勝手に書評

私が読んだ本の書評を勝手に行います。

天空への回廊 / 笹本稜平

2010-11-13 | 小説
タイトル : 天空への回廊
著者 : 笹本 稜平
出版社 : 光文社文庫
出版年: 2005年

---感想---
2002年刊行の本の文庫化。とは言っても、文庫化されたのも2005年なので、結構前ですね。舞台は、エベレスト(チョモランマ)。確かに、“天空への回廊”です。このエベレストの山頂付近にアメリカの軍事衛星が落下し、それの回収作戦が物語りになっています。

いやぁ、中々読ませます。最後の方は、ちょっと冗長になってきた感じもしますが、途中のプロット、仲間なのか、あるいは敵なのかと言う騙しあい。本の帯に夢枕獏氏の言葉として書いてあったんですが、確かに映画化しても面白そうです。でも、エベレストのあの感じを再現するのは難しそうですね。

最初の刊行が2002年と言う事も内容のプロットを考えるのに考慮した方が良いかも。9.11が起きたのは2001年ですが、あれでアメリカの強大な軍事力にも穴が有ると言う事が実証されてしまい、また、世界的なテロも小説の中の話ではないということも明らかになりました。強大な部隊がいるアメリカが脇役になっていたり、人工衛星の奪取を企むのが謎のテロ組織だったりと、9.11の影響を感じました。

最初の刊行から時が経っていますが、まだまだ読ませます。面白いです。

永遠の0 / 百田尚樹

2010-11-03 | 小説
タイトル : 永遠の0
著者 : 百田 尚樹
出版社 : 講談社文庫
出版年: 2010年

---感想---
2006年刊行の本の文庫化。書店のポップで「児玉清絶賛!」と有ったので、読んでみました。

これまでの、特攻モノの小説はたくさんありましたが、それらとはひと味違いますね。戦後60年を経過して、見知らぬ祖父の過去を探していくという話なのですが、その探索の中で語られる祖父像は、必ずしもカッコの良い祖父ではありません。それがまた、心の琴線に触れるんですよね~。

終戦が近くなり、それと共に祖父の姿が変わっていく描写と、最後の最後に、自身も特攻隊員として戦地に赴いて、そのまま・・・となるわけですが、そこに到るまでの過程も、物語としては中々泣かせます。ただ、その後の展開は、ちょっと微妙。まぁ、話を作る上では必要なのかも知れませんが、そこの一点だけは「ちょっと作りすぎ」と思ってしまいました。

何れにしても、とにかく、泣けます!

会社への通勤時とか、主に電車で移動するときに読んでいたんですが、本当に泣きそうになって、かなりヤバかったです。