その光景が目の前に広がった時、
ふと、'Boulevard'(ブールヴァード)という言葉が頭をよぎっていた。
RICOH GR DIGITAL Ⅲ f/5,1/870sec,ISO-64
その日の仕事先は東京ビッグサイト。
展示会などで訪れることが多く、ふだんは「ゆりかもめ」や「りんかい線」を利用するのだが、
その日は東京駅に着いた直後の移動だったので、直通の都営バスで向かうことにした。
所用時間は30分ほど。
東京駅から丸の内のオフィス街を抜け、晴海通りに入る。
有楽町、銀座、築地と古くからの街を抜け、
隅田川を渡ると、今度は晴海、豊洲など新しい街が広がる。
その後、バスはオリンピック・パラリンピックに向けた整備が進む通りを走り、やがて終着の東京ビッグサイトに至る。
ちょっとした観光気分を楽しんだわけだが、
バスがビッグサイトに入る直前に目に入ったのがこの光景だ。
海外のリゾート地を思わせる佇まいに惹きつけられ、
その瞬間、浮かんだ言葉がブールヴァードだった。
もともとは「街路樹がある広い通り 」のことらしいが、
その言葉を知るきっかけになったのがこの音楽、
そして、アルバムジャケットの写真がこの光景にかぶったのだ。
Eric Clapton - I Shot the Sheriff
もう40年以上も前、薬物中毒が癒えたエリック・クラプトンが長いブランクの末、
見事に復活を遂げたのが、この曲が収録されたアルバム「461 Ocean Boulevard」。
「レゲエ」という音楽スタイルに出会ったはこの時が初めてで、
(当時のアルバム解説には「レガエ」と紹介されていたと思う...)
この曲の作者、ボブ・マーリーのことも当然ながら知らなかった。
また、それまでのブルースに根差した骨太のロックとは
大きくかけ離れたポップな楽曲に最初は戸惑ったのだが、
すぐに、新しいリズムとキレのいいギターの魅力にとりつかれていった。
さて、しばらくは I shot the sheriff を口ずさみながら、
この「Boulevard」、そして、最寄りの有明客船ターミナル付近で、
「役得」とばかりに、リゾート気分を楽しんだわけだが、
それも束の間のこと。
ここは「 東京都江東区」と自分に言い聞かせ、仕事に向かった次第である。