おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
日大アメフット部による悪質な反則タックル問題を巡っては、関東学生アメリカンフットボール連盟(関東学連)は5月29日臨時理事会を開き、内田正人前監督、井上奨前コーチを事実上の永久追放にあたる「除名」処分とし、社員総会での承認を求めることを発表しました。
このことに関して、時事ドットコムニュース2018年5月30日(水)では 悪質タックル問題 関東学生アメフット連盟による調査結果 として次のように書いていました。
内田氏は03年から15年までフェニックスの監督を務め、一度退いたが、16年シーズンの成績が日大にとって不本意(関東1部リーグトップ8の4位)であったため、てこ入れのために17年に再登板することになった。
ここでチームの雰囲気ががらりと変わった。
内田監督の指導はとても厳しく、16年に比べて練習時間は長くなり、走る量は格段に増えた。
コーチたちの厳しさや態度も変わった。
コーチたちは皆、内田監督を恐れ、自分の指導者信念を曲げてでも監督に従った。
「白い物も、内田さんが黒と言えば黒なんだ」と公言するコーチもいた。
フェニックス監督であるばかりか、日大常務理事・人事担当でもある内田氏の言うことは絶対であり、誰も何も言えない状況だった。
内田監督の気に障ることがあると、コーチでも選手でもある日突然辞めさせられてしまうことがあるからだ。
このようにコーチですら何も言えないのであるから、選手が内田監督に物申すとか、指示、指導に従わないというのはあり得ないことだった。
どんな理不尽であっても「はい」と返事して実行するのが内田フェニックスの当然のおきてだった。
それに嫌気がさして17年春には約20人の選手が自ら部を去っていったそうだ。
ここで読み取れるのは、内田正人前監督による恐怖による独裁支配体制です。
「白い物も、内田さんが黒と言えば黒なんだ」とは恐れ入ります。
今の時代にこんなことがまかり通っていたなんて。
ところで、心理学の世界で「恐怖反応」として”Fight or Flight”(戦うか逃げるか)ということがよく言われます。
恐怖に直面すると、(1)恐怖の対象に対して戦いを挑む(「窮鼠猫を食む」のように)場合(Fight)と(2)恐怖対象から逃げる場合(Flight)、の2つのパターンです。
おそらく内田前監督には、恐怖を与えながら長時間練習を課して、アメフトでフェニックス・チームを最強の存在にしたいという思いがあったのでしょう。
しかし、選手たちの中には、嫌気がさして17年春のように約20人の選手が自ら部を去っていくことがありました。
これは、アメフトを愛しながらも内田監督のやり方に「逃げる」(Flight)パターンを選んだ人たちです。
ところで、恐怖反応にはもう1つ”Freeze”というパターンがあります。
「蛇ににらまれた蛙」のように身動きが取れなくなってしまうのです。
これは、内田監督の気に障ることがあると、ある日突然辞めさせられてしまうコーチ陣が該当するかもしれません。
よくないことだと知りつつも盲従してしまうケースです。
マインド・コントロールには必ず恐怖が伴います。
思考・感情・行動をコントロールするために恐怖が不可欠で、このことによって組織を支配しようとするのです。
アドラー心理学は、恐怖による支配に反対します。
それは、尊敬・信頼・共感という態度から遠いところにあるからです。
そして、本人の内発的動機づけを育てないアメとムチによる外発的動機づけだからです。
次回は、日本大学の組織的なことに触れるつもりです。
<お目休めコーナー>6月の花(1)
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