折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

余呉憧憬  By空倶楽部

2019-10-29 | 近江憧憬

 「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


朝霧に霞む余呉を見てみたい...。


風景写真ともう少し真剣に向き合えないものかと

いろいろと思いをめぐらした挙句

ふと思い浮かんだのが過去に出会った余呉の風景だった。

余呉には四季折々何度も訪れていて

朝霧の風景に出会ってもいる。

しかし、それは偶然のことであって

もっと意図的に向き合えば、

より感動的な余呉にも出会えるはずだ、と思えてきたのだ。

けれども、よくよく考えてみると

何度も訪れている割には余呉のことをあまり知らない。

車を停めることができる場所の周辺で、安易に写真を撮っているからだ。

それで、その日は余呉湖を歩いて一周。

撮影ポイントを探してみることにした。

いわゆるロケーションハンティングである。

当てがあるわけではない。

冬場に日が昇る方角や時間を想像しながら、

風景の中に置くポイントを探す。

さらには徒歩での移動時間や足場の安全確認など含め、

一周7キロほどの距離を三時間近くかけて歩いてみた。

どんな写真が撮れるか、にわか仕込みのロケハンでは

まだピンとこないことが多かったが、冬場に向けての準備も含め

いろいろと気づきがあったことは収穫だったと思う。

 

 

そして、途中ふと気にとまった風景。

Sony α7R3  FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/5.6,1/160sec,ISO100) 

 

鏡湖とも呼ばれる余呉湖だから、

空の映り込みは当然として、あの緑の映り込みはなんだろう...

その不思議な光景に惹かれつつ、さらにまた。

この光景に朝霧が降りてきて、

そこへ昇ったばかりの陽が差し込んだなら...と

まだ見ぬ風景に思いを馳せながら、

澄み渡る湖面に見入ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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天空のAegis

2019-10-24 | 日常の中に

眼下に広がる雲海に、北アルプスの山々が描く稜線が見えたとき

思わず、「あっ!」と声を上げそうになった。

それまで不思議に思っていたことの

謎が解けたような気がしたからだ。

 

 

 

羽田から小松へと向かう飛行機は

松本上空から北アルプスを横断する。

ふだん空から眺める北アルプスは岩肌や雪原が広がるだけで

山に縁がない私にとって地形を思い浮かべることは難しい。

ところが、その日眺めた雲海に浮かぶ北アルプスの稜線は

地図さながらで、それがまた、まるで龍が天空を泳ぐようにも見えた。

そしてさらに...。

これが北陸を守る不思議な「盾」の正体だったか、と

窓に額を押し付け、食い入るように見続けたのである。

  

石川では白山、そして富山では立山。

ともに霊峰と呼ばれ、この地に住む人は霊峰に守られているという意識が強い。

現に、台風が日本列島を縦断するときなどは

警報ほどの強風が吹かないことが多い。

そして、台風が去った後、金沢人が安どの気持ちとともに

決まって口にする言葉が「やっぱり白山が守ってくれた」である。

 

そんな神がかり的な通説を思い返しつつ眺めた

3000メートル級の山々が織りなす稜線。

この盾のように立ちはだかる北アルプスこそが

「霊峰」そのものではなかったか、と

思わずにはいられなかったのである。

 

 

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ふらり…と、

2019-10-14 | 舌づつみ

 

秋が深まると…、というか、冬が来る前に急ぎ訪れたくなる場所があって 

そこは白山麓の小さな山里にある一軒宿「ふらり」だ。

金沢の中心部から車で一時間ほどの距離。

一時間といっても都会の時間感覚とは程遠く

公共交通機関なら一日わずか数本のバスしかない、というほど辺鄙な場所なのだ。

豪雪地帯で、「人里離れた…」などと書くと、

「近くに民家もあるのだから」と叱られそうだが、

本当のところ、周辺を散策していて人に出会ったことはない。

元々自然派だったというご主人が金沢で料理修行をした後、

家族とともに移住して開業したのが10年前。

ご主人を知る人から開業の話を聞いたときは

「勇気が要ったろうな」と思わなくもなかったが

門外漢の取り越し苦労だった。

たいへんな人気で週末などは予約がなかなか取れないからだ。

 

そんな「ふらり」のこと。

宿といっても、古民家を改装した小さなしつらえなので一日三組で満員。

元々はずいぶんと古い民家だったのだろうけど、

部屋や食事処、浴槽などはしっかりと作りこまれていて

改装とはいえ、ゆったりと居心地のよい空間となっている。

そして、なんといってもその魅力は白山麓の恵みをふんだんに使った食事。

ご主人はしっかりと料理修行をしただけあって

新鮮な食材を絶妙な調理と美しい盛り付けで供してくれる。

そんな繊細な料理の一方で、

イワナの姿焼きや刺身、

白山麓で大きく育ったキノコや

自然の湧き水で作った豆腐など、

ご主人が厳選した自然の食材をただいろりで焼いて供するという

野趣あふれる大胆さにも感激する。

 

 

次々と出される料理に舌づつみを打ちながら、

ふと、「ガストロノミー」という言葉を思い出していた。

美食学と訳されるらしいが、

美味しいことはもちろん、

その土地に内包された歴史や文化を尊重し、

精神としても昇華させた料理を指すのだという。

料理を出すのは奥さんの仕事で、

必ずそれぞれの食材の謂れを話してくれる。

それは、近在でキノコを育てる人のことだったり、

もっと奥まった山里で作られた豆腐のことだったり、

清流に泳ぐイワナや鮎の話だったりもする。

そして、良い料理になるのはすべて湧き水がおいしいからだと付け加える。

そんな謙虚さとご夫婦の人柄に感心しながら思った。

すべてはこの10年が育んだ土地と人とのつながり、

それがふらりのガストロノミーなのだろうと。

 

 

 

 

 

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灯影ゆらゆらと   By空倶楽部

2019-10-09 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで

 


越前海岸へ撮影に出かけた帰り道のこと。

陽が落ちてあたりが薄暗くなった頃、

突然、その景色が目の前を横切ろうとした。 

 Sony α99  F2.8G/70-200㎜ (135mm  f/11,4sec , ISO200)

 

竹田川は三国港の手前で九頭竜川へ合流し、日本海へと注ぐ。

その合流地点近く、流れはせき止められたように緩やかとなる。

その穏やかな川面にいく筋かの灯影が映り込み、ゆらゆらと揺れていた。

 

空倶楽部、今月のお題は「鉄塔のある空」。

薄闇に浮かぶ電波塔の存在感も気にならないわけではなかったが

それよりも川面に揺らぐ灯影に目を奪われ

急ぎ車を停めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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Beam Up !

2019-10-06 | 風の風景 光の風景

秋らしく青く抜けた空を撮りたいのだが

憎らしいことに週末になると台風がやってくる。

とりわけこの秋は、新しく買ったハーフNDフィルターを試したくて

晴れの日を心待ちにしているのだが、その週末も金沢は雨の予報。

しかし、どうしてもあきらめがつかず、

どこか近場で天候が回復するところはないものかと検索したところ、

福井県南部はところにより雲の切れ間もあるとのこと。

それで、その予報に期待を膨らませ、ここ越前岬へとやってきたのだった。

 

 Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (24mm  f/8,1/320sec,ISO100)    

 

 

だが…、というか、やっぱりというか…。

ご覧の通り、広がった空は期待した青空とは遠くかけ離れたものだった。

それでも…である。

ハーフNDフィルターを使うと

空と地上という明暗差が大きい条件でも

空の明るさを抑えてくれるので、

地上の光量を落とすことなく、

雲の表情がより豊かに映ってくれる。

と、実感した次第である。

ともかくも、フィルターの効果を実感できたこと、

また、使い勝手のコツもある程度理解できたことは収穫だった。

 

ところで、その時。

肉眼では気づかなかったことだが…、

ファインダーに映し出される、

雲の切れ間から差し込んでくる一条の光、

それが神々しくもあり、ドラマチックな光景にも思えた。

そして、その光を眺めながら、思わず口を衝いて出た言葉。

それが「Beam Up!」だった。

 

子供のころからSF冒険活劇が大好きで

毎週楽しみにしてたテレビ番組が「宇宙大作戦」だった。

宇宙…。それは人類に残された最後の開拓地である。

オープニングのナレーションが語るように、

宇宙船USSエンタープライズ号が未知の宇宙を開拓するという一話完結のドラマだったが、

現在でも「スタートレック」という原題で劇場版がシリーズ化されているので

カーク船長やドクター・スポックなど主人公の名前とともにご存じの方も多いと思う。

さて、冒険活劇には主人公たちを助ける「切り札」の仕掛けが用意されていることが多い。

宇宙大作戦の場合、そのひとつが「転送装置」で、

人や物体を光に変えて、別の場所へと瞬時に移動させるものだった。

例えば。

ある惑星にカーク船長たちが降り立って調査活動をしていたとする。

そこに天変地異など突然危機が迫る。

その時、隊員たちを間一髪USSエンタープライズ号の船内へと収容するのが転送装置だった。

装置が作動すると、一条の光が地上に照射され

その光とともに隊員たちは船内へ収容される。

そして、装置の作動とともに口々に叫ぶ声が

「転送(Beam Up)!」だった。

その後、隊員たちは無事を喜び合い、めでたくエンディング。

つまり、子供にもわかりやすいストーリーの立役者が転送装置だったわけである。

 

さて、この日の一条の光を眺めながら

Beam Up! と、ノー天気につぶやいたものの…

上達に「切り札」などあるはずもなく

写真にとりつかれた悩ましい旅はエンドレスに続くようである。

 

 

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