白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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AlphaGo自己対戦 第6局

2017年10月08日 23時54分31秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日は平塚囲碁まつりに指導棋士として参加しました。
屋外での対局は開放感があって気持ち良いですね。
今回は天気も良く、最高の環境でした。

ただ、昨年に引き続いて2回転目の開始時に混乱が生じたのは・・・。
予測できる事態に備えてマニュアルを作っておくのは当然のことですが、この世界はそれが通用しないところがありますね。

ともあれ、囲碁まつり全体の参加者は約7500名という大盛況でした!
そして、参加者の年齢はは6歳から96歳!
囲碁が生涯楽しめるゲームであることを実感しますね。


さて、本日はAlphaGoの自己対戦をご紹介します。



1図(テーマ図)
白△と飛んだ場面です。
黒×が弱い石なので、次は当然黒Aと飛びたくなります。
上下の白を分断する手にもなるので、この一手と思えます。





2図(実戦)
しかし、黒1、3と弱い石を放置しました。
私の指導法や本の内容を端から否定するかのような打ち方に見えます。





3図(実戦)
白1となって白は上下が連絡、黒は分断されました。
しかも、隅の黒はまだ完全には生きておらず、展開によっては取られる可能性もあります。
黒は一体何をやったのかと思ってしまいますね。
しかし、黒4の大場に先行して打てるとみているのです。

この打ち方は碁の原理に反しているようですが、必ずしもそうとは言い切れません。
そもそも、弱い石を放置してはいけないというのは、石が攻められることが損につながるからです。
ですが、AlphaGoは弱い石を守るのではなく、捨てる選択肢を用意することで攻めを避けたと考えられます。
私の本にも、弱すぎる石は捨てると書いてありますね。

ただ、問題は1図黒×が捨てなければならないような弱い石に見えないことですが・・・。
いくら理屈で説明はできても、この打ち方を真似しようとは思えません。
不思議としか言いようがありません。