折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

春陽に染まる  By空倶楽部

2018-05-29 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 5月5日の夕暮れ、福井県三国港。


 Sony α99  2.8/70-200㎜ G + Teleconverter (f/13,1/25sec,ISO100)  

 

「春夕映え」と題して5月9日に、同じ5月5日のほとんど同時刻の空写真を掲載している。

海に赤く映りこんだ夕焼けが印象に残ったのだが、

実は今回の写真、三脚にカメラを固定したままアングルも変えず、単に望遠ズームをテレ端にしただけ。

アーモンドグリコではないが「一粒で二度おいしい」の手抜き掲載。

そのおこがましい所業、したがって多くは語らず。 


さて、陽が傾くのを待ちながら、車の中で聴いていたのがダウン・タウン・ブギウギ・バンド。

次第に赤くなる空を眺めながら、心に染みたのが「涙のシークレット・ラブ」だった。


   

1987年のリバイバル・コンサートの模様らしい。

元々の曲では情感豊かなサックスが「道ならぬ恋」を盛り上げていたが、

このライブではそのパートをコルグのキーボードが担当している。

初めは少し違和感を持ったが、何度か聴きこんでみると、

ハモンド・オルガンを思わせる、ここちよく吹き抜ける響きに、

これはこれでオトナの味があるな、と思えてきた。

 

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遠い道の残像

2018-05-26 | 折にふれて

あらためて5月5日のこと。

空に絡んだ写真を撮るつもりで奥琵琶湖と越前海岸を巡ったのだが、

この日は終日快晴、天気が良すぎた。

空の写真に天気が良すぎることなどあるのか、と思う向きもあるだろうが、

どこまでも青一色の空はどこか味気なく、

それよりも多少雲があって、様々な表情を見せる空のほうがおもしろい。

近頃よく耳にする言葉で言い換えるなら、「フォトジェニック」と感じるか、そうでないかということだろう。

そんなわけで早々と空写真は断念したのだが、一方で心惹かれる被写体に出会うこともできた。

真夏さながらの陽ざしが照りつける道の先、ゆらゆらと陽炎が立ち昇る。

走らせる車の向こうにその光景が広がったとき、

「そうだ。今日は道のある風景を撮ろう...」、そう思いついたのだ。


Sony α99  Planar 50㎜(f/5.6,1/640sec,ISO100) 

しかし心惹かれたのは、実は道そのものではなかった。

遠い昔に夢見たなつかしい道の記憶。

そこに、目の前に広がる道の光景を重ねながら、

すでに薄れかけた道の残像を鮮明にしてみたいと思ったのだ。

 

話は自分が社会に出た頃、もう40年も昔に遡る。

当時、日本車の生産台数はアメリカを抜いて世界一位。

日本車が世界市場を席巻する中、同世代の誰もが日本車に誇りを感じ、

そして自分の車を持つことに憧れていた。

自分にしてもそう。

当時の給料では到底手が届かない高性能な車が欲しくてたまらなかったのだが、

もうひとつ、車を買うならぜったいに外せないものがあって、

それはカーコンポ、そして自分にとっては当時人気の「ロンサム・カーボーイ」だった。

乾いた荒野でカウボーイを連想させる男が銃で空き缶を打ち抜いていく。

ニヒルとも思える所業、そしてバックに流れる小気味良くも透明感のある音楽。

おそらくは、そんなコマーシャル映像と、さらには「孤独な」というネーミングに惹かれたのだと思う。

陽ざしのまぶしい道を新しい車で快調に走る。車内にはここちよい音楽が流れて...。

そんな情景を想像していたものだが、たとえて言えば、そこは真っ青な海沿いの曲がりくねった道だったり、

空に向かって一直線に伸びる山岳の道だったり、そして時にはアメリカ映画に出てくるような荒野の道だったりもした。

しかし結局は、高性能な車を買うこともなく、ロンサム・カーボーイから流れる音楽を聴くこともなかった。

結婚して子供が生まれてと日々の生活に追われているうちに、いつしかそんな青くさい年ごろから抜けてしまったのだ。

 

さて、今思うとなつかしくもあり、滑稽でもあるそんな昔の記憶に重ねながら出会った道の光景。


Sony α99  Planar 50㎜(f/5.6,1/250sec,ISO100) 

 

そして、この道をファインダー越しに眺めながら口ずさんでいたのが...。 


Ry Cooder - Go Home Girl

ロンサム・カーボーイのコマーシャル映像に流れる曲が

ライ・クーダーの「ゴー・ホーム・ガール」だったことを知ったのは

あの時からずいぶんと後になってからだった。

 

 

 

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ひがし 亥(ゐ)の刻 

2018-05-23 | 抒情的金沢

金沢、ひがし茶屋街、午後10時過ぎ


 Sony α99  Planar 50㎜(f/1.6,1/10sec,ISO10,000) 

金沢を代表する観光名所のひとつで、国の重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に指定されている。

つまりは国が文化財としてその保存を推奨しているわけだが、

日中は足の踏み場もないほどたくさんの観光客で賑わっていて、ともするとその情緒も薄れがち。

しかし、さすがにこの時間ともなると観光客はもちろん地元の人でさえ歩く人もいない。

調べてみると、その歴史が始まったのが文政3年(1820年)というからすでに200年近く経過していることになる。

ひょっとしてこの夜景、その当時からそう変わっていないのかな、

と、妙に感心しつつシャッターを切っていたのだが、

このひと気の無さ、ふと、路地から辻斬りが現れるのでは...、などと思ったりもしていた(笑)

ということで、当時風につけたタイトルが、「ひがし 亥(ゐ)の刻」だったというわけ。


 

路地、横町からの連想で...。

スティングが自身の名曲「バーボン・ストリートの月」を

ラベック姉妹の姉、カティアのピアノでセルフカバー。


Sting & Katia Labèque - Moon over Bourbon street

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ひがしやまの夜空 By空倶楽部

2018-05-19 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


5月3日午後10時、金沢市東山にて。


Sony α99  Planar 50㎜(f/11,30sec,ISO200) 

 

ふと気づいたことだが。

空倶楽部に入会して7年、230を超える空写真を投稿してきたが、意外にも夜空は無かったように思う。

 

この日、食事を終えた後、浅野川大橋から東の方角を眺めると、卯辰山から月が昇りはじめていることに気づいた。

ここ東山には、「ひがし」と「主計町」、ふたつの茶屋街があり、

昔からの佇まいが残る場所として人気の観光スポットとなっている。

また、おんな川と呼ばれる浅野川界隈は

泉鏡花や徳田秋声、五木寛之といった多くの文豪にも愛され、

その作品の中の情景としても描かれてきた。

北陸新幹線開業以来、日中だとこのあたりはたくさんの観光客であふれ、

のんびり写真を撮るなどままならないが、さすがにこの時間ともなると人通りはまばら。

千載一遇のチャンス!

とはいえ夜の撮影、カメラを固定するには橋の欄干の平たい部分に置くしかない。

おまけに単焦点50㎜しかつけて来なかったので構図は制限される。

が、それでもしばらくはあれやこれやと金沢の夜景と夜空を楽しんだ次第だ。

金沢の風景についてこれまでもいろいろと眺めてはきたが、じっくりと夜景を撮ったことはない。

この時間であれば、三脚を持ち出しても通行人に迷惑をかけることも少ないはずなので、

準備を整えたうえで、金沢の夜景と向き合ってみるのも悪くないと思えてきたのである。

しかし問題もなくはない。

まずは風景に向き合う真摯な姿勢、そして誘惑に負けない強い意思。

なにせこのあたりは観光地にして歓楽街、酒食もてなしの上手な土地柄でもあるのだから。


なんとなくの選曲。

80年代、どちらかというとアップテンポでポップなブルー・アイド・ソウルといったイメージの強い二人だが、

こんなしみじみとした名曲もある。


HALL & OATES-Everytime You Go Away  

 

 

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「アップはやめてね」 西山公園のツツジ

2018-05-13 | 花歳時記

5月5日は「空倶楽部」に掲載する空を求めてあちこちと走り回ることが恒例化している。

今年、その立ち寄り先のひとつが早朝の西山公園(福井県鯖江市)だった。

そこは日本海側屈指のツツジの名所で色とりどり5万株もの花が咲き誇る。

そんなことなどつゆ知らず、昨年の5月5日に訪れたところ、

その時まさに満開状態、思いもかけず目の前に広がった光景の見事さに圧倒されてしまった。

それで今年も、とやって来たわけだが...。

どうも今年は桜もそうだったようにタイミングが合わない。

すでに見ごろを過ぎてしまったうえに、前日までの風雨に打たれたせいもあるのか、

開花量、瑞々しさとも去年ほどの感動は味わえなかった。

それでも、何か撮りようがあるはずと思いなおし、引き気味に何枚か撮ってみることにした。

(...なんとなくだが、散りぎわのツツジも「アップはやめてね」と言っているような気がした)

その中の一枚。 

 
Sony α99  Planar 50㎜(f/1.7,1/2000sec,ISO100) 

 

満開たわわなツツジを空にからめて、という思いは叶わなかったが、

新緑の中、明るく元気な写真と自己満足(笑)。

結果オーライとはいえ、散りぎわのツツジたちを若々しくポップに撮ってあげたつもりだが、

さて、「トウ」が立ったツツジたち、はたしてどう思ってくれたのだろうか。


 

「トウ」が立ったとは失礼だが、

この人、シンディ・ローパーも遅咲きのデビュー。


Cyndi Lauper - Girls Just Want To Have Fun  

年のわりには(これも失礼)、元気でおきゃんなキャラクター。

そして、微笑ましいパフォーマンス。

私の中では好感のもてる女性ミュージシャンのひとりである。

 

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軌跡の7分間  鉄写同好会

2018-05-11 | 鉄道写真

毎月11日は「鉄写同好会」の日。

詳しくは発起人てくっぺさんのブログ「高橋さんの写真記念館」をご覧ください。



 

 

その日、仕事を終えた午後。東京駅のホームに入線してくるE7系の車両を待っていた。

長野から「あさま」としてやってきて、車内清掃を終えた後、「かがやき」となって金沢へ向かう。

そのときの様子だが、この写真の主役、実は列車ではない。

入線する列車を出迎えるように等間隔でホームに立つ車両清掃スタッフたち。

彼らこそ、この写真、そして「奇跡の7分間」の主役なのだ。

 

彼らの所属は「テッセイ」。

現在の社名は「JR東日本テクノハート」だが、

旧「国鉄」時代に分社された旧社名「鉄道整備株式会社」の略称を今でも愛着込めて使っているという。

彼らを清掃スタッフと紹介したが、その仕事は客室内の清掃だけではない。

忘れ物のチェックから、ゴミだし、座席カバーの交換にトイレ掃除など、

その範囲は広く、しかもそれらの仕事を短時間に完璧にこなす。

どれだけ短時間か。

新幹線が東京駅に到着し、折り返しの発車までの時間は通常15分間。

そのうち、乗客の降車に5分、また折り返しの乗車に3分の時間が充てられる。

したがって、その乗降時間を除いた7分間が彼らに与えられた時間で、

その中ですべての仕事と仕上がりのチェックを終えなければならない。

彼らは手際よく、迅速かつてきぱきと無駄のない行動で仕事をこなす。

そして完了後、整列してさわやかに一礼。

その鮮やかともいえる仕事ぶりこそ「奇跡の7分間」の由縁である。

さらに、彼らの仕事意識は清掃業務だけに留まらない。

高齢者や急病人の介助、東京駅構内はもちろん周辺施設の道案内などコンシェルジュさながらだ。

彼らの姿を称賛をもって眺め、カメラを向ける外国人も増えているそうだが、

それもそのはず、彼らの取り組みは広く海外でも紹介され、

ハーバード大学ビジネススクールの教材としても使われているというから驚きだ。

 

さて昨今、企業が抱える課題のひとつに「働き方改革」がある。

これまでの話はその取り組み事例をテーマとしたセミナーで、

テッセイのOBであり彼らの生みの親である矢部輝夫氏により紹介されたものだ。

このすばらしい「職場」の誕生には矢部氏の指導もさることながら、

スタッフの方々の並々ならぬ努力と意識改革があったという。

セミナーではその過程がつぶさに紹介され、それを大いなる感動をもって拝聴した次第だが、

この日、彼らの仕事ぶりの一部始終を直に眺めながら、

その感動が本物だったことをあらためて実感したのだった。

ともすると、「時短」だけにとらわれそうになる「働き方改革」。

矢部氏が、まず彼らスタッフと共に始めたことは、

仕事の「誇り」と「生きがい」を再定義することだったという。

そして、この人間愛にあふれるセミナーの最後を矢部氏はこんな言葉で締めくくった。

「人は経営資源ではない。経営主体そのものである。」

 

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5月5日、春夕映え  By空倶楽部

2018-05-09 | 空倶楽部

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


空倶楽部、今月のお題は「5月5日の空」。

ここ数年、この日は朝早く金沢を出発して、

午前中いっぱいは奥琶湖周辺を、そして午後からは越前海岸沿いに北上して、

夕方までひたすら5月5日の空を撮りまくるという行動パターンが定着している。

この時期にしては珍しく寒気が入ったとかで、連休後半は不安定な天候の始まりとなったが

それも4日の夕方には回復し、5日は立ち回り先すべてが快晴の予報。

前日夜のうちにカメラ機材など準備を整え、午前5時前、空が白み始めた金沢を出発した。

意気揚々と出かけたわけだが...、途中ふと、不安に思えてきたことがある。

「天気が良すぎるのでは...」

ぜいたくな話に聞こえるかもしれないが、快晴の空というものは被写体が映えても、空そのものの魅力は薄い。

案の定、行く先々で撮った写真にもうひとつ納得がいかないまま、

最後にたどりついたのが夕刻の福井県三国港だった。

日本海に広がる夕焼けの空を期待してのことだったが、

快晴の日の夕空はこれまた表情が乏しいということをなんども経験している。

予想通りというか...

輪郭のはっきりとした夕陽とはなったものの、染まる雲がほとんどない空はどこか味気ない。

「不安があたったな」と半ば落胆したその時、目の前に不思議な光景が広がり始めた。


Sony α99  2.8/70-200㎜ G + Teleconverter (f/13,1/20sec,ISO100)  

 

海がふたつの色にわかれているのだ。

三国港は長く伸びる突堤で外海から遮断されているのだが、

突堤の向こうの外海が次第に暗い青に変わっていく一方で

手前の海が赤く染まりはじめている。

「目の錯覚...?」

その対比の見事さに驚くとともにその現象に違和感を感じたのだが、すぐにその理由が理解できた。

突堤の手前は外海から遮断された港への海路で波の影響をほとんど受けない。

文字通り水を打ったような静かな海を夕日が赤く染めているのだ。

夕陽が沈み込む瞬間までシャッターを切り続けたのだが、そのとき浮かんだ言葉が「夕映え」だった。

夕映え...。

美しい言葉だが、ひょっとしたら夏の季語かもしれないと、後で調べてみたところ、

春の季語として「春夕映え」という言葉があって、

それは「春独特の柔らかな感じがする夕焼け」を意味するのだという。

真っ青で勇壮な皐月の空とはかけ離れたものになったが、

この夕映えも5月5日の空とようやく納得することができた次第だ。

 


なんとなくの選曲はローリン・ヒル。

どこか懐かしいメロディとレコード針の擦れたような効果音のせいだろうか、

この曲を聴くと、遠い昔にながめた夕暮れの海を思い出す。


Lauryn Hill - The Miseducation Of Lauryn Hill

 

 

 

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奥琵琶湖、ゆったりと流れる季節

2018-05-03 | 近江憧憬

時の流れは一様ではない。

もちろん感覚の上での話であるが、特に春から初夏にかけてのこの時期にはそれを強く感じる。

春の訪れとともに草木がいっせいに芽吹き、そして次々と花が咲き始める。

自然の光景や色彩がめまぐるしく移り変わるそんな様が

「季節の流れが加速している」と感じさせるのかも知れない。

だから、油断しているとあっという間に季節が通り過ぎていってしまう。

 

しかし...。

 

4月後半の奥琵琶湖湖畔。

桜の季節などとうに過ぎ去ったはずなのに...。


Sony α99  Planar 50㎜(f/5.6,1/640sec,ISO100) 

 

初夏を思わせる陽気の中、人知れず八重桜が咲き誇っていた。

ほとんど訪れる人もいない奥琵琶湖は季節の加速などどこ吹く風。

穏やかな風景をひとり占めして、ゆったりと流れる季節を楽しませてもらった。


 

なんとなくの選曲。

「ニュー・キッド・イン・タウン」 イーグルス


Eagles - New Kid In Town 

1970年代の初め、カントリー色の強いバンドとしてスタートしたイーグルス。

その彼らが次第にロック色を強め、一気に世界的なスターダムに昇りつめたのは、

この曲が収められたアルバム「ホテル・カリフォルニア」によってだったと思う。

A面一曲目の鮮烈な「ホテル・カリフォルニア」に続く曲がこの「ニュー・キッド・イン・タウン」で

どこか昔のイーグルスを思い出させてくれるような、

ホッとした気分にさせてくれたことを40年以上たった今でもよく覚えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

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