見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

理想の家庭生活/すずしろ日記(山口晃)

2009-09-02 00:07:51 | 読んだもの(書籍)
○山口晃『すずしろ日記』 羽鳥書店 2009.3

 画家の山口晃さんの漫画エッセイ。東大出版会のPR誌『UP』に連載されて、5年目になるそうだ。美術制作にかかわる話は少なく、もっぱら、画伯と「カミさん」とふたりの、まったりした日常生活が題材である。オチもあったりなかったりだが、たまに私のツボにジャストフィットするものもある(律儀な忠犬ポチの回とか…)。画伯の本業を知らない読者には、若いのに家にばかりいる変なオジサンに映っているのではないかしら。でも、こういうの、30代以下の世代には、理想の家庭生活の一形態ではないかなあ。

 付録として、芸術新潮に書き下ろした「斗米庵双六」(伊藤若冲の生涯を双六ふうに紹介したもの)、ブルータス「仏像特集」のための「仏像の歴史」、ぴあムックのための「芸術カフェーの図」(古今東西の芸術家がカフェーに集合している。席割りと表情が絶妙で可笑しい!)などがカラー収録されているのも嬉しい。

 なお、本書の出版元の羽鳥書店は、東大出版会で『知の技法』や『日本美術の発見者たち』を手がけた羽鳥和芳氏が、定年退職後に始めた(2009年4月創業)出版社だという。こんな、「本が売れない」とみんなが嘆いている時代に、敢えて新しい出版社を起こそうなんて、奇特な人物だなあ、と思った。今後に注目したいと思う。

※[法律][書籍]法律書業界に新風?(日経新聞2009/8/23記事の引用)
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20090823

※WEB大学出版 No.58:渋谷区立松濤美術館(羽鳥和芳)…古い記事だけど。
http://www.ajup-net.com/web_ajup/058/58aruku.shtml

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