白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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幽玄の間その2

2016年09月03日 23時31分24秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
将棋界での史上最年少棋士誕生が話題になっていますね。
将棋は四段から棋士ですから、囲碁界の趙治勲名誉名人藤沢里菜三段の記録が近いでしょうか?
将来の大スターになるのは間違いないですね!

私事ですが本日は四谷大塚で入門教室の講師を務めました。
全4回の1回目、初めての子供もいましたがひとまず囲碁が打てるようになりました。
残り3回でどこまでいけるのか、子供たちの成長が楽しみです

また明日は有楽町で指導碁を行います。
ご都合の合う方はぜひお越しください。

さて、本日は幽玄の間中継棋譜の紹介を行います。
奥田あや三段(黒)と青木喜久代八段の対局です。
両者力自慢ですから戦いになるとは思いましたが、予想を遥かに超えた激しさでした。



白1とカカったのは積極的な手で、こう来られれば黒も2と上下を裂いて反撃しなければいけません。
早くも戦いが始まりました。





左辺を閉じ込められて黒が窮屈に見えますが、黒1と反撃していきました。
白も強くないぞと主張しています。





黒は左辺を連絡、白も上下の石にゆとりを持たせました。
白△とカカって布石のやり直し?





ところが黒1と左側の白に迫っていきました!
上辺を打つにしてもカカった石を挟むなら穏やかです。
しかしこちらの白の方がものが大きいということでしょうね。
黒5と強引に切断を狙っていきました。





その後複雑な手順で白は上下を連絡しました。
黒1から下辺に地歩を進めて、そろそろ穏やかな展開に?





しかしそうはなりません。
白1から上辺の黒の眼を奪っていきました!
黒8のノゾキに対して、白Aと繋がず白9で応じたのはプロの素直でない所です(笑)





その後白1、3で上下を分断、黒4には白5とこちらの退路も断って今度は中央の黒に狙いを定めました。
青木八段が得意の攻めの態勢を築こうとしています。





そして白1、3と本格的に攻撃開始!





さらに白1以下の打ち方にはびっくり!
いわゆる裂かれ形で、白石がばらばらになっているように見えます。
右側に出来そうだった白地も無くなり、攻めによって得を図ろうという雰囲気ではありません。
完全に取りに行っていますね!





その後白は上下の石を絡めて攻めますが、黒は必死に凌ぎました。
ここで白1と渡りましたが、黒2と打たれるとAとBが見合いで生きです。
何故白1でAと眼を取りに行かなかったか分かりますか?





白1で中央には2眼出来ませんが、黒2にも白3と眼を取らなければいけません。
すると黒8の切りが生じます。





長手数ですが黒10まで生きです。
白Aには黒Bで、白が2目を繋げない事をご確認ください。

黒は無事凌ぎましたが、攻めの過程で白地が増えて意外に細かい勝負になりました。
結果は黒半目勝ちと、最後まで綱渡りの勝利でした。
スリリングな1局をぜひ総譜でご覧ください。