見もの・読みもの日記

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今年はトリ年/2017博物館に初もうで(東京国立博物館)+常設展

2017-01-04 21:01:40 | 行ったもの(美術館・見仏)
東京国立博物館の新年恒例企画。今年は1月2日にさっそく出かけた。

■本館14室 特集『掛袱紗-祝う心を模様にたくす』(2016年12月20日~2017年2月19日)

 祝い事で贈り物をする際に、お祝いの品の上に掛ける掛袱紗(かけふくさ)を特集。華やかでめでたい絵柄が多く、お正月にぴったりの企画である。日本民芸館などで、類似の品を見たことはあるが、東博には染織工芸の常設コーナーがないので、所蔵品をまとめて見るのは初めての機会である。二匹の鯛が向き合った図柄は、2014年の新春企画でも使われたもので、見覚えがあった。個人的には、三国志に由来するという騎馬人物図が気に入った。



■本館15室(歴史資料)特集『臨時全国宝物取調局の活動-明治中期の文化財調査-』(2016年12月20日~2017年2月19日)

 日本の文化財調査といえば、明治5年(1872)の壬申検査が有名だが、これは明治21年(1888)から10年間にわたって、臨時全国宝物取調局がおこなった調査を特集する。宮内省図書寮附属博物館と連携した事業であり、明治30年(1897)にその残務を帝国博物館(宮内省図書寮附属博物館の後身)が引き継いだことから、東博に関係資料が残されており、平成28年(2016)には重要文化財に指定された。展示室では、いきなり李迪の国宝『紅白芙蓉図』が出ていて、え?と混乱する。本物だった。別の展示ケースにこの『紅白芙蓉図』が、調査の結果、文化財として登録されたことを示す鑑査状が出ていた。福岡孝紹子爵の所蔵だったのか。

 明治32-33年(1899-1900)には「鑑査状交付済ノ宝物異動調」という事後調査が行われており、この帳簿の、たまたま開いていたページが大阪・孝恩寺のもので、好きなお寺なのでテンションが上がった。また、『監査状番号簿』は、教王護国寺(東寺)の箇所が開いていて「夜叉神」の文字を見つけた。しかし、これらの記録類は、どうして国立公文書館に入らなかったんだろう?

■特別1室・2室 特集『博物館に初もうで 新年を寿ぐ鳥たち』(2017年1月2日~1月29日)+常設展示

 2階に上がり、特別1室→常設展→特別2室の順序で参観。特別1室のテーマは「祝の鳥」で、酉(ニワトリ)に限らず、さまざまな吉祥の鳥を紹介する。鳥って、今よりずっと身近だったんだなあと感じる。京焼の孔雀香合とか仁阿弥道八作の楽雀香合とか、小物がかわいい。明代の絵画だという『蒼鷹搏雁図』は記憶にないものだった。統一新羅時代の迦陵頻伽像は、東博の膨大なコレクションからよく見つけてきたなあ。毎年、この企画にかかわる学芸員さんは楽しいだろうと思う。

 それから、常設展「日本美術の流れ」をひとまわり。国宝室は新春特別公開『松林図屏風』(2017年1月2日~1月15日)で、文字通り黒山の人だかりだった。もはや新春恒例だなと思ったが、今後のスケジュールを見たら、来年1月は『釈迦金棺出現図』になっていた。これは楽しみ!

 本館7室(屏風と襖絵)は、応挙の『雪景山水図』が楽しかった。写実的で雄大な雪山の峰の間に、雲に浮かんだ仙人たちが小さく描かれている。琴を背負った従者がいるのだが、細長い袋がスキー板に見えてしまう。池大雅の『西湖春景・銭塘観潮図屏風』は、よくこんなわけのわからない絵を描くなあ、と惚れ惚れ。本館8室(書画の展開-安土桃山~江戸)に入って、絶対、若冲のニワトリあるよね、と思っていたら、黒川亀玉筆『芭蕉孤鶴図』とか秦意冲筆『雪中棕櫚図』とか、ものすごく若冲ふうの絵画はあるのに、ついに若冲の作品はなし。ええ~そうきたか、と思いつつ、まだ特別2室を見ていなかったことを思い出す。

 特別2室は「暁の鳥」でニワトリ特集。若冲の『松梅群鶏図屏風』がありました。淡彩がきれいだけど、少し硬い感じがする。南宋絵画『竹鶏図』(怖いニワトリ)も出ていたが、斉白石の『雛鶏図』と『菊群鶏図』の愛らしさに悶絶する。初めて見ると思ったら、個人蔵だった。明治時代の『旧儀式図画帖「闘鶏御覧」』に関連して、唐の玄宗皇帝がトリ年で闘鶏を好んだことにちなみ、平安時代の頃から3月3日に宮中行事として行われるようになったという説明があった。桃の節句は闘鶏の節句だったのか。

■アジアギャラリー(東洋館)8室(中国の書画)特集『董其昌とその時代-明末清初の連綿趣味-』(2017年1月2日~2月26日)

 董其昌(とうきしょう、1555-1636)に関心はないのだが、まあ見て置くかと思って立ち寄った。絵画は、ざっと見たところ、山水画が多い。董其昌の作品は『渓山仙館図』1点のみ。ゆるゆる、ふわふわした木炭スケッチのような薄墨の山水図。あとは董其昌の「創造」を受け継いだ明末清初の「奇想派」の作品が展示されている。呉彬とか龔賢とか米万鍾とか、不穏な雰囲気の山水図がたくさんあって、私好みで嬉しい。藍瑛の『天目喬松図』もよかった。東博コレクションではなく、個人蔵の絵画がけっこう出ている。

 ふと目の前に、見覚えのある淡彩の山水図が。これは!京都・泉屋博古館の石涛筆『廬山観瀑図』ではないか。ええ~京都を離れることがあるんだあ、と驚く。次に平台の展示ケースを覗き込むと、なんとなく惹きつけられる山水図の画帖。キャプションを見たら『安晩帖』とあって、思わずヘンな声が出てしまった。これは…これは…大事件である(~1/29展示)。

 あらためて『董其昌とその時代のチラシ』を確認すると、八大山人こと朱耷(しゅとう)筆『安晩帖』の写真は、小さな魚の図と片足で立つ鳥の図が使われている。果たして、場面替えはあるのか? インフォメーションのお姉さんに聞いてみたが分からなかった。まだ学芸員は出勤していないので、5日過ぎくらいにお電話くださいとのこと。そりゃあそうだよね。『安晩帖』は22面から成るが、私はこれで5面を見たことになる(※過去の記録はこちら)。もちろん図録でも複製でも魅力は伝わるだが、せっかく日本にあるのだし、いつか全面を見たいのだ。

 なお、この展覧会は台東区立書道博物館との連携展示。董其昌の画は、書道博物館のほうが点数が多いようだ。董其昌の書は東博にも複数あり。書風は変幻自在だが、狂草風の『行草書羅漢賛等書巻』が好きだ。
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