~あらすじ~
高級マンションに居を構える女子高生・上木らいちは、日替わりの固定客を相手に援助交際をしている。
周囲で起こる下ネタ満載の大事件・小事件を謎の推理力でらいちが解き明かす連作短編集。
~感想~
デビュー作「◯◯◯◯◯◯◯◯殺人事件」はトリック・推理・伏線・真相がことごとくお下劣ながら、丁寧な描写と丹念な論理性で話題をさらい2014年の本ミス6位にも輝いた。
それに続く二作目はどんな路線で来るかと期待していたら、お下劣さをさらに研ぎ澄ませてきた。いいぞもっとやれ。
都筑道夫の「泡姫シルビア」シリーズは未読だが、全編がミステリ史上に残るだろう下ネタの山で埋め尽くされ、下トリックが下ロジックで解き明かされていくのは実に痛快。
そのうえ「鳥飼否宇からの麻耶雄嵩…ッ」と唸らずにはいられない驚異の馬鹿トリックが(無駄に)緻密な伏線と論理に支えられ火を噴くのだからたまらない。
エロミスファンはもちろんのこと、下ネタに寛容な紳士淑女のミステリファンも見逃す手はないだろう。
15.2.19
評価:★★★★ 8
高級マンションに居を構える女子高生・上木らいちは、日替わりの固定客を相手に援助交際をしている。
周囲で起こる下ネタ満載の大事件・小事件を謎の推理力でらいちが解き明かす連作短編集。
~感想~
デビュー作「◯◯◯◯◯◯◯◯殺人事件」はトリック・推理・伏線・真相がことごとくお下劣ながら、丁寧な描写と丹念な論理性で話題をさらい2014年の本ミス6位にも輝いた。
それに続く二作目はどんな路線で来るかと期待していたら、お下劣さをさらに研ぎ澄ませてきた。いいぞもっとやれ。
都筑道夫の「泡姫シルビア」シリーズは未読だが、全編がミステリ史上に残るだろう下ネタの山で埋め尽くされ、下トリックが下ロジックで解き明かされていくのは実に痛快。
そのうえ「鳥飼否宇からの麻耶雄嵩…ッ」と唸らずにはいられない驚異の馬鹿トリックが(無駄に)緻密な伏線と論理に支えられ火を噴くのだからたまらない。
エロミスファンはもちろんのこと、下ネタに寛容な紳士淑女のミステリファンも見逃す手はないだろう。
15.2.19
評価:★★★★ 8
個人的には「青」と「黄」の話が良かったです。作者はデビュー前かららいちを探偵役でいろいろ書いてるようなので次はどんな下ネタミステリを書くのか益々興味が出て来ますね(まあ、他出版社だったら下ネタは封印してくださいね。と言われそうですが)。
追伸
以前の感想に載ってた「人間の顔は食べづらい」で良かったです。最初はカニバリズムなのかと戦々恐々でしたが(鏡家サーガだと「エナメル」が好きなわたしが言っても説得力はありませんが)、蓋を開けてみれば有栖川さんが推薦するのも納得するような多重解決とヒントがあったのが(終盤で解説していたあれは気付きませんでした!)良かったです。
東京創元社とかでは仕事が出来なさそうな作風なので、メフィスト賞作家と喧嘩することに定評のある講談社とは末永くお付き合いしてもらいたいものです。
あと「鳥飼否宇からの麻耶雄嵩……ッ」と唸ったあたり、実は周木律よりもっと先輩作家をマジリスペクトする作風なのかもしれないので、そのあたりも次回作では期待したいです。
「人間の顔は食べづらい」と「ずっとあなたが好きでした」は本当に出版時期が悪すぎた! 1ヶ月後ろにズレていれば来年のランキングを賑わせたことは間違いないのに。死ぬほどランキングに入ってる歌野はともかく、こっちはどうにかならなかったのか……。
とりあえず仲良くして欲しいものです。下ネタミステリを受け入れてくれる出版社なんて(六とん込みで)そうそういませんし(大分偏見入ってますが角川だったらホラーか、アニメや実写前提か、お色気?)、ここまで来たら貫いてほしいのも事実です(リスペクトして下ネタ路線薄くなったらどうしましょう…周木さんがリスペクトする作風なのには同意しますが)。
東京創元社については沈黙してた石崎さんを掘り出してただけでなくコバルト文庫や電撃文庫でのミステリに定評があるのに沈黙していた「リリカル・ミステリー」の(某魔法少女と因果関係はありませんよ)友桐夏さんや「トリックスターズ」の久住四季さんも掘り出しているので(出版社の作風かどうかは不明ですが「首鳴き鬼」を含め3作とも超常なしの真面目な作風となっています)復活に一役買ってる時点で、良き傾向などでは…(ただ、ハードカバーは出費が痛いです!)。
「ずっとあなたが好きでした」は未読でしたので探してみます。
追伸
「オルゴーリェンヌ」面白かったです。北山さんが自分らしさを貫いていて嬉しいです(そう言えばこれも東京創元社・・・)。
また、感想にあった「夜想曲」が気になって読んでみました。・・・犯人「だけ」は最初の予想が当たったのに(つまり後に否定)全然気付けなくて悔しいです(様々な違和感をもっと切り詰めていけばあ!!)。完敗でした(感想のヒントも納得です)。・・・あの禁じ手すれすれも物語全体に関わってるのでアリだと思います。
創元社はもう創元社というだけで買えるくらいの安定感があります。文春は単行本で傑作ミステリを出すイメージで、光文社は講談社の二番煎…後追い、角川はサイトが超見やすく、宝島は海堂尊、原書房は刀城言耶の専属事務所かな。
すっかり第二のスチームオペラ化した「オルゴーリェンヌ」ですが、4月中には読む所存です。依井貴裕は他の作品も読みたいのですが軒並み絶版で……。