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ミステリ感想-『13階段』高野和明

2007年07月25日 | ミステリ感想
~あらすじ~
犯行時の記憶を失った死刑囚に甦った「階段を上る記憶」。彼の冤罪を晴らすべく、刑務官の南郷は前科を背負った青年三上と共に調査を始める。
処刑までに残された時間はわずか。二人は、無実の男の命を救うことができるのか。
第47回江戸川乱歩賞。


~感想~
乱歩賞作品で最速・最多の売り上げを達成し映画化もされた作品。そのため逆に敬遠していたのだが、読んでびっくり大傑作。分量を感じさせない抜群のリーダビリティで一息に読めるあたり、脚本家、映画監督としても活躍する映画の素養をうまく生かしている……のだろうか。
惜しいのは終盤の展開。全てが引っくり返ったところで(以下ネタバレ→)あっさりと三上の視点を描いてしまい、ひょっとして三上が真犯人なのではと思わせる暇を与えなかった。(そりゃ騙される読者はまずいないだろうが)
また、トリックに関しても(以下ネタバレ→)凶器に指紋を刻むというのは無茶ではなかろうか。詳しくは解らないが、指紋は凶器に付着するものであり、刻印されたら不自然ではないのでは?
ともあれ、そうした細かい瑕疵を気にさせないだけの傑作である。いやはや乱歩賞からこんな作品が出ていたとは。


07.7.25
評価:★★★★ 8

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