見もの・読みもの日記

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西南見仏旅行:1日目/山口

2004-07-16 22:43:49 | 行ったもの(美術館・見仏)
○山口県立美術館『平成大修理完成記念 周防国分寺展-歴史と美術-』

山口県立美術館 http://www.pref.yamaguchi.jp/kenbi/
周防国分寺 http://www5.ocn.ne.jp/~suoukoku/





 久しぶりに遠出をすることになった。朝いちばん、6時の「のぞみ」で東京を発つ。

 防府にある周防国分寺を訪ねたのは2年前のことだ。同寺の拝観は予約制である。私は当日か前日に電話を入れて、運よく住職の奥様に1対1でご案内いただいた。

 巨大な金堂は改修中だった。代わりに、屋根の低い持仏堂に案内され、細長い次の間を開けていただくと、ど迫力の四天王像をはじめ、古風で端正な仏像が、狭い空間に文字どおり、ひしめきあっていた。さらに壁際のパネルでは、絵画・文書・工芸な用ど豊富な寺宝が紹介されていて、私は驚愕した。

 金堂の修理がいかに困難な事業だったかは、展覧会図録に寄稿されたご住職の文章に詳しい。もちろん国や県の多額の補助なしにはできない事業だが、何割かの経費は寺も負担しなければならない。元来、檀家を持たない国分寺の経営は苦しい。これだけの寺宝を有していても、京都や鎌倉などと違って、観光収入も当てにならないという。

 平成16年に大規模な展覧会が予定されているということも、このとき、住職の奥様から伺った。「さあ、どれだけお客さんがいらっしゃるものか...でも、展覧会のあと、仏様を本堂に搬入する費用を美術館が負担してくれるだけでも大助かりなんです」と奥様はあくまで控えめでいらした。

 さて、早いものであれから2年。再会した仏像はいずれも以前に増してすばらしかった。(何せ、前回は狭い仮住まいに押し込められて持ち物も光背も外されていたが、今回は、体育館のような広い空間にスター然として君臨していた!)

 特筆すべきは、この地元の至宝を、”正当に”売り出そうとする美術館の意気込みである。ロゴもいいし、ポスターデザインもいい。”販促”グッズの数々も楽しい(写真は館報を使ったペーパークラフト。その後ろは「四天王おみくじ」。私は「毘沙門天(小吉)」で、恋愛は「美術館デートで発展あり」でした)。このほか、四天王が選べる4種類の入場券、四天王の人気投票、ジャッキー(邪鬼)のスタンプラリーなど。

 都会の美術館がここまでやったらあざといけど、地方に関しては、関心の掘り起こし策として、許す。

 それに、展示図録の解説はしっかりしていたし、周防国分寺だけでなく、周辺(県央部)の寺院から集めてきた関連の文物、特に仏像は名品揃いで見応えがあった。当日、展示解説をしていた若い男性の学芸員の方も熱心かつ控えめで好感が持てた。

 山口県立博物館、今後に注目である。

 この日は、ほかにサビエル記念聖堂、瑠璃光寺五重塔、洞春寺、八坂神社、龍福寺(大内氏館址)などを拝観。博多に出て宿泊。(07/20記)


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