勝手に書評

私が読んだ本の書評を勝手に行います。

納棺夫日記(増補改訂版)

2009-07-18 | エッセイ
タイトル : 納棺夫日記(増補改訂版)
著者 : 青木新門
出版社 : 文藝文庫
出版年: 1996年

---感想---
第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」の原作的位置付けの本。映画主演の本木雅弘がこの本に強くインスパイアされ、映画化を企画はしたものの、著者の意向により、映画は本とは全く別の話として脚本化されたので、“原作的位置付け”と言う微妙な書き方をしました。とは言っても、元々この本から映画を企画したので、一応、この本と映画は完全に別個の話と言うことにはなっているものの、所々に、同じようなエピソードが見受けられるのは仕方ないんでしょうね。一つだけ決定的に違うのは、この本は、著者の宗教観が本の後段に開陳されているんですが、映画においては、宗教観は語られていないので、そう言う意味では、全く別のものと言う説明も矛盾はしていません。

私自身、『死』は、必ず全ての人に訪れるにも係らず、通常は殆ど意識することなく生活している訳ですが、日常的に『死』と向かい合う生活をしていると、著者のように色々考えるところも出てくるんだろうなぁとも思います。

草食系男子の恋愛学

2009-02-15 | エッセイ
タイトル : 草食系男子の恋愛学
著者 : 森岡正博
出版社 : メディアファクトリー
出版年: 2008年

---感想---
近頃の男子(特に若い男子)には元気がないと言われていますが、その元気の無い男子に向けた、恋愛を解説した書物。単なる恋愛ハウツー本ではなく、恋愛ベタな草食系男子が理解しやすい形で、女性のモノの考え方などを上手く解説している。また、それに加え、ネガティブな志向に陥りやすい草食系男子に対し、自身の意識改革も求めている。

よく読んでみると、指摘されている事は「それって、当然だよね。」と思える事ばかりであるが、あらためて第三者に指摘されると、素直に理解できるから不思議なものである。

下世話で、不順なメンズ雑誌を読むのであれば、こちらの作品を読むべきである。

女房が宇宙を飛んだ

2007-02-12 | エッセイ
タイトル : 女房が宇宙を飛んだ
著者 : 向井 万起男
出版社 : 講談社
出版年: 1998年

---感想---
前作『君について行こう』の続き物と言っても良いでしょう。前作が向井千秋さんが宇宙に行くまでの話が中心だったのに対し、こちらは宇宙に行ってからと、戻ってきてからの話が中心になっています。書かれているトーンも、微妙に異なり、前作が軽妙で面白おかしい雰囲気であったのに対し、本作は、軽妙さは若干おとなしめ。

一番面白いのが、千秋氏が地球に帰還してから重力を感じ感動していると言う件。2週間と言うそれほど長いとは感じない期間でも、重力があることが不思議になるようです。無重力と勘違いして、物を空中に置こうとして落下させるなどの事もあるようだし。あぁ、そう言うの体験してみたいです。

君について行こう

2007-02-12 | エッセイ
タイトル : 君について行こう 『上 女房は宇宙を目指す』
                『下 女房と宇宙飛行士たち』
著者 : 向井 万起男
出版社 : 講談社(講談社+α文庫)
出版年: 1998年

---感想---
元々は1995年刊行の『君について行こう』の文庫化。文庫化にあたり、上下二巻構成になった。

この本の”女房”とは、ご存知日本人女性宇宙飛行士の向井千秋さん。著者は、その旦那である。まぁ、向井千秋さんが宇宙に言った頃は、時折テレビに出ていたので、著者の顔を知っている方もいるのではないだろうか? 何故に今頃この本か?と言うと、2007年1月12日(金)にフジテレビ系列にて放送された女の一代記シリーズで向井千秋さんがフィーチャーされていたので、興味を持ってしまいました。

本書では、万起男氏と千秋氏の出会い、千秋氏の宇宙飛行士への応募、そして結婚、チャレンジャー事故、そして宇宙への旅立ちと、向井千秋さんが宇宙に行くまでのその人生が記されていると言っても過言ではないでしょう。それにしてもいやぁ、向井千秋さんって豪快な方なんですね。そう言う人で無いと、宇宙飛行士になんかなれないのかなぁ(笑)。

スーパー書斎の遊戯術 怪傑版/山根 一眞 著

1998-03-16 | エッセイ
タイトル : スーパー書斎の遊戯術 怪傑版
著者 : 山根 一眞
出版社 : 文藝春秋(文春文庫)
出版年 : 1998年

---感想---
これまでも何回か記した山根一眞氏のスーパー書斎シリーズ(?!)の文庫版最新刊。もとは、「第3.5の波 スーパー書斎の秘めごと」として文芸春秋より1990年に刊行されている。時代もかなり下った事も有り、FAX有り、ワープロ有り、パソ通有りと現代に則した内容となっている。電脳作家山根一眞の本領発揮と見る事が出来る。(これまでの著書では、時代が古い事も有り、FAX・ワープロ・パソ通はかなり苦労して使っていた模様だった。)また、山根氏は、著書にも度々名前が出演するお友達のせいも有ってか常に最新のワープロを使用しているようであり、氏の著書は日本のワープロの歴史としても見る事が出来るような気がする。

スーパー書斎シリーズではもう一巻刊行が予定されているそうである。電脳作家山根一眞のさらなる活躍が期待される。

鉄道廃線跡を歩く/宮脇 俊三 著

1998-03-07 | エッセイ
タイトル : 鉄道廃線跡を歩く
著者 : 宮脇 俊三
出版社 : JTB
出版年 : 

---感想---
はやりの鉄道廃線紀行ものである。1998.03.07現在、3巻まで刊行されている。廃線跡の現役の頃の写真、廃線された後の現在の写真を中心に構成しており、明治の時代から現代までの、鉄道の盛衰の模様を窺い知る事が出来る。なお、実際に供用された路線のみではなく、工事途中で計画が見直され、結局供用まで至らなかった未成線も収録されている。

読んでいると、「あ、ここ知っている。」というところが結構出てくる。近いところでは筑波鉄道、遠いところでは青森県の大間鉄道(未成線)などがある。大間鉄道などは、下北半島の先に建設されており、近くを通ったときは「何でこんなところに鉄道が?」と思ったりした。また、御殿場線などは、建設当時は東海道本線として供用を開始されたが、その後に現在の東海道本線が建設されると御殿場線(格下げ)になり、複線であったものが単線に縮小された等、鉄道の歴史にも詳しくなってしまう。

山手線の東京案内 鉄道と地図のフォークロア/木本 淳 著

1998-03-01 | エッセイ
タイトル : 山手線の東京案内 鉄道と地図のフォークロア
著者 : 木本 淳
出版社 : 批評社
出版年 : 

---感想---
山手線・中央線(東京~新宿)に関する沿革や、地図での読み方に関する著書である。”SERIES地図を読む2”と表紙に書いてあるので、地図を読むと言う意味合いのほうが強いかもしれない。また、シリーズ”2”とも書いてあるので、他にシリーズ”1”が有るのだろう。

近年、廃線された鉄道跡(信越本線の碓氷峠も、もう、廃線跡なんですねぇ。しみじみ・・・。)の紀行文や、紀行そのものが流行っているが、本書はその延長に有るもののようにも感じられる。取り上げられている線区が山手線・中央線(東京~新宿)なので、日頃よく利用している線区でもあり、紀行文的な意味合いは強く感じられないが、山手線・中央線(東京~新宿)にも歴史ありと感じさせられた。

読むクスリ/上前 淳一郎 著

1998-03-01 | エッセイ
タイトル : 読むクスリ
著者 : 上前 淳一郎
出版社 : 文藝春秋
出版年 : 

---感想---
現在(1998.03.01)28巻まで刊行され、現在も継続中。文庫化もされているので、こちらの方が有名だろう。「読むクスリ」の”クスリ”と言うのは、文字どおり”薬”と言う意味も有るが、著者いわく「”くすりっ”とほのぼのと笑えるような(エピソード)」という意味もあるそうである。実際、各エピソードは短いものだが、随所に”くすりっ”と笑える部分がちりばめられている。

現在28冊目だが、著者のエピソード収集能力には驚かされる。元々は、新聞記者をしていたらしく、取材にはそのコネも有るだろうが、常日頃の情報収集をかかさない姿が想像される。(情報収集だけでもすごいっ!と私は思う。)

人・ひんと・ヒット/上前 淳一郎 著

1998-02-22 | エッセイ
タイトル : 人・ひんと・ヒット(Ⅰ&Ⅱ)
著者 : 上前 淳一郎
出版社 : 文藝春秋
出版年 : 

---感想---
「読むクスリ」でおなじみの著者のベストセラー商品誕生までのエピソードを綴ったエピソード集。1冊に10程度のエピソードが収録されている。第1集と第2集があるが、両方とも読んでみた。「ベストセラー商品誕生までのエピソード」というと、ビジネス書のような高井感じを受けるかもしれないが、「読むクスリ」のような、読みやすい文章で綴ってある。また、収録されている商品も、何処かで聞いた事のある商品で、これも読みやすい要因の一つだろう。

この本自体は、昭和(!)61、62年頃に出版されており、収録されている商品自体に新しいところはまったく無いのだが、一つのベストセラーと言われるものを作り出すこと事態は、時代に依らずに参考に出来るのではないだろうか?

病院はいつもパラダイス/小林 光恵 著

1998-02-12 | エッセイ
タイトル : 病院はいつもパラダイス
著者 : 小林 光恵
出版社 : 幻冬舎(幻冬舎文庫)
出版年 : 1998年

---感想---
漫画「おたんこナース」の原案者の、自身の看護婦時代のエピソードを綴ったエッセー。白衣いっぱいにさまざまな物品を持ちいれて歩いた挙げ句、太股に注射針を刺したエピソードや、太宰治に似た入院患者に心ときめく話など(小林さんは、太宰の大ファンだそうです)、「おたんこナース」に掲載されているエピソードが記されている。(という事は、本人の体験だったようである。)

最近よく読むエッセーは、医師や学者等が記したものが多い。前に記した三谷幸喜氏のは、どちらかというと例外。本職の文筆業(本を売って、印税収入があるので、十分本職とも言えるが)ではない人の文章ではあるが、それらの人の本職が理系的職業であるせいか論理的文章(?)で、単なる文学的な作品より理解しやすく、私には肌が合うようです。