「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

大乱戦

2022年11月04日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

いよいよ試聴会も佳境に入って、本命候補のSP「トライアキシオム」をめぐる展開へと移っていった。

Sさんが持参された「6FD7」アンプ(左側)、そして我が家の「6AR6(6098)」との一騎打ち。

  

その結果は、

S(お客さん)「私は6FD7の方がスピード感があって好きです」

T(自分)「6AR6はスピードはやや落ちますが音にゆとりがあってスケール感もあるし長時間聴いても疲れない音ですよ」

オーディオ機器は己の家族のようなものだから身びいきしてお互いに譲らず~、まあ、いいでしょう、自分さえ良ければいい世界なんだから(笑)。

ここでささやかな「実験」を行った。

「6AR6」アンプの前段管のオリジナルの球は「6SL7」(STC)だが、我が家では「変換アダプター」を使って「12AX7」(BRIMAR)に差し替えている。

両方を差し替えながら「どちらがお好きですか?」との問いに対して、

「全体的な安定感は6SL7の方があります。12AX7は高音域にかけて繊細な表現力がありますが私は6SL7の方が好きです」

T「・・・」(笑)

以後も「リチャードアレン」「AXIOM80」(復刻版)「PL100」「スーパー10」(ワーフェデール)と入れ替えしながらアンプの方は「6FD7」と「6AR6」をメインにしながら展開。

「AXIOM80」の水も滴るようなヴァイオリンの音色に浸りつつ、これに低音が付いてくれれば言うことなしですがと二人ともため息が出た。

そして「PL100」の近代的な音にも感心されていた。

「こんなに小さな筐体なのに信じられないほどの低音が出ますね。小振りなだけに音像定位が抜群です。中央に音像がスッと立ち上がりますよ。」

T「小編成やボーカルなどには強みを発揮しますよ。オーケストラはどうでしょうか・・、ブルックナーを聴いてみましょうか」

「ブルックナーは大好きですが最近、チェリビダッケの指揮するリスボンライブ(8番)のレコードが発売されたので購入しましたよ。」

T「それはそれは・・、随分高かったでしょう。ブルーレイに収録していますのでさっそく聴いてみましょう。この曲は三楽章と四楽章がいいですね」

「やはりオーケストラの弦のユニゾンやスケール感となると、PL100では厳しいようですね・・」

T「こういう曲はウェストミンスターの独壇場でしょう」

で、再びスピーカーをウェストミンスターへ戻して試聴。

とまあ、こういう調子であっという間に時間が経っていく。

最後にSさんが述べられたことをアトランダムにメモしておこう。

★ 2A3シングルアンプはアンプのボリュームが全開のときと絞った時では音が様変わりしますよ。いっそのことボリュームを取ってしまった方がいいんじゃないですか・・。

★ それぞれにスピーカー、アンプともいいところがあってなかなか捨て難いですね。これだけの数があることに納得しました。この中で気に入ったのは「トライアキシオム」ですが、このユニットをウェストミンスターに容れて聴いてみたいですね。手間と時間がどのくらいかかるんですか。

T[いやあ、たいしたことないですよ。左右両方で2時間もあれば十分でしょう。ただ裏蓋のネジが18個もあって外すのが少し面倒ですが・・。しかし、世界中でも類を見ない組み合わせでしょうからチャレンジしてみる価値は大いにありそうですね。

ホンネを言わせてもらうと、ウェストミンスターにあなたの「モニター・シルヴァー」(口径38cm)を容れて鳴らしてみるのも面白そうですね。チャレンジしてみませんか」

「なかなか魅力的な提案ですね! しかし、こんな大きな図体のスピーカーを持ち込んだら家人から大目玉を食らいそうです。まあ、無理でしょうね~」

T「ハハハ・・」

余談になるが、ウェストミンスターが我が家にやってきてからもう30年ぐらい経つだろうか。いよいよ到着する前日になって渋々「実は・・」と家人に明かしたところ、激怒して1週間ほど口を聴いてもらえなかったことを思い出した。懐かしいなあ(笑)。

以降、中身のユニットも含めて自分好みに大幅に改造しており、まあ、「骨の髄」までしゃぶり尽したと言ってもいい「箱(エンクロージャー)」だが、この箱じゃないと出てくれない音があるのも事実で我が家のオーディオに多大の彩をもたらしてくれたので、今となっては大いに感謝している。

さて、話は戻って、お互いに音楽とオーディオの四方山話を繰り広げたが「16時に長男が迎えに来ます」とのことで、きっかり定時にお迎えが来た。

S「今日はたいへん楽しかったですよ」

T「それではまた~、新しいアンプの完成の暁には私の方から駆け付けますから。」

現在、Sさんは世界でも最高級の部品(出力及びインターステージトランスなど)をそろえた真空管アンプ(出力管は「PP5/400」)の製作を依頼されているとのこと。

部品代だけで軽く200万円オーヴァーだそうで、もう8割方出来上がった様子なので聴かせていただくのがメチャ楽しみ~。



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