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映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

ハンナ・アーレント

2014-02-18 | 2015以前の映画評


「ハンナ・アーレント」 マルガレーテ フォン トロッタ監督 独仏ルクセ ××××

 ユダヤ人の哲学者ハンナがナチスの戦犯アイヒマンの裁判をレポートし、その内容にユダヤ人社会から厳しい避難を受けたのでした。実話に基づいた映画化です。
 理解ある夫や友人たちに囲まれ順調な研究生活をしていたハンナ(バルバラ スコヴァ)ですが、アイヒマンの裁判傍聴レポートは「アイヒマンは何も考えていない、命令のままに虐殺をしていた小役人にすぎない。」と論評します。その主張は、「根源的な悪」ではなく「悪の凡庸さ」という言葉に置き換えられ、「思考すること」の必要性を訴えるのでした。ところが生涯の友と思っていた人や大学からも批判を受けハンナは孤立しますが、信念は決して曲げないのでした。
 ハンナの行動そのものの評価というより、今を生きる人々にも多くの「思考のきっかけ」を与えてくれたことが大ヒットの理由だと思います。世間に迎合した記事を書かず、脅されたり孤立したりしても主張を曲げない生き方はなかなかできることではありません。社会の様々な問題と闘っている人々に勇気を与えているのかもしれません。もし、ハンナと同じことを男性の学者が主張したらどうなっていたのでしょうね。
 タバコは、60年代とはいえほとんどの場面でタバコを吸っているモクモク作品でした。(××)夫や友人も喫煙し(×)、夫は脳動脈破裂で倒れますがそれでもなんとか生還します。しかしながら退院後もまだ喫煙を止めませんでした。(×)唯一アメリカ人の友人ふたりがドイツ人たちが喫煙するテーブルからはなれ「煙ったいわよね。」と言った一言だけが救いでした。なお、ハンナは心臓発作により69歳でこの世を去りました。
 ハンナの分析を「タバコ問題」に置き換えると、「根源的な悪は、財務省とタバコ会社幹部そしてタバコ族議員たち」そして「凡庸な悪は、騙されていることに気づかずタバコの有害物質を振りまいている喫煙者たち」ということでしょうか。 


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