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ミステリ感想-『終戦のローレライ』福井晴敏

2007年11月20日 | ミステリ感想
~あらすじ~
数奇な運命をたどり日本軍に接収されたナチスドイツの潜水艦「伊507」。正規に登録されない亡霊艦に乗り込むのは、枠を外れたはみだし者たち。
彼らが目指す「日本が迎えるべき終戦」とは、特殊兵器ローレライとはなにか。


~感想~
映画『ローレライ』ではあらすじからして平然とネタバレされているので今さらという気もするが、読むならばぜひとも予備知識なしで臨んでいただきたい。
がぜん盛り上がるのはローレライの正体が明かされてから。それまで脳内でファーストガンダムの頃のアムロの声に自動変換されていた折笠征人の言葉が、それを境に碇シンジの声へと変わる、そんなお話。(どないやねん)
驚くべきはその筆力。大長編だが中だるみする場面はなく、終始最高潮を維持しつづけ、2巻ラストの戦いの目的と思われる「アレ」の登場や、3巻ラストの自らの足と意志で歩みだす場面は鳥肌立ちまくり。なにぶん丸1月かけて読んでいただけに感涙こそ誘われなかったが、全く飽きることなく1月の間、日常生活の友として幸福な読書体験ができたことは、本読みとしてこのうえない喜びである。
戦記ノベルファンもミステリマニアも関係ない。本好きならば絶対読むべきの、歴史に残る大傑作。いいから読め!

Ⅰ 07.10.5
Ⅱ 07.10.20
Ⅲ 07.11.7
Ⅳ 07.11.20

評価:★★★★★ 10

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