「9」のつく日は空倶楽部の日。
若狭へ春を出迎えに行った話の続き。
この日最後に立ち寄る先も決めてあった。
それは福井県坂井市の三国海岸で、
その日の締めくくりとして夕景を眺めたかったのだ。
名勝東尋坊にほど近く、
サンセットビーチという愛称のとおり
一年を通じて広い砂浜の先に沈む夕日を眺めることができる。
その日は波こそ高かったが穏やかな天気が夕方まで続き、
釣り人達やサーファー、そして海岸を散策する家族連れ、友達連れなど、
春浅い時期ながら渚はまあまあの賑わい。
その人たちを横目に暮れゆく空を楽しんでいたところ...
ふと、あるモノが気になった。
Sony α7R3 FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/6.3,1/60sec,ISO100)
砂の上に横たわった大きな流木で
冬の波が運んできたものだろう。
波打ち際からは10メートルはあるだろうか
よくぞここまで打ち上げられたものである。
長い間波間を漂っていたのか
木肌がむき出しになっていて、それが妙に艶めかしい。
一瞬、大きな人が裸で寝そべっているようにも見え、
また、まるで夏を待ちわびながら夕陽を眺めているようにも思えた。
そんなユーモラスな想像とともに夕景を楽しんでいたのだが
よくよく考えてみるとこの大木を撤去するのはたいへん。
「冬はとんでもない置き土産を残していったものだ」と、
地元の方のご苦労を思い、すこし気の毒な気持ちになったりもしたのだった。
折にふれての曲は So much in love
「渚の誓い」という邦題がついていたはずだが、
どこか「なつかしい海」を思い起こさせる曲だ。
The Tymes, "So Much In Love" 1963
アート・ガーファンクルやイーグルスのティモシー・シュミットなどに加え、
山下達郎もカヴァーしていた。
名曲の所以だと思う。