前回に引き続いての話。
夕方の撮影では形を整えて沈む夕陽そのものもいいが
夕陽が放つ光が何か別のものに留まろうとする光景にも強く惹かれる。
その光景は予測できず、しかも一瞬のうちに過ぎてしまうことが多い。
偶然に広がる光景であり、また大げさに表現するなら
自分だけが気づいた光景でもある。
そんな「光の痕跡」ともいえる光景に惹かれるようになったのは
この瞬間からだったかもしれない。
滋賀県長浜市 2015年7月11日 18:57 Sony α99 F2.8G/70-200㎜ (135mm f/11/40sec , ISO100)
それまで何度も琵琶湖へ出かけているにもかかわらず、
対岸に沈む夕陽には出会ったことがなかった。
その日は朝から快晴の空が広がり、予報によると終日その空が続くとあった。
ところが、日没間近になって比良山系から張り出した雲が夕陽の行く手を覆い始めた。
好機と思っていただけに気持ちの落差は大きく
「またしてもか」と夕陽をあきらめかけた時だった。
薄い雲からこぼれる陽が静かな湖面を赤く染め始めたのだ。
いきなりのことだったので、どこにピントを合わせるでもなく、
慌ててシャッターを切り始めたのだが、その一枚がこの写真だ。
湖面を染める山吹色の光に魅了されたのだが、
その頃から「光や色そのものが主題になる」と考え始めたように思う。
さて、現在の自分。
夕景の撮影には必ず広角と望遠、ふたつのズームレンズを携行し、
また、昨年からは2台のカメラにそれぞれのレンズを装着して
日没を待つという念の入れようだ。
ところが、準備すればするほど思うような「光の痕跡」は現れてくれない。
まあ、そんな簡単に撮らせてもらえるなら
これほど入れ込む値打ちもないということにもなるのだが。
最近のSUBARUのコマーシャルのバックに流れる歌声。
その声に、今更というかあらためてというか、聴き入っている。
フランク・シナトラだ。
コマーシャルの『My way』はもちろんいいし、
『Fly me to the moon』も『That's Life』もいいが、
この曲を選んでみた。そして、なんといってもこの人はライヴがいい。
Frank Sinatra - Let Me Try Again [Live ]