折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

冬の置き土産 By空倶楽部

2020-03-29 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

若狭へ春を出迎えに行った話の続き。

 

この日最後に立ち寄る先も決めてあった。

それは福井県坂井市の三国海岸で、

その日の締めくくりとして夕景を眺めたかったのだ。

名勝東尋坊にほど近く、

サンセットビーチという愛称のとおり

一年を通じて広い砂浜の先に沈む夕日を眺めることができる。

その日は波こそ高かったが穏やかな天気が夕方まで続き、

釣り人達やサーファー、そして海岸を散策する家族連れ、友達連れなど、

春浅い時期ながら渚はまあまあの賑わい。

その人たちを横目に暮れゆく空を楽しんでいたところ...

ふと、あるモノが気になった。

 

                                                 Sony α7R3  FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/6.3,1/60sec,ISO100) 

 

砂の上に横たわった大きな流木で

冬の波が運んできたものだろう。

波打ち際からは10メートルはあるだろうか

よくぞここまで打ち上げられたものである。

長い間波間を漂っていたのか

木肌がむき出しになっていて、それが妙に艶めかしい。

一瞬、大きな人が裸で寝そべっているようにも見え、

また、まるで夏を待ちわびながら夕陽を眺めているようにも思えた。

そんなユーモラスな想像とともに夕景を楽しんでいたのだが

よくよく考えてみるとこの大木を撤去するのはたいへん。

「冬はとんでもない置き土産を残していったものだ」と、

地元の方のご苦労を思い、すこし気の毒な気持ちになったりもしたのだった。


折にふれての曲は So much in love

「渚の誓い」という邦題がついていたはずだが、

どこか「なつかしい海」を思い起こさせる曲だ。


The Tymes, "So Much In Love" 1963

アート・ガーファンクルやイーグルスのティモシー・シュミットなどに加え、

山下達郎もカヴァーしていた。

名曲の所以だと思う。

 

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海鳴りの風景

2020-03-22 | 日常の中に

この週末、若狭へと出かけた。

今年に入っては2月下旬に次いで二度目となる。

金沢から若狭は距離にして150キロ、

そう近くもない場所へ

この時期、二度も出かけるにはワケがある。

それは、北陸の春は若狭からやって来ると信じて疑わないからで、

とどのつまりは、まだ足踏みをしている北陸の春を出迎えに行ったのだ。

ところが、前回は「寒の戻り」とかで

気温にして10℃足らず、さらには小雪も舞っていた。

「その先には必ず春が来ている」と

自分に言い聞かせたものの、

昼食を済ませてあえなく退散。

それで今回、快晴の予報を確認したうえで

意気揚々と出直したという次第だ。

 

その若狭で出会った風景。

Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (70mm  f/2.8,1/4000sec,ISO400)    

 

ここは美浜町の水晶浜。

穏やかな波とここにしかない青さが印象的な海だ。

ところが、である。

その青さこそ水晶浜らしかったが、

前日に通り抜けた低気圧の影響が残っていたのか、

海は荒れ模様で、時折打ちつけるような強い波も押し寄せてくる。

穏やかな春の海と向き合うことを想像してやって来たので

「今回もか…」と、多少落胆もしたのだが、

しばらく景色を眺めているうちにこうも思えてきた。

これからの季節、夏そして秋と、

静かな海はいくらでも見ることができるだろう。

けれども、海鳴りが聞こえる青い海は

この時期だけのものではないだろうか、と。

そして...。

靴が濡れるぎりぎりまでこの海に近づいたのだった。


なんとなくの選曲はイヴォンヌ・エリマンの「ハロー・ストレンジャー」

 
 Yvonne Elliman    Hello Stranger

なんとなく、なんとなく

春の訪れを感じるソフトで明るいナンバー。

 

 

 

 

 

 

 

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春の珍景  By空倶楽部

2020-03-19 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


その時、何に惹かれたのか。

写真で何を表現したかったのか。

釈然としないままシャッターを押してしまうことがある。

この光景もそのひとつ。

Sony α7R3  FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/8,1/800sec,ISO100) 

 

渚に無造作に置かれたブイ。

おそらくは定置網につけられるものだろうけど

それがなぜ、打ち捨てられるように置かれているのか。

誰が置いたのか。何のために置いたのか。

 

そして、その光景に惹かれたのは...、

そのザラザラとした質感だったのか。褪せた色合いだったのか。

いや、ひょっとしたらブイではなく、

くっきりと空に引かれた飛行機雲だったのか。

いまだに釈然としない。

けれども、あの時。

まだ冷たい風の中で、春を感じていたことだけは確かだ。


「どこか春を感じさせる曲は...」と記憶を辿って、

ふと思い出したのが Breadの「make it with you(邦題:二人の架け橋)」


Bread - Make it with you (1970)

とは言え、その記憶もすでに50年前のもの。

果たして春の記憶だったか...

それもまた釈然としない。

 

 

 

 

 

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春色の港

2020-03-14 | 日常の中に

 

つかの間の晴天に恵まれた3月最初の日曜日。

「春の風景を探しに行こう」

そう思って訪れたのが石川県加賀市塩屋港だった。

 

 

大聖寺川河口に広がる港町で

かつては北前船の寄港地として大いに栄えたというが、

今は600余りの人が住む小さな漁港だ。

この時期、漁船がまだ陸揚げされていること、

また、その船の大きさから想像するに

この港の漁業規模は近海での漁場に限られた

小規模なものかもしれない。

 

 

ひっそりと...。

などと表現すると地元の方に叱られるかもしれないが

その静けさの中で春の陽ざしを浴び、春の風を感じながら、

自分だけの春色の風景を探したい、と思ったのだ。

 

そして...。

 

漁港の町が途切れる先。

そこからは日本海が大きく広がる。

ただ眺めたままをそのままカメラに納めたのだが

脳裏には別の風景が重なっていた。

 

かつてこの海岸は石川県でも有数の海水浴場だった。

何軒もの海の家が立ち並び、

加賀市民のみならず、金沢や福井からもやって来る

大勢の海水浴客で賑わっていた。

さらにシーズン以外でも

明るい海の余韻を楽しむかのように

海岸を散策する人も多かった。

 

そんな子供の頃の記憶を辿りながら

このありふれた風景を特別なものとして

なつかしく眺めてもいたのである。


 
  'Sea of Love'  Robert Plant's The Honeydrippers  

 

 

 

 

 

 

 

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それぞれの黄昏 By空倶楽部

2020-03-09 | 語りかける街

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


空倶楽部、今月のお題は「日没後の空」。

限られた時間帯、しかも季節や気象の影響を大きく受けるテーマ。

また、北陸ではこの時節、雪や雨の日がほとんどなので

その制約はさらに大きい。

そんなこんなで期限は迫るばかり・・・

このお題は一年をかけてじっくりと取り組め、ということなのだろう。

 

そして、そんな苦しまぎれの言い訳の末に

お蔵入り写真の中から引っ張り出したのが...

去年9月の「日没後の空」。

 

 Sony α7R3  FE2.8 16-35 GM (35㎜ ,f/5.6,1/40sec,ISO5000) 

 

還暦を過ぎた夫婦連れが恥ずかしながら訪れたディズニー・シーでのひとコマ。

日没後のアトラクション・ショーが始まる直前だったが、

この日は昼過ぎに入園、すでに散々歩き回って、かなり疲れていた。

体を休めたいと思ったが、

レストランやカフェ、ベンチにいたるまで、

どこも人でいっぱい。

おまけに広場までが敷物に座ったひとで埋め尽くされていて、

足の踏み場もないほどだ。

それでも、このショーがお目当てだった家内は

俄然元気になり、陣取る場所をあちこちと探し回っている。

堪らないのはそれに振り回された私。

夫婦仲は険悪となり一触即発状態。

「二度と来るものか!」と、

これが最後のディズニー・シーとばかりに

なかば腹立ちまぎれにシャッターを切っていたが、

その中の一枚がこれである。

 

それから半年。

写真フォルダの中から日没後の空写真として見つけ出したのだが、

写真の中につなぎ留められた家族、友達、恋人同士、

さらに私たち夫婦が楽しんだそれぞれの黄昏を思い出しつつ

「そんなこともあったな」と苦笑しつつ眺めた次第だ。

 

 

 黄昏のビギンーちあきなおみ

 

※今回のコロナウィルスの影響でオリエンタルランドも休園が続いている。

 ディズニーを愛する人たちの為に

 一刻も早い事態の収拾と開園を待ち望むものです。

 

 

 

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