先日、仁徳天皇陵の調査が行われると新聞に報じられていました。仁徳陵はじめ古墳群「百舌鳥・古市古墳群」は、世界遺産にも登録されています。古墳公園の施設でVRで空中から見て、その巨大さに改めて驚きました。
さて、仁徳天皇といえば、「民のかまど」の話が有名ですが、今ではTV番組「そこまで言って委員会」で竹田恒泰氏がよく出される話です。その話が明治26年発行の尋常小学校生徒用修身書巻四の第十六課「皇恩」に出ています。
第十六課 皇恩
世世の天皇は、いずれも仁恵ふかくまししが、殊にすぐれて、民を愛したまひしは、仁徳天皇にぞありける。
天皇の御世に、凶年うちつづきしことあり。あるとき天皇、民のかまどより立ちのぼる烟りのまれなるを御らんじて、其の貧しきを知(しろ)しめし、供御(ぐぶ)費えをはぶきて、租税公役をゆるしたまへり。かくて三年をすごしけるほどに、民のかまどより、烟りも盛んに立ちのぼりければ、「朕已に富めり、」とて、悦ばせたまひたり。
学生時代に民を「おおみたから」と読むと知りました。国民のことを「宝」と大切に思う心が表れています。3年も無税にして質素な生活を過ごされ、宮殿も衣装も修理が必要な状態になっているなか、民の家から烟が立ち上っている光景をご覧になって「朕已に富めり」と満足された仁徳天皇のお話です。日本の国柄をよく表している逸話です。