折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

古都 秋風のたより  By空俱楽部

2018-09-29 | 大和路点描

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

朝の空、そして、ふと思い出したように、時折り揺れるコスモス。

彼岸の奈良から、ここちよい秋風を感じた風景をおすそわけ。


般若寺にて Sony α99  Planar 50㎜ (f/5 , 1/3200sec , ISO100) 

 

行き先にとらわれず、また、できるだけ身軽に歩きたいと、

お気に入りのPlanarを一本だけ持って出かけた奈良。

後から思ったことだが...

いい季節ではあるが、花が咲き誇るには少し早い。

つまり9月は、秋とは言えまだまだ中途半端な季節。

ここ般若寺の境内に咲き誇る色とりどりのコスモスを期待したのだが、

ちらほら咲きの状態はさらに例年よりも遅く、それは長雨の影響もあるのだとか。

しかし、もともと目的があるわけでもない奈良歩き。

それはそれとして、

澄んだ空に伸びるコスモスの可憐さ、

そして、垣間見る躍動感に満足した次第だ。


 

秋風を感じる頃になると無性に聴きたくなるのが

このひとの歌声。 


  Art Garfunkel - Scissors Cut

 

 

 

 

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夜のオブジェ

2018-09-22 | 抒情的金沢

夜の8時を少し回った頃だったと思う。

その日は、本多の森で、あるコンサートを楽しんだのだが、

その余韻と、どこからともなく漂ってくる金木犀の香りに誘われて、

ようやく吹き始めた秋風の中、少し歩いてみることにした。

そして、兼六園横の広坂を下り終えたところ、

夜の暗がりの中に浮かび上がったのがこの風景だった。


Sony α99  Planar F1.4/50㎜ (f/3.2 , 1/60sec , ISO1000) 

 

新幹線開業以来、21世紀美術館の来場者は毎年200万人を超えているのだとか。

この数字、数ある全国の美術館に比べて、多いのか少ないのか、正直なところわからないが、

石川県の人口が100万であることを思うと、多い少ないは別の話として、

ともかくも県民数の倍を超える人が、金沢市内の一美術館に訪れたことは驚きである。

さて、ガラス張りの美術館、日中は人で溢れているのだが、

この時間ともなると、さすがに閑散としている。

もちろん、有料の展示ゾーンはすでに閉鎖されているが、

一部通路はまだ開放されていて、市街地への近道として利用する市民も多い。

それで、館内はまだ煌々と明かりがついているのだが、

その建物としての機能性はさておき、夜の闇をひときわ明るく照らす円形のフォルムを眺めながら、

美術館そのものが巨大な光のオブジェではなかろうか、と感じたのだった。

 


この光景に立ち止った時、ふと、頭をよぎった曲が...


青い影 プロコル・ハルム (A Whiter Shade Of Pale  -  Procol Harum)

洋楽を聴きだした頃の名曲。

その美しいメロディはいまだに色褪せない。

 

 

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「ラストシーン」の情景  By空倶楽部

2018-09-19 | 折にふれて

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

9月もすでに後半。

それにもかかわらず、高く抜けるような青空にはなかなか出会うことができないこの秋。

したがって、夏の終わりに撮りだめした空が依然として続く。

ということで...、

困った時の空撮り基地、北陸自動車道、徳光パーキングエリアの歩道橋から、

少しだけ秋の気配を感じた夕空を。


Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (f/5.6,1/60sec,ISO400)   

さて、これまでも何度かこの風景を紹介している。

大きく開けた海沿いのハイウェイ・パーキングに、四季折々の空を写し込んでいるのだが、

それというのも、どこか海外を思わせる(勝手にそう思っているのだが)風景に惹かれるからだ。

また、折々の風景には、

必ず、なにか音楽とそれにまつわる情景を感じていて、

それはハイウェイを連想させるもの、

たとえて言うなら、「アメリカ」が歌うカリフォルニアのベンチュラ・ハイウェイであり、

サイモンとガーファンクルの「アメリカ」に出てくる横断ハイウェイだったりもした。

そして、今回かさねた情景は、アメリカン・ニューシネマの名作「真夜中のカーボーイ」のラストシーン。

そこに流れるフロリダへの道と風景、そして主題歌の「うわさの男」だった。 

そのシーン。

テキサスから一攫千金を狙いニューヨークへやって来たカウボーイのジョー(ジョン・ボイド)、

そして、ジョーから金をだまし取った詐欺師のリコ(ダスティン・ホフマン)。

最初は反目していたふたりだったが、次第にその間には不思議な友情が芽生えていった。

ニューヨークで奮闘するふたりだったが、やがて、夢が潰え、長距離バスで新天地フロリダを目指すことになる。

しかし、その時すでに、リコは不治の病に冒されていて、

フロリダを見ることなく、バスの中で息を引き取ってしまう。

そんな切ないラストシーンに流れたのがニルソンの「うわさの男」だった。


Harry Nilsson - Everybody's Talkin' (1969)

なんともやるせない結末ながら、

この爽やかで呑気とも思える曲が、

ふさいだ気持ちを救ってくれたことを覚えている。 

 

 

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オーシャン・ブールヴァード

2018-09-16 | 日常の中に

その光景が目の前に広がった時、

ふと、'Boulevard'(ブールヴァード)という言葉が頭をよぎっていた。


RICOH GR DIGITAL Ⅲ   f/5,1/870sec,ISO-64 

 

その日の仕事先は東京ビッグサイト。

展示会などで訪れることが多く、ふだんは「ゆりかもめ」や「りんかい線」を利用するのだが、

その日は東京駅に着いた直後の移動だったので、直通の都営バスで向かうことにした。

所用時間は30分ほど。

東京駅から丸の内のオフィス街を抜け、晴海通りに入る。

有楽町、銀座、築地と古くからの街を抜け、

隅田川を渡ると、今度は晴海、豊洲など新しい街が広がる。

その後、バスはオリンピック・パラリンピックに向けた整備が進む通りを走り、やがて終着の東京ビッグサイトに至る。

ちょっとした観光気分を楽しんだわけだが、

バスがビッグサイトに入る直前に目に入ったのがこの光景だ。

海外のリゾート地を思わせる佇まいに惹きつけられ、

その瞬間、浮かんだ言葉がブールヴァードだった。

もともとは「街路樹がある広い通り 」のことらしいが、

その言葉を知るきっかけになったのがこの音楽、

そして、アルバムジャケットの写真がこの光景にかぶったのだ。


Eric Clapton - I Shot the Sheriff

もう40年以上も前、薬物中毒が癒えたエリック・クラプトンが長いブランクの末、

見事に復活を遂げたのが、この曲が収録されたアルバム「461 Ocean Boulevard」。

「レゲエ」という音楽スタイルに出会ったはこの時が初めてで、

(当時のアルバム解説には「レガエ」と紹介されていたと思う...)

この曲の作者、ボブ・マーリーのことも当然ながら知らなかった。

また、それまでのブルースに根差した骨太のロックとは

大きくかけ離れたポップな楽曲に最初は戸惑ったのだが、

すぐに、新しいリズムとキレのいいギターの魅力にとりつかれていった。

 

さて、しばらくは I shot the sheriff を口ずさみながら、

この「Boulevard」、そして、最寄りの有明客船ターミナル付近で、

「役得」とばかりに、リゾート気分を楽しんだわけだが、

それも束の間のこと。

ここは「 東京都江東区」と自分に言い聞かせ、仕事に向かった次第である。

 

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Standing at the station  鉄写同好会

2018-09-11 | 鉄道写真

毎月11日は「鉄写同好会」の日。

詳しくは発起人てくっぺさんのブログ「高橋さんの写真記念館」をご覧ください。


当同好会、ずいぶんと「運休」していたが運行再開。

その負い目もあって、奥琵琶湖へ向かうある夏の日、

JR北陸本線、新疋田駅で駅撮りをすることにした。

新疋田駅は敦賀駅からひと駅、福井県と滋賀県にまたがる山岳地帯にある秘境駅だ。

新疋田駅、そして秘境駅については、以前、別の記事で触れたので、興味のある方はこちらを参照いただければ幸い。

  秘境駅の記録 北陸本線 新疋田駅  鉄写真同好会 2016-01.11

さて、「秘境」にもかかわらず、一日あたり上下64本もの特急列車がこの駅を通過する。

金沢と関西を結ぶ「サンダーバード」と金沢と中京を結ぶ「しらさぎ」がそれらで、

ダイヤが過密な朝夕などは1時間あたり6本もの特急列車が通過する。

したがって、運行間隔の長いローカル鉄道の中で、新疋田駅はこの上ない撮影ポイントなのだ。

 

上り特急が通過する新疋田駅。


Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (f/6.3,1/1000sec,ISO200)   

敦賀から急坂を上り終えた特急列車は、さらに速度を上げて山岳地帯を貫くトンネルに突入し、

滋賀県側からやって来た下り特急列車もまた、さらに勢いをつけて敦賀へと下っていく。

新疋田駅のプラットホームでは、このように疾走する特急列車を間近で撮影することができる。

北陸本線を走る特急列車を撮ることができる駅は他にもあると思うが、

この駅は無人駅でふだんはホームにほとんど人がいないので、

乗降客への迷惑、また撮るほうとしても人の映りこみを気にかけることが少ない。

また、大きく緩やかなカーブにそってホームが配置されていることも駅撮りに適していると思う。

ただし、だからといって、列車の運行や乗降客に迷惑をかける可能性のある行為は当然ながら厳禁である。

 

さて、下り列車がやってきた。

撮影タイミングは山岳地帯のトンネルを抜けたあとの数秒。


Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (f/6.3,1/640sec,ISO200)   

このあと、列車は一瞬にしてホームに立つ私の真横を疾走していくのだが、

轟音と風圧、その迫力はちょっとした恐怖を感じるほどすさまじい。

それほどの迫力、なんとか写真に繋ぎこみたいところだが、

どう撮ったらそれが伝わるか、実はまったくわかっていない。

どなたか鉄道写真に精通した方、ご教授いただければうれしい限りだ。 

それはそれとして、せっかくの「秘境」、

紅葉、雪など季節を絡めた列車を撮れるのではと、

あらためて、思いを新たにした次第である。

 


折にふれての選曲は 「Standing at the station」。

新疋田駅で駅撮りをするたびに思い出す曲で、

1960年代、ロック黎明期にイギリスで結成されたテン・イヤーズ・アフター後期の作品。

Ten Years After "Standing at the station"

超絶ギタリスト、アルヴィン・リー率いるバンドで、

ブルースをルーツとした重いサウンドは、

同時代のクリームや初期のレッド・ツェッペリンをも凌駕する迫力があった。

 

 

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秋色 terrace By空倶楽部

2018-09-09 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

残暑きびしい8月中旬、

その暑さの中に隠れてやってくる「秋」を見破ってやろうと出かけた奥琵琶湖でのひとコマ。


Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (f/5.6,1/1800sec,ISO100)   

気候的にはまだまだ夏。

それでも、テラス席から眺める琵琶湖に、淡くやさしく映りこむ空、

そして、波とともに湖面をわたってくるやわらかい風に、

秋も近いと感じた瞬間だった。


折にふれて...というか、記事とはまったく関係はないのだが...。

先月、アレサ・フランクリンが亡くなった。

アレサといえば、ひとつ鮮やかな記憶があって、

それは、もう何年も前の全米オープンテニス会場でのこと。

開会式だったか、決勝の前のセレモニーだったか、その記憶はあいまいだが

ともかくも、彼女が無伴奏で熱唱したアメリカ国歌を背筋がゾクゾクした感覚とともに鮮明に覚えている。

おそらくは、あの時、会場にいた誰もが自分以上の感動で彼女の歌を聴いていたに違いない。

アメリカを代表する、いや世界を代表する歌手。その訃報が残念でならない。


Aretha Franklin (You Make Me Feel Like) A Natural Woman - Kennedy Center Honors 2015

さて、この映像、2015年にケネディセンター名誉賞を受賞したキャロル・キングのトリビュートの一幕で、

登場したアレサ・フランクリンが歌うのはキャロル・キングの名曲「ナチュラル・ウーマン」だ。

その熱唱に子供のように喜んで、感動と興奮を抑えきれないキャロル・キング。

そして、目元をぬぐうバラク・オバマ。さらには総立ちの観客たち。

アメリカでもっとも愛された歌手のひとり、アレサ・フランクリン晩年の名演として、これもまた記憶に残るものだ。

 

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風の乙女たち

2018-09-05 | 若狭 越前 越中

越中八尾、おわら風の盆。

その起源、元禄とも記されているとのことだが、

立春から二百十日、収穫を控えたこの頃に吹く強い風を鎮めるために、

三日三晩、人々が八尾の街を踊り歩いたのがその始まりだという。

胡弓に三味線、その哀愁を帯びた音色に合わせて未婚の男女が織りなす恋の踊り。

その情緒こそ、わずか三日ばかりの祭りに、

富山市の山あいに位置する小さな町へと、全国から25万人もの人が押し寄せる理由でもある。

拙い写真ではあるが、その祭りの雰囲気を少しでも感じていただけたなら幸いだ。

 

 

 

 

ところで、彼女たち。

その妖艶さの一方で...。

大きな髪飾りにうかがえる今風の感覚。

そして...。 

出番を待つ間、膝を抱えて座るその姿。

大人の女性を演じきる踊りの合間に、なんとも言えない愛らしさ、さらにはあどけなさを感じた次第である。

 

さて、風の盆が明けた日。

台風が久しぶりに北陸を駆け抜けた。

大型の台風が北陸を直撃するのは25年ぶりとかで、ずいぶんと警戒したものだが、

結果的には、一部の地域で停電などの支障はあったものの、

人災など大きな災害とはならなかったようだ。

今朝のこと。

台風一過の青空を眺めながら、

「これも彼女たちのお陰かな」

ふと、そんなことを思ったりもした。


 

 
 America - Sister Golden Hair

 

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