いよいよ日露首脳会談が迫ってきた。外交交渉と剣術の世界は共通するものがあるのではないか。心構えとして参考になるのが会津の古武道溝口一刀流ではないだろうか。渡辺誠が『日本剣豪こぼれ話』で紹介しており、「なまなましい」とコメントしている▼戊辰の役での会津の責めを負って、家老の萱野権兵衛が明治2年5月18日に割腹した。当日の朝、竹でできた火箸で側用人の井深宅衛門に伝授したのが、溝口一刀流の「左右転化出身秘太刀」であった。渡辺は「この太刀の特色は打太刀がつねに先をかけ、仕太刀が応じて打ちかえそうとするところをさらに攻めて勝つところにある。『左右転化』は文字どおり、左右に自在に体を変化させること、そして、『出身』とは『決して退らない』という意味だそうである」と書いている▼安倍首相はプーチン大統領の強気の姿勢に翻弄されてはならない。自分から攻め立てていくべきだろう。どんどん押しまくり、圧倒していくのである。薩摩の示現流でも初太刀の威力とよくいわれる。こちら側の要求を無視できないように、先んじて相手を制するのである。北方領土については日本側の旗色が悪くなってきている。ここは一気呵成に突っ込むべきだろう。外交術も戦いの一つであり、そこでは「なまなましい」ものが要求される。断じて尻込みをしてはならないのである。
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