白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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藤沢里菜、女流名人挑戦!

2017年01月12日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は第29期女流名人戦リーグの最終戦が行われました。
結果は、トップを走っていた藤沢里菜女流本因坊青木喜久代八段に勝ち、6戦全勝で挑戦権を獲得しました!
それでは、その対局を振り返ってみましょう。



1図(実戦黒95)
青木八段の黒番で、黒△と打った場面です。
左辺が大きく、形勢は黒が良さそうに見えます。





2図(実戦白96)
しかし、黙って引き下がる藤沢女流本因坊ではありません。
白1と突入しました。
これが荒らしの急所です。





3図(変化図)
黒1と遮りたいのですが、白2がありそうです。
AとBの切りが見合いになります。





4図(実戦黒97~黒101)
そこで、黒1~5と譲歩しました。
白Aなら黒Bと守っておき、この程度の目減りなら黒十分という事でしょう。





5図(実戦白102~黒103)
ところが、白1とさらに突入!
これはAとBの切りを、両方睨んだ手です。
それに対して黒2は、白Bに備えつつ、黒Cの眼取りを狙っています。
次に白Cと受ければ、Aの傷を守り、白1が空振りになります。





6図(実戦白104)
という場面で、白1のツケコシが返し技です!
一見乱暴な手のようですが・・・。





7図(変化図)
黒1~5と対応して来れば、隅の白はこのままで生きています。
先手を取って白8の切りを成立させ、白成功です。





8図(実戦105~109)
それは困ると、黒1一本で手を抜き、黒3、5に先行しました。
これで白△は動けませんが、左辺を黒地にするために、ずいぶん手がかかってしまいました。





9図(実戦白110~白114)
先手を取った白は、白1~5と下辺に展開しました。
黒△が危なくなりましたが、逃げていると右下の黒との絡み攻めになりそうです。





10図(実戦黒115~白120)
そこで、黒5までと右下の黒の安全を確保したのは、止むを得ない所でしょう。
しかし白6まで、下辺に大きな白地が出現しました。
こうなっては、明らかに白がポイントを挙げました。
藤沢女流本因坊の、鋭い踏み込みが光った1局だったと思います。

9連覇中の謝依旻女流名人との挑戦手合は、3/1(水)に京都府「平安女学院大学 有栖館」で開幕します。
女流棋戦史上初の、10連覇が達成されるのか?
藤沢女流本因坊が、また1つタイトルを剥ぎ取るのか?
見逃せない戦いですね!