「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「PP5/400」 VS 「WE300B」

2018年01月06日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

3日(水)の午後1時半きっかりにお見えになったYさんにホルン付きの新たなスピーカーを紹介したところ、「エッ、また変えたんですか!」(笑)。   

それはさておき、冒頭にYさんに本日来ていただいた目的を申し上げた。

「実はPX25真空管を大本命のPP5/400真空管に換えましてね。ガラッと音が変わった気がしますが、自分の耳はバイアスがかかっていてあまり当てにできません。そこで、今回はぜひYさんに試聴していただき、お気に入りのWE300Bアンプと比較をしていただきたいと思います。どうかよろしくお願いしますよ。」

すると、ちょっと首を傾げられたYさんだが、きっぱりとこう申された。

「分かりました。しかし、〇〇さんのお宅ではWE300BアンプとAXIOM80との組み合わせの音が耳に焼き付いています。よろしかったらスピーカーをAXIOM80で試聴させていただきたいのですが。」

お客様からこうまで言われると、交代させざるを得ない。まったく予想外の展開となってしまった(笑)。

    

このAXIOM80 (最初期版)の我が家での位置づけを率直に言うと、あまりに音が良すぎて(弄るところが無いため)可愛げのないスピーカーという感じ。ほら、「手がかかる子供ほど可愛い」という言葉があるでしょうが(笑)。

冗談はさておき、どんなに高級なスピーカーと対峙しても必ず部分的にしろ秀でたところがあるスピーカーであることは間違いない。エッジレスなど巧緻極まりないツクリは他のスピーカーの追随を許さない。

我が家の場合、他家と違うところはユニットのフレームの歪を避けるためバッフルへのねじ止め(4か所)を止めてウッドホーンに固定していることぐらい。

さあ、いよいよ乾坤一擲の大勝負である。


       

左側がWE300B(1951年製)アンプ、右側が「PP5/400」(最初期版)アンプ。前段管はそれぞれ「171」と「GSー112」でともに希少なトリタン・フィラメントの持ち主である。

両機とも鬼才「北国の真空管博士」から改造していただいたもので似たもの同士ともいえるが、一方では「アメリカを代表する出力管」であり片方は「イギリスを代表する出力管」なので米英の対決ともいえる。

実はこの両国のお国柄の違いが後々重要な意味を持ってこようとは、その時は知る由もなかった。
  
初めにWE300Bシングルアンプから試聴に入った。試聴盤はYさんがテスト盤として愛聴されている優秀録音の「ソナス」(女性ボーカル)の第3トラック。

         

「いつ聴いても素晴らしい音ですね。この組み合わせ一つあればもう他は要らない気がしますよ。」と、相変わらず絶賛されるYさん。

1トラックに11分近くもかかるボーカルをひとしきり聴いてから、今度は同じ曲目を「PP5/400」アンプに切り替えて試聴した。

「これも素晴らしい音ですねえ!PX25のときよりも明らかにグレードアップしてますよ。まるで、手を伸ばすと歌手の顔に触れそうなほどクリヤーです。細かい音もよく拾いますし、録音現場の雰囲気感の再現力はWE300Bより上かもしれませんね。」と、これまた大絶賛(笑)。

さあ、いよいよ核心に入ろう。

「この二つのアンプのどちらがお気に召しましたか?」と、お尋ねしたところ次のような回答が戻ってきた。

「ダイナミック感はWE300Bの方が上ですね。開放的というのか音響空間が広くなった印象を受けます。一方、PP5/400は箱庭的な美しさの極致というのか、とても品が良くて人間の内面を深く抉ってくるような感じです。

この両者にはアメリカとイギリスのお国柄の差が如実に出ているような気がします。どちらがいいとか悪いとか
 、私にはちょっとおこがましくて判断できません。」

そうですよねえ、つい順番を決めたがるのが私の悪い癖なんです(笑)。

これで本日のメイン行事は終了した感じで、新調した「ワーフェデール+メロンホルン」への関心が急に色褪せてしまったのは仕方がない。

それでも1時間ほど割いて一緒にこのシステムを聴いたが取り立てての感想はないままだった。あまりご興味はなさそうだった。

AXIOM80と比べるのはあまりにも酷だったかもしれないが、自分にとってはまだまだ弄る楽しみがあるので、可愛くてたまらないシステムである。

よしッ、きっとYさんを振り向かせてみせるぞ(笑)~。

 


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