白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

天元戦第5局

2018年12月19日 23時53分50秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
明日は今年最後の対局があります。
かなり厳しい相手ですが、全力を出し切りたいと思います。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は天元戦第5局が行われました。
早速振り返っていきましょう。



1図(実戦)
山下敬吾挑戦者の黒番です。
なんだか優雅な布石ですね。
2、30年前まではこのような雰囲気の布石も多く見られました。
最近はAI流の布石ばかり見ているので、こういうのを見ると心が洗われます(笑)。





2図(実戦)
しかし、ここで一転して黒△と厳しくいきました。
力自慢の打ち手に人気の手法であり、山下挑戦者も愛用していますね。
ここまでの進行は、昭和と現代の融合といったところでしょうか。





3図(実戦)
耐え難きを耐え、忍び難きを忍び・・・という並びです。
いかにも働きのない守り方であり、利かされが大嫌いな山下挑戦者としては、この手を打つのは相当つらかったのではないでしょうか。
しかし、我慢すべき時にはとことん我慢できるのも山下挑戦者の一面ですね。





4図(実戦)
そして、我慢の後に凄い勝負手を繰り出しました!
黒1、3とは、いかにも強引に見えますが・・・。





5図(実戦)
黒は上辺の白大石を狙っていたのですね。
黒1、3、5と、一歩一歩ながら迫力ある攻めです。
まるで鈍器で殴りつけているかのようですね。
いかにも山下挑戦者らしいと思います。


ただ、どうもこの後黒に失着が出たようで、急に白が良くなりましたね。
結果は白の井山天元が勝ち、王座戦に続いて4連覇を達成しました。

正直言って、張栩九段に名人を取られた時点では王座、天元共に取られてもおかしくないと思っていました。
しかし、両方フルセットながら見事に防衛してしまいましたね。
脱帽の一言です。
コメント
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