕上がりである。
なにより御大がノリノリで書いてるだろうことを想像するだけで、我々信者はうれしくてたまらないではないか。

そして読了後、御大のエッセイ集「異邦人の夢」をたまたま読んで驚愕した。
そこには本作が御大の30年越しの大作である確たる証拠が書かれていたのだ。
↓そのことについては別記事にて。↓

新しい十五匹のネズミのフライは異邦人の夢を見るか?

17.4.19
評価:★★★☆ 7

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