白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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未来の星新鋭最強戦(小池ー宋戦)

2017年01月07日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
Twitterの日本棋院若手棋士アカウントは、土曜日~金曜日が1サイクルです。
本日から1週間は、大西研也三段が担当します。
ぜひご覧ください。

さて、本日第2回未来の星新鋭最強戦が開幕しました。
日本からは若手代表として、小山空也三段小池芳弘初段が参戦しています。
1回戦第1局は、小山三段が敗れましたが、小池初段が見事勝利しました。
本日は、小池初段と宋相勲三段の対局を振り返っていきましょう。



1図(実戦黒15~白16)
小池初段の白番です。
実は、小山三段も白番でほとんど同じ布石を打っていました。
小山三段は白Aと挟みましたが、小池初段はじっくり白2と受けました。
早くも個性が表れています。





2図(実戦黒17~白26)
黒1から忙しく立ち回って来ましたが、白は自然体で受け流しました。
黒7、9を両方打たせても、白2、10と好形を作って十分対抗できると見ています。
この落ち着いた打ち回しが、小池初段の芸風です。





3図(実戦黒27~白32)
黒1から強襲して来ましたが、ここも白6までと受け流しています。
無理に戦わずとも、広い上辺に向かって十分という事でしょう。





4図(実戦黒51)
その後、黒が右上でさらに戦いを仕掛けて来ました。
黒△と押された場面、Aの地点が「2目の頭」になっています。
格言通り、目をつぶって白Aに伸びたい所ですが、すると黒Bの厳しい一撃が来るでしょう。





5図(実戦白52~黒57)
そこで、冷静に白1と開きました。
黒2と頭をハネられ、白3、5と受けるのでは、白が押し込まれたように感じます。
黒6となった場面を見ると、黒を持ちたくなる棋士が多いのではないでしょうか。

しかし、小池初段は気分には左右されません。
冷静に碁盤を見ていました。
左辺の黒模様が巨大に見えますが・・・。





6図(実戦白58~黒65)
何と黒8まで、平然と囲わせてしまいました!
左辺の黒地が確定しますが・・・。





7図(実戦白66~白76)
白1から左上隅を荒らす事ができます。
無理に左辺に入らなくても、これで十分やれると見ているのですね。
18歳とは思えない落ち着きです。





8図(実戦黒133)
手順が進み、黒△とツケた場面です。
これは一種のモタレ攻めで、実は左下一帯の白大石を狙っています。
そこで白は・・・。





9図(実戦白134~黒143)
白1、3と、ごりごり切って行きました!
黒2子を取って大石は生きましたが、黒6、8と突き出され、白△が痛んでいます。
所謂裂かれ形で、白が良くないように見えますが・・・。





10図(実戦白144~黒149)
白3という凄い所が残っており、早くここに回りたかったのですね。
黒6と手を入れさせたのは気分が良く、白が一本取ったように見えます。
形勢は細かそうです。





11図(実戦黒239~黒241)
ヨセ勝負の中、黒1、3にはビックリ!
白Aとコウを取られると追い落としの形なので、一種の自殺手です。
しかし、コウを頑張り切ってBに手入れさせようという、必死の勝負手なのです。

試しに黒1、3をやらずにヨセてみると、白が半目勝ちになりました。
流石に計算がしっかりしていますね。
とはいえ、やはり無理な仕掛けで、逆転には結び付きませんでした。
小池初段がしっかり対処して、中押し勝ちを収めました。

明日は1回戦第2戦が行われ、小山三段、小池初段共に出場します。
幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください!