折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

東京駅という風景

2018-04-30 | 語りかける街

急な仕事で東京へ日帰り出張することになった。

とはいえ、予定は午前中のみ。

せっかくのゴールデンウィーク、それならすこしは休日気分をと、やってきたのがこの場所。 

 
RICOH GR DIGITAL Ⅲ   f/4.5,1/400sec,ISO-64 


東京駅丸の内広場の整備が完成したと聞いていたので、

皇居から東京駅へと続く行幸通りの景観と

ひろく開けた正面からすっきりとした東京駅を眺めてみたかったのだ。

さて...。

東京駅を眺めていてふと思ったことがあって、それは「駅舎という風景」についてである。

東京駅はともかく、上野駅や新宿駅などJR主要駅の駅舎の姿を思い浮かべることができない。

首都圏だけではない。大阪駅や京都駅など全国有数の駅でも、風景としてイメージできる駅舎は少ない。

それぞれの駅に特長が無いわけではない。

たとえば大阪駅なら時空の広場を頂点としてホームを覆う大屋根を思いだすし、

京都駅であれば階段状に配置された開放的なフロアを思い浮かべることができる。

しかし、外観というか駅舎全体のイメージが薄く、ホテルやテナントゾーンが併設する複合ビルの印象しか浮かんでこないのだ。

いつだったか、金沢駅が「世界で最も美しい駅」に国内で唯一選ばれたと聞いた。

(選考基準がはっきりせず、東京駅がなぜ選ばれていないかという疑問もあるが...)

確かに「鼓門」とそれにつづく「もてなしドーム」による景観は特長的ではあるが、

これくらいのユニークさを持った駅はほかにもたくさんあると思う。

おそらくは、だが...。

この受賞、駅の価値を規模や機能ではなく、駅舎そのものを風景として評価したのではないだろうか。

ただ、いまだに金沢駅がなぜ選ばれたかには疑問が残るが、それでも金沢人にとってはめでたし。

とりとめのない話となったが...。

初夏のような陽気と空の下、東京駅という風景がたまらなく美しく印象的に思えた瞬間だった。


 

あかるい陽ざしの中でふと思い出したなつかしい曲。

青春の光と影  ジュディ・コリンズ


Judy Collins - Both Sides Now  

 

 

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奥琵琶湖、もうひとつの桜シーズン

2018-04-22 | 近江憧憬

奥琵琶湖の桜というと

海津大崎の桜並木が有名で...(と書きだしたもののまだ見たことがない)

シーズンには週末、平日を問わずたくさんの人が訪れるという。

その桜シーズンもすでに終わってしまって

奥琵琶湖も今はもとの静けさに戻っているのだが、

実は人知れず、まだ桜の見ごろは続いている。


Sony α99  Planar 50㎜(f/5.6,1/250sec,ISO100) 


葛籠尾(つづらお)崎のとある集落とだけ記しておくが、

その琵琶湖のほとりの静かな人里に群生する八重桜が見ごろを向かえているのだ。

これも琵琶湖の魅力、だから琵琶湖通いはやめられない。


 

なんとなくの選曲...映画「慕情」より


Matt Monro - Love is a many splendored thing  

 

 

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「黄昏」とモネの記憶

2018-04-20 | 折にふれて

福井県立美術館で開催されている特別企画展を鑑賞してきた。

入館時に手渡されたリーフには「ターナーからモネへ」とあった。

19世紀初頭、イギリス「ロマン主義」の巨匠ターナーの作品を起点とした流れが、

様々な画家の手により変遷を繰り返し、やがては国を越え、フランス「印象派」へと受け継がれたという。

その100年の時をウェールズ国立美術館所蔵の数々の作品群から紹介するというもので、

その切り口、そしてたくさんの展示作品とも大いに見ごたえがあって、

正直なところ、「地方の美術館でここまでやるか」と感心するほどの企画だった。

数ある展示作品の中で、ひときわ観客の目を惹いていたのが、

モネの「サン・ジョルジョ・マッジョーレ 黄昏」だったわけだが、

この案内リーフに部分的に使われたところだけでも、その色彩の鮮やかさをご理解いただけると思う。

「モネはひとつの目でしかない。しかしなんという目だろう!」

セザンヌによるモネ評が紹介されていたが

この言葉通り、モネの目による黄昏の色彩を感動をもって鑑賞した次第だ。

 

ところで...。

モネといえば決して忘れることのない思い出がある。

やがて30年も前の夏のこと、仕事で10日ほどロンドンに滞在したのだが、

スケジュールの合間に、ふと日帰りでパリへ出かけることを思いついた。

なぜ、そんなことを思ったのか、はっきりとは覚えていないが、

「せっかくのヨーロッパ、パリならユーロスターで3時間もあれば行ける。」

そんな程度の考えでしかなかったように思う。

とは言え、当初から計画になかったことで、それも初めてのパリ。

しかも、はっきりとした目的もなく日帰り。

まさに若気の至りとしか言いようのない暴挙だった。

ともあれその日の早朝、ターミナル駅のひとつウォータールー始発のユーロスターに乗りこんだ。

しばらくはロンドン郊外の長閑な風景を眺めていたが、

ドーバー海峡に潜り込むあたりから眠ってしまったらしく

あっという間にパリ北駅に着いたという印象が残っている。

まずはエッフェル塔からパリ市街を俯瞰、

これから行こうとする場所にアタリをつけて、

その後、シャンゼリゼ通り、コンコルド広場と体力に任せてパリの街をそぞろ歩いたのだが、

ヨーロッパの夏は涼しいとはいえ、さすがに疲れてどこかで休息を取りたくなった。

そのとき、コンコルド広場の脇で古風な建物を見つけ、

その佇まいから、それが美術館であることがすぐにわかった。

とりあえず、「どこか座れる場所を」とある展示室に入ったのだが、

その瞬間、円形の壁に沿って、ぐるっと室内を取り巻くように飾られた大きな絵画群に圧倒されてしまった。

すべてがモネの睡蓮で、部屋の中央に置かれたソファに座って眺めると

まるで睡蓮の池の中にいるかのようで、

その時の感動となんともここちよい気分を今でも鮮やかに覚えている。

ずっと前に、ヨーロッパのどこかの美術館にモネの「睡蓮の部屋」があると聞いていたが

偶然に入ったこの場所こそ、その美術館、オランジェリーだったというわけだ。

それ以来、絵画といえばモネ、さらに印象派の作品にも興味を持つこととなり、

印象派の作品を収めたあちこちの美術館、さらには企画展へも出かけるようになった。

 

さて、「黄昏」といえば、もうひとつ思い出すシーンがあって、

それがこの写真、4年前の秋に白山市の海岸で出会った風景だ。


Sony α99  Vario-Sonnar 24-70㎜ (f/4,1/60sec,ISO125)  

夕陽が水平線に沈みこむと同時に雲が真っ赤に染まった。

このとき、海岸には何人もの人がいて、

空が染まった瞬間、あちこちで歓声が上がったことを思うと

この風景を眺めて感動したのは私だけではなかったようだ。

モネの記憶をたどりながら、この黄昏の風景を思い出し、そして、ふと思った。

あの夕焼けは、「モネの目」を通したら、いったいどんな色彩になったのだろうか...と。

 


なんとなくの選曲。

「追憶」 バーバラ・ストライザンド 


Barbra Streisand   The way we were

 

 

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未来へつながる風景  鉄写同好会

2018-04-11 | 鉄道写真

毎月11日は「鉄写同好会」の日。

詳しくは発起人てくっぺさんのブログ「高橋さんの写真記念館」をご覧ください。


 

「これが鉄道写真だろうか...?」、そう後ろめたく思いつつも掲載。

3年前に金沢まで開業した北陸新幹線だが、

さらに金沢から福井県敦賀までの延伸工事が急ピッチに進められている。

開業は平成34年度末という微妙な表現だが、

おそらくは、5年後の平成35年の3月にはW7系の車両がこの橋脚の上を走り始めていることだろう。

ところで、...

現在の北陸新幹線、金沢までの全行程の半分以上がトンネルで、

車窓を流れる景色は途切れ途切れで多少興ざめの感もある。

ところが、金沢から福井県境まではさえぎるものなく加賀平野が広がっており、

その広大さは加賀藩の石高、百万石が示すところでもある。

したがって、将来このあたりを走る新幹線の車窓からは

たとえばこの時期であれば水を張り終えた水田越しに

白山連邦など残雪の山々を望むことができるだろうし、

高い橋脚ゆえに、遠く穏やかな日本海を眺めることもできるかもしれない。

そんな未来の風景を想像させる工事が着々と仕上がりつつあるのだ。

ふと...。

新幹線が次々と開通するこの時代に生きていることが

得がたいほど幸運なことなのではと思えてきた。

過去の新幹線の開業日を調べてみると、

東海道新幹線が1964年だからすでに開業から54年、

山陽新幹線が1972年(当初は岡山まで、博多までの延伸は1975年)で、

東北、上越新幹線はともに1982年とのことだから、

北陸新幹線以前の開業からだとすでに36年もの年月が流れている。

つまることろ、新幹線が開業したすべての時代に立ち会うことができて、

さらに今、延伸する北陸新幹線の工事を眺めている。

大げさかもしれないが...、

鉄道史上、ひとつの象徴的な時代を共有できたひとりではないかと感慨深くこの風景を眺めた次第である。


「暴走列車」の異名をとる1970年代のアメリカを代表するロックバンド、グランド・ファンク・レイルロード。

彼らのヒット曲でその名も「アメリカン・バンド」。

後期の作品だったろうか、角がとれて小気味よいロックを聴かせてくれる。 

 
American Band - Grand Funk Railroad

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梅びより  By空倶楽部

2018-04-09 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


空倶楽部、今月のお題は「花と空」。

ということで3月下旬、今年の陽気ならそろそろ桜も咲くかなと思いつつ訪れた兼六園でのこと。

開花宣言直後とあってあちこちでちらほらと咲き始めてはいたが、

その桜もさることながら、色とりどりの花が競うように咲く梅林でふと足が止まった。


Sony α99  Planar 50㎜(f/8,1/320sec,ISO100) 


桜の開花がなにするものぞ...とばかりに、

春の陽ざしを存分に浴びて咲き誇る梅の花。

確かにそのとおり。

春を彩る美しさではけっして桜に遅れをとっていない。

一輪一輪の可憐な姿。

それらがまるで、我先にとばかりに真っ青な空に昇ろうとするかのよう。

そんなけなげとも思える美しさにあらためて見入った次第だ。


数多くのミュージシャンがカヴァーする「Will you still love me tomorrow」

シンプルな演奏にノラ・ジョーンズのしみじみとした歌声は

カントリーという音楽ジャンルからのアプローチならでは。 


Norah Jones ~ Will you still love me tomorrow

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桜前線、捕まえた。

2018-04-02 | 花歳時記

開花宣言から3日経った4月1日。

日曜日、そして朝から雲ひとつない空が広がったとあれば、気になるのが開花状況だ。

この時期の朝刊に掲載されるさくら便りによると、依然として「咲き始め」とのことだったが、

そうはいってもせっかくの休日、桜の様子を確かめに金沢中心部へと出かけた。

 

金沢犀川河畔の桜。


Sony α99  Planar 50㎜(f/5.6,1/800sec,ISO100) 

 

これが「咲き始め」か...すでに満開ではないか。

近くで花見を楽しんでいる方にたずねたところ、

今朝から、「狂ったように咲きだした・・・」とのこと。

毎年、その動きがつかみにくい桜前線。

それに加えて、宮仕えの身では週単位での動きとなり

遅れをとることが多かったのだが...


Sony α99  Planar 50㎜(f/2.8,1/2500sec,ISO100) 

 

今年に限っては、駆け抜ける桜前線をしっかりと捕まえることができたというおめでたい話。

 


桜満開の浮かれた気分をヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのポップな名曲で。


Do You Believe in Love- Huey Lewis & The News  

 

 

 

 

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