夜の8時を少し回った頃だったと思う。
その日は、本多の森で、あるコンサートを楽しんだのだが、
その余韻と、どこからともなく漂ってくる金木犀の香りに誘われて、
ようやく吹き始めた秋風の中、少し歩いてみることにした。
そして、兼六園横の広坂を下り終えたところ、
夜の暗がりの中に浮かび上がったのがこの風景だった。
Sony α99 Planar F1.4/50㎜ (f/3.2 , 1/60sec , ISO1000)
新幹線開業以来、21世紀美術館の来場者は毎年200万人を超えているのだとか。
この数字、数ある全国の美術館に比べて、多いのか少ないのか、正直なところわからないが、
石川県の人口が100万であることを思うと、多い少ないは別の話として、
ともかくも県民数の倍を超える人が、金沢市内の一美術館に訪れたことは驚きである。
さて、ガラス張りの美術館、日中は人で溢れているのだが、
この時間ともなると、さすがに閑散としている。
もちろん、有料の展示ゾーンはすでに閉鎖されているが、
一部通路はまだ開放されていて、市街地への近道として利用する市民も多い。
それで、館内はまだ煌々と明かりがついているのだが、
その建物としての機能性はさておき、夜の闇をひときわ明るく照らす円形のフォルムを眺めながら、
美術館そのものが巨大な光のオブジェではなかろうか、と感じたのだった。
この光景に立ち止った時、ふと、頭をよぎった曲が...
青い影 プロコル・ハルム (A Whiter Shade Of Pale - Procol Harum)
洋楽を聴きだした頃の名曲。
その美しいメロディはいまだに色褪せない。