読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

ポスト2020の都市づくり 井口典夫他 2017

2017年12月25日 | まちづくり・地方創生
 第1章で都市論、都市計画論、まちづくりの俯瞰的な批評をしている。

 日本では郊外住宅地=ベッドタウンの役割が終わり、官主導のハードインフラを中心とする国土計画や都市計画は意義を失いつつあり、研究・産業都市、スマートシティ構想は・・・。

 現在、都市づくりはハードなインフラ整備よりもソフトなコンテンツに重点が置かれ、そのプロセスもトップダウンからボトムアップに変わってきている。官主導の構想や計画には描かれていなかったまちづくりが市民主導で実現しつつある。

 日本のまちづくりには5つの起源がある。
・抵抗的市民運動 三島、沼津
・住環境改善運動 神戸など
・町並み保全運動 鎌倉、南木曾
・むらおこし運動 湯布院、池田町
・住民参加のコミュニティづくり 武蔵野、豊中

 著者が参加した表参道の地区計画。「安藤忠雄の設計への評判はあまり芳しいものではない」と潔く認めているところは評価する。しかし協議会で真剣に議論し、デベロッパーも協力したというのに、なんでああなってしまったのか。

 第6章後半では、80年代から今日までの都市政策とエリアマネジメントの変化が紹介されている。
 80年代に民間活力導入が始まったが、リゾート開発は破綻、中心市街地活性化は補助金でカラー舗装やイベントするだけ。より大規模な市街地再開発は高い補助率が安易な投資、甘い採算見込みを誘導する。
 民間主導のエリアマネジメントは継続的な資金確保とそれが地域の価値向上のために還元されるしくみづくり。日本では資金を集めるしくみは確立されておらず、公共空間等を利用した収益事業が目下の課題。

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