勝手に書評

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日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか

2008-10-04 | ビジネス
タイトル : 日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか
著者 : 半藤一利、江坂彰
出版社 : 講談社
出版年: 2008年

---感想---
本書は『撤退線の研究』(2000年6月)の加筆修正・文庫化したものです。半藤一利と江坂彰の二人の対談を書物にした形態をとっています。
内容の多くは、他の第二次大戦研究モノにも書かれている、「日本軍のエリート教育は失敗であった」とか、「米軍は年次に拘らず、優秀な人材を抜擢した」とかの事ですが、一つ初めて目にした内容がありました。それは、「山本五十六は、言われているほど、すばらしい軍人ではなかった」と言う見方です。人物としては、すばらしい人物であったのかもしれませんが、軍人としてみた場合、自分の作戦思想を徹底する事が無いとか、人見知りであったとか、指揮官として欠けている部分が多かったと言うのは、この書で指摘されてみて、初めて気が付きました。確かに、そう言う点はあったのでしょうね。
さて、一応、この書は、第二次世界大戦を通しての日本の失敗の理由を探っているわけですが、実際のところは、現代日本の問題点を過去から学んでいる書であると理解すべきです。明示的にも「今の日本も、かくあるべき」と書かれていますが、温故知新。曲がり角に来ている日本を正しい方向に向かわせるためにも、過去の経験をケーススタディとして、よく学ぶべきだと思いました。