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ミステリ感想-『硝子のハンマー』貴志祐介

2008年07月24日 | ミステリ感想
~あらすじ~
日曜の昼下がり、株式上場を目前にした介護会社の役員たち。
強化ガラスと監視カメラによる厳重なセキュリティ網を破り、自室で社長は撲殺された。
凶器は? 殺害方法は? 犯人は?
日本推理作家協会賞受賞作。


~感想~
非常によくできた、実に書くのがめんどくさそうな力作。ただし確かな筆力で長大な物語を楽に読ませてくれる。
島田荘司を思わせないでもない二部構成や、なまじ鉄壁なトリックだけに突飛な推理や展開がなく、冗長に流れてしまいそうなところだが、そのあたりは実力のある作者、心配はいらない。
ただ、ひとつ苦言を呈したいのが序盤で、三人称視点なのに登場人物の一人をずっと「さん付け」で書いており、非常に違和感があった。
これは三人称に見せかけて実は現場にいた、もうひとりの人物(=犯人)の視点だった! ……などという裏はないのであしからず。


08.7.23
評価:★★★☆ 7

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