勝手に書評

私が読んだ本の書評を勝手に行います。

眠りの森 / 東野圭吾

2011-02-26 | 小説
タイトル : 眠りの森
著者 : 東野圭吾
出版社 : 講談社文庫

---感想---
加賀恭一郎シリーズ第二作。教員をしていたはずの加賀は警官になっており、警視庁捜査一課に所属しています。

『卒業 雪月花殺人ゲーム』では、現代人に欠かせないケータイが出てこないと書きましたが、この作品でも出てきません。しかしなから、ポケベルが登場しています。時代は進んでいますね(笑)。まだ、加賀恭一郎のスタイルが確立途中なのかも知れません。

物語には複雑な背景が隠されていた訳ですが、ちょっとズルイというか、推理小説としては常套手段というか(笑)。なるほどねぇとは思う話ですが、バレリーナという特殊な世界の中では、理解できる動機なんでしょうかね? 一般人には理解しがたい感じもします。

卒業 / 東野圭吾

2011-02-19 | 小説
タイトル : 卒業 雪月花殺人ゲーム
著者 : 東野圭吾
出版社 : 講談社文庫

---感想---
2010年にTBSでドラマ化された加賀恭一郎シリーズ『新参者』。その主人公の加賀恭一郎が初めて登場する作品。

この作品で登場する加賀恭一郎は、卒業を控えた大学4年生。『新参者』では、刑事らしからぬ人物像が描かれていますが、この『卒業』で描かれている加賀恭一郎の人物像は、切れる若者と言う雰囲気で描かれています。『新参者』では地域の商店を気さくに回る加賀恭一郎像が描かれていたのですが、この『卒業』では、そう言う気さくなところは特に見え無いので、そう思うのかも。でも、飄々とした雰囲気は変わらないですね。

この作品が描かれたのは、1980年代。描かれている人物描写、背景描写に時代を感じます。一番感じるのは友人たちとの連絡手段。今なら確実に携帯電話を用いるところですが、何とイエデンです! って言うか、時代的に、まだケータイは普及していないので当然ですが。合わせて言うと、警官も、公衆電話とかの固定電話を用いて連絡を取っています。これも、いまなら確実にケータイですねぇ。

それと、男性が女性を描いたからなのか、女性の語り口調が妙に時代調。「~ですわ。」なんで話し方をする女性って、イマドキ居ない・・・。って言うか、1980年代でも、そんな話し方をする大学生は居ないと思う。

とか言うと、イマイチなのか?と思うかも知れませんが、そんな事はありません。巧妙に仕組まれたトリックが非常に興味深いです。時代背景を今風に直すと、もっと良いかも。

新参者 / 東野圭吾

2011-02-12 | 小説
タイトル : 新参者
著者 : 東野圭吾
出版社 : 講談社

---感想---
加賀恭一郎シリーズの第8作。2010年には、TBSでドラマ化された。

加賀恭一郎シリーズが、実は、加賀恭一郎の大学生の頃から始まっているということは、初めて知りました。って言うか、加賀恭一郎シリーズそのものも、初めて知ったんですが(苦笑)。TBSでドラマ化された際、加賀恭一郎は阿部寛が演じたのですが、本を呼んていて、彼の顔がチラチラして仕方有りませんでした(笑)

1章毎に、主人公が変わる形で物語が進んでいき、最後の第9章で事件の犯人が判明し、事件が解決するというちょっと面白い形式の小説。しかも、各章毎に、少しホロッとさせるようなエピソードにもなっており、加賀恭一郎が切れ者ながらも、人情刑事の要素も持っていることがわかります。

実際には、第1章が書かれたのは2004年、最後の第9章が書かれたのは2009年なので、足掛け5年にもわたる小説になっています。正直、ちょっと長すぎませんかね? 今回は、一冊の本になった形式で読んだので前後関係を把握するのに、それほど困りませんでしたが、前の章から1年も経ってからだと、話の前後関係を忘れたのではないかと心配です。

チーム / 堂場瞬一

2011-02-04 | 小説
タイトル : チーム
著者 : 堂場瞬一
出版社 : 実業之日本社文庫

---感想---
実業之日本社文庫では、堂場瞬一スポーツコレクションと銘打っています。先に出た『水を打つ』では、オリンピック競泳メドレーリレーチームが舞台でしたが、今回は、箱根駅伝学連選抜チームが舞台。

『水を打つ』から続いて読んだので思ったのかも知れませんが、基本プロットは良く似ています。陸上も水泳も、基本、個人競技ですが、その中でも例外的に存在している競技を舞台にしていたり、能力はずば抜けているものの、周りと協調しない選手が居たり・・・。ただ今回は、『水を打つ』とは違い、ギア(装備品)の問題はありませんでした。

『水を打つ』では水泳競技を舞台にしながら、水泳競技中の話はほとんど描かれていないのと同様に、『チーム』でも駅伝中の話は少ないです。もっとも、『水を打つ』では徹底するほどに水泳競技中の話はなかったですが、『チーム』では若干、駅伝中の話は書かれています。ネタバレになるので、結末に付いてはあまり語りませんが、結末も・・・。

とまぁ、『水を打つ』と比較するような事を書いてしまいましたが、中々、面白い物語だと思います。