折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

冬が空から... By空倶楽部

2018-11-29 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

その日の金沢は、この時期にしては珍しく、

朝から雲ひとつない空が広がった。

季節が逆戻りしたような暖かい日だったが、

それでも、公園の芝生一面を覆う落葉は晩秋ならではのもの。

そんな陽気の中、残りわずかな秋を楽しむ散歩を始めたのだが、

その途中、ふと、ある光景が気になって足を止めた。

 

青空を突き上げるような高木の、

枝先の葉はすっかり落ちているのに、

対照的に、枝元には紅く染まった葉がふんだんに残っている。

規則的とも思える光景に、ふと立ち止って、そのわけを考えてみたのだが、

おそらくは、揺れ幅が大きい枝先から、葉が落ちていったのではないだろうか、と思い当った。

だが、そんな詮索はともかく、その光景は秋と冬がせめぎ合っていると見えなくもない。

枝元の紅葉は晩秋の名残り。

そこへ、枝先を伝うように冬が忍び寄っている。

「冬が空から降りてきている」

そんな光景に思えたのだった。


 

なんとなくの選曲は元祖ブルーアイド・ソウルの名曲。


Righteous Brothers - Unchained Melody

映画「ゴースト ニューヨークの幻」の主題歌としての

リバイバルヒットが記憶に新しいと思っていたが、

それも、すでに28年前のことらしい。

自分にとって、「アンチェインド・メロディ」をオールディーズの名曲として、

心に刻んだのは高校3年生の時だった。

受験勉強の真っ最中に、よく息抜きで聴いたものだが、

あらためて調べてみると、最初にリリースされたのが1955年。

なんと、私が生まれる前だった。

これはもうスタンダード、名曲の由縁である。

 

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兼六園 紅葉の風景

2018-11-23 | 抒情的金沢

金沢の紅葉といえば兼六園。

と、誰もがそう思う。

けれど、すでに11月も終盤。

出遅れ感もあって、出かけることが、多少おっくうにもなっていたのだが、

そこは「年中行事」だからと、気をとり直し、兼六園へ向かったのだった。

一方で、水を差すようで、関係筋からお叱りを受けそうだが、

実は、兼六園はそれほど紅葉の名所でもない、とも思っている。 

というのも、常緑の松が多いせいか、

京都の紅葉のように、見渡す限り、真紅の絶景とはならないからである。

それで、これまではどこで撮ったかもわからないような紅葉で「お茶を濁して」いたし、

この日にしても、そんな程度の思いしか持たず、兼六園へとやって来たわけだ。

ところが、である。

霞ヶ池を周回する道の途中で、なにげなく目に入った光景に、ふと足が止まった。


Sony α99  Planar 50㎜ (f/5.6 , 1/320sec , ISO100)   

 

霞ヶ池越しに眺める唐崎松(からさきのまつ)の雪吊りとそれを垣間見せるように張り出した紅葉。

唐崎松は樹高があるので、実際にはその高さに覆いかぶさる紅葉はない。

つまりは、間近の紅葉越しに、遠くの唐崎松を眺めたわけで、遠近の取り合わせがとても新鮮な景色として映ったのだ。

唐崎松は兼六園でも人気の景観で、さらにそこに、雪吊りが施されたとあれば、

この松が見える場所はどこも、カメラやスマホを構えた人でいっぱいだ。

にもかかわらず、足を止めたその場所に限っては、

通り過ぎる人はいても、立ち止まって写真を撮る人はほとんどいない。 

そこは、うっそうと木々が茂り、言ってみれば裏通り。

立ったままでは、張り出したいくつもの枝がジャマして唐崎松は見えないから、

その場所で屈み、ローアングルで眺めることで、この景色に出会えたのだ。

おおげさだが、「自分だけの紅葉スポットを見つけた」と、ほくそ笑んだ次第である。

さて...。

四季折々に兼六園を歩いてはいるものの、ひと通り回ったら、さっさと引き上げてしまうことが多かった。

しかし、兼六園には、それぞれの季節が見せる「隠れた名所」がまだまだあって、

そんな場所を探し当てるのも悪くない、と思った。

今回の紅葉のように、少し屈んだだけで、これまで見たものとは違う景色が広がったわけだから。

さらに、こう思ったりもした。

そもそも、兼六園の名は 六つの景観を兼ね備えていることに由来する。

そして、命名からは、すでに二百年以上も経ったのだから、

そろそろ、ひとつやふたつ、その景観の数が増えてもよいだろう、と。

 


 

今日の金沢は時雨模様。

気温も10℃に届くか届かないかで、これからは、こんな日が多くなる。 

ということで、せめて音楽だけでも明るく。


Frank Sinatra  -  On The Sunny Side Of The Street  

 

 

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神が宿る島  By空倶楽部

2018-11-19 | 空倶楽部

 「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


日本海にぽつねんと突き出た小島。

そして、岸辺と結ぶ赤い橋はその島の尊さの象徴。

雄島は神が宿る島なのだ。

 
Sony α99  Planar 50㎜ (f/5.6 , 1/1600sec , ISO100)   

 

その日の昼下がり。

海を覆うように広がった空と雲の表情に、

まるで、雄島がそうさせたかのような神々しさを感じたのだった。


 

晩秋、もしくは初冬の穏やかな週末。

無造作に音楽機材が置かれた部屋には、やわらかな陽が深く入り込んでいる。

そこで、気負いなく、それでなお、ひとつひとつの音を丁寧に奏でるかのように繰り広げられるセッション。


Sting - Fields Of Gold

何度も何度も、繰り返し見入った、極上の音楽と映像。

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余呉に朝霧が降る

2018-11-17 | 日常の中に

「今年の秋はどこへ行ったのか...」

もちろん、個人的な感覚で、秋は確実に深まっている。

それにもかかわらず、そうぼやくのは...。

このところ、週末になると、何かと用事が入ったり、

用事がなかったとしても、必ずと言っていいほど雨が降る。

つまりは、週末限定の俄か素人カメラマンとっては、「悩ましい秋」というグチである。

それで、秋写真もついには枯渇、過去写真でとりあえずの更新。

 

 
Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (f/5.6,1/80sec,ISO200)  

 

昨年の11月。朝霧が降る余呉湖。

この後、陽が高くなるにつれて、次第に霧が晴れ、

対岸に現れた紅葉の見事さに、目を奪われたことをはっきりと覚えている。

  


 秋の夜長に、ふと、聴き入ったジョーン・バエズの澄んだ声。


Joan Baez - Diamonds & Rust

 

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Day Dream   鉄写同好会

2018-11-11 | 鉄道写真

毎月11日は「鉄写同好会」の日。

詳しくは発起人てくっぺさんのブログ「高橋さんの写真記念館」をご覧ください。


最近、東京への出張となると、ほとんどの場合は新幹線を利用する。

ところがこの日は、どうしても飛行機で帰る必要があって、浜松町へ。

フライト時間まで余裕があったので、すぐにモノレールに乗り換えることはせず、

貿易センタービルのテラスへ出てみることにした。

以前、飛行機をひんぱんに使っていたときは、

出張を終えたひととき、時間調整をかねて、よくここへ来たものだが、

おそらくは最後に訪れてから1年以上は経っていると思う。

つまり、ずいぶんと久しぶりに、都会の風景を楽しむ機会となったわけだ。

さて、どんな都会を楽しむことができるか。

まずは、ビルの谷間越しに東京タワーを間近に望むことができる。

そして、振り返れば、汐留の高層ビル群がそそり立つ。

さらに、その谷間に目を移して、頻繁に行き交う列車を眺めるのも楽しみのひとつである。

山手線に京浜東北線、東海道線を走る様々な列車に、圧巻は東海道新幹線のぞみ系車両。

おまけに鉄路をまたぐように、時折り、ゆりかもめも見える。

まさにここは、鉄道車両を眺めるに絶好の場所なのだ。

複数の路線が、しかも上下線で走る。

いわば、「開かずの場所」なのだが...。

 

 
RICOH GR DIGITAL Ⅲ   f/5.6,1/32sec,ISO-64  

 

ふと...。

その開かないはずの鉄路をひとり(?)京浜東北線の車体が走り抜けていく。

その日の東京はずっと厚い雲に覆われ、

空はもちろん、街にも目立った色彩を感じなかったせいか、

なんとなくもの悲しい街を、車体の青いラインが、鮮やかに流れていったのが印象的だった。

その印象を再現してみたわけだが...、

それは、たとえて言うなら、白昼夢のような光景。

そう感じていただけたなら幸いだ。


白昼夢とデジャヴはいっしょかな…?!

なんて考えながら、折にふれての選曲。


Déjà Vu   Crosby, Stills, Nash & Young

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孤独の旅路   By空倶楽部

2018-11-09 | 折にふれて

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

 

その夕景を眺めながら、ふと、遠い昔に覚えた歌の一節を思い出していた。


Sony α99  F2.8G/70-200㎜ (f/5,1/320sec , ISO100) 

   I crossed the ocean for a heart of gold     

      金の心を探し求めて、海を渡ったこともある...

 

1960年代後半のアメリカ・ロックシーンに登場し、

ウェストコーストを拠点に活躍したシンガー・ソングライターのニール・ヤング。

独特の甘い声とは裏腹に、

政治や社会通念を痛烈に批判する彼の歌は、

当時の若者、それもアメリカだけではなく、

日本においても、根強い支持を受けたことをよく覚えている。

そのニールヤングの代表作「Heart of gold」を、

金色に輝く海を眺めながら思い出したのだった。

 

当時のアメリカは、それまでの豊かな成長に陰りが見え始め、

さらに追い打ちをかけるように、ベトナム戦争の泥沼化や過激な人種差別など、

内外に深刻な問題を抱えていた。

その世相は当時の文化、芸術といった分野にも影を落としていて、

そのひとつの現れがアメリカン・ニュー・シネマだったと思う。

「イージー・ライダー」や「ディア・ハンター、」そして「明日に向かって撃て」など、

絶望ともいえるエンディングは、当時のアメリカ社会の喪失感を代弁していたように感じたものだ。

そして、その傾向は、音楽の分野においても顕著で、

「Heart of gold」もそのひとつだった。

自身を「鉱夫」に例え、「金の心」を探す旅に出る・・・

そんな歌詞の背景として、ニール・ヤングが思い描いたのはゴールド・ラッシュだったに違いない。

19世紀にカリフォルニアで起こった金脈探し。

一攫千金を夢見てやって来た人で街は大いに栄えた。

しかし、その多くは、やがて夢破れ、結果として残されたのはゴーストタウンだったという話。

ニール・ヤングは当時の世相をゴールドラッシュの逸話に例えることで、

「金の心を探す旅など徒労でしかない」と風刺したのだろう。

また、「Heart of gold」には「孤独の旅路」という邦題がつけられている。

「金の心」とは徒労であり、また喪失感を暗示したもの。

すなわち、現実には存在しないものを探し求める空しさや寂しさを表わしていると理解するなら、

「孤独の旅路」という邦題は「言い得て妙」だと思えるのである。

 

さて、写真の光景に話を戻す。

「こんな色に染まるのか!」と感動するほど、この日の夕景は美しかった。

だが、それ以上に印象に残ったのが、渚に打ち捨てられた舟の存在感だった。

朽ちかけた舟ながら、夕映えに照らされた海に向かって、

今にも漕ぎ出すかのような生気を感じたのだ。

日没前の一瞬の、海に映る陽の輝きが、

まるで、舟の行く末を指し示したように見えたから、そう思ったのかもしれない。

しかし一方では、その光景が、ニール・ヤングが歌う、ありもしない「旅路」のようにも思えたのだ。

 


Neil Young - Heart Of Gold


「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで

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深まる秋、幸せの瞬間

2018-11-04 | 日常の中に

11月3日、文化の日。

せっかくの祝日も、今年は土曜日と重なり、ちょっと損したような気分。

それでも、ここのところ、何週も続いた週末の悪天候を思うと、

その悪循環を断ち切るような秋晴れは、

サラリーマンの下世話な休日勘定など帳消しにして余りある。

それで、このさわやかな休日を無駄にしてなるものかと、

意気揚々と朝の散歩に出かけたのだった。

 

かのんの散歩も兼ねて、向かった先は小松市にある木場潟公園。

自宅からは少し遠出となるが、時間はたっぷりある。

そこには、木場潟と周囲約6キロの遊歩道、さらには所どころに園地もあって、

小松市民のみならず遠方からも多くのひとが憩いを求めてやってくる。

そして...。

園地のひとつの駐車場に車を停めて、公園に入ったとたん、

目に飛び込んできたのがこの光景だった。


Sony α99  Planar 50㎜ (f/3.2 , 1/2000sec , ISO100)  

 

11月に入ると、次第に紅葉は平地へと降りてくるが、

まだ、このあたりの風景は青々とした樹木に覆われている。

ところが、その一画に、周囲とはあきらかに異なる、ひときわ紅葉が進んだ木々があったのだ。

快晴の空と、その色を映す湖面穏やかな木場潟と、

淡いブルーを背景に鮮やかな紅葉がまぶしい。

この時期、ありふれた光景には違いない。

それでも、その瞬間に実感した秋の深まりを日の丸構図でストレートにお届け。

すばらしい季節の到来にわずかばかりの幸せを感じた次第だ。


折にふれての選曲。

というか、居合わせた状況そのまんまの曲タイトル。


Saturday in the Park- Chicago

 

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