白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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人間+AI=?

2017年08月18日 23時59分59秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
新刊「やさしく語る 布石の原則」の見本ができたそうです。
明日あたり私の手元に届くでしょう。
楽しみです。

さて、本日は昨日の大会で優勝したDeepZenGoが孔傑九段と対局しました。
普通の対局ではなく、孔九段が準優勝プログラム「CGI」の読み筋を参考にしながら打つ、いわゆる相談碁です。



1図(実戦)
黒番のDeepZenGoが大模様を築き、白が中央に突入している場面です。
白1は様子見の動き出しです。
隅を生きようという訳ではなく、黒に何か相手をして貰えればBあたりに利き筋ができ、中央白の凌ぎに役立つという意味です。
しかし、DeepZenGoは隅には目もくれず、黒4から攻撃開始しました。
隅を大きく生きられる手が残っているのでリスクがありますが、DeepZenGoには怖くて手が縮むことはありません。





2図(実戦)
白1と逃げた場面で、黒2と左上に転戦しました。
黒8の後、黒△の動き出しが残ったので・・・。





3図(実戦)
白1~7と取りましたが、黒8まで黒石が増え、この部分にできそうだった中央白の眼を奪っています。
そして、白9と逃げたところで黒10、12と攻めを再開しました。
黒は左上で生きた上、中央白への攻めも継続できています。
得をしながら攻めるという、攻め方のお手本のような打ち回しです。





4図(実戦)
白△とつないだ場面です。
中央の白は、まだ1眼あるかどうかという状態ですが・・・。





5図(実戦)
ここで黒1と右上隅を確保、白2に対しては黒3から地を囲ってしまいました。
もう攻めの利益は十分上げたので、これでお腹いっぱいという訳です。
DeepZenGoが緩急自在の打ち回しで勝ち切りました。

孔九段ほどの棋士がAIの力を借りても、DeepZenGoに勝つことは容易ではないようです。
もはやDeepZenGoも、人間レベルを大きく超えてしまっているのです。
複雑な死活勝負に持ち込めば孔九段の能力も生きたでしょうが、今回は都合の悪い展開でしたね。